潮風に錆びた金属の匂いが混じる。
海賊衆の拠点は荒れ果て、かつての賑わいを思い出させるものはほとんどない。
戦争と飢餓、そして物資の枯渇――それらが彼らを確実に追い詰めていた。
そんな中、カジカは仲間を守るため、ギュウキの死骸から尾肉を回収し、使える矢を抜き取るという危険な依頼をしてきた。
「この海で生き残るために、やらなきゃならねぇことがあるんだ。」
その言葉に含まれるのは、厳しさだけではない。限られた物資を無駄にせず、仲間を危険に晒さないための冷静な判断だ。
ギュウキの尾肉は栄養価が高いが、味はひどく悪い。
それでも、栄養を優先するしかない現実がそこにある。
矢もまた、限界まで使い古し、再利用される。
かつての誇り高い海賊たちの暮らしぶりとは程遠いが、それでも彼らは生きることを諦めていない。
「悪いな、こんな頼みばかりで……だが、俺たちはこうやって生き延びるしかねぇんだ。」
カジカの口調には、どこか苦渋が滲む。
それでも、彼の背筋は伸びていた。彼が率いる者たちの中には、まだ希望が残されている。
生き延びる手段を選び続けることで、いずれ新たな道が見えてくるはずだと信じているからだ。
ギュウキの肉を手にした彼らは、かつての栄光に縋ることなく、現実を受け入れて前を向く。それが今の海賊衆の「誇り」だった。
メインクエスト「あれもこれも糧」より
補足:
原作シナリオに忠実に寄り添い、物資不足や危険な依頼を通してカジカたちの困窮した現状と、それでも生き延びるために戦い続ける姿を描写しています。