重たい空気の漂う拠点で、リセは迷いを口にした。
「このまま引き下がっちゃだめだと思うんだ」
彼女の言葉には、アラミゴでの苦い経験、そしてゴウセツが示した可能性を無駄にしたくないという強い決意が込められていた。
一方、アリゼーは冷静だった。
「本当の交渉はここからよ」
感情を抑え、現実を見据える彼女は、信頼を築くには相手の事情を理解しなければならないことを心得ていた。
リセの情熱とアリゼーの冷静さ──対照的な二人が導き出した答えは、理想を語るだけでなく、行動で信頼を示すことだった。
海賊衆の現状を探り、彼らの苦境に寄り添うことで、共に立ち上がる道を選ぶ。
それが、彼女たちにできる最善の道だった。
拠点を巡り見たのは、荒れ果てた船、手入れの行き届いていない武器、そして空っぽの箱。
帝国の政策に苦しめられ、牙を失った海賊衆の姿が浮かび上がる。
彼らの立場は、立ち上がるか従うかの選択を迫られる、まさに岐路にあった。
「だったら、アタシたちの実力を見てもらおうよ!」
リセの提案には、行動を通じて理想を示したいという彼女らしい情熱が込められていた。
「わかりやすくって、いいじゃない?」
アリゼーの冷静さにも、少しずつ熱が灯る。慎重さと大胆さ、その二つが補い合い、彼女たちは次なる行動へと踏み出す準備を整えていた。
リセは西側へと足を運ぶ。迷いを振り切った彼女の背中には、情熱と信念の強さが宿っていた。