「今日からだっけ、よろしくね」
「ハイッ！ 宜しくお願いします！」
「お、いい返事、やる気あるねー」
「この経験が僕の今後の人生を前後左右すると思ってますから」
「前後は余計だけど、今まで他にバイトの経験とかあるの？」
「一応、短期ですけど極神龍のギミックの仕込みの経験があります」
「あ、そうなんだ、こっちはそういうのに比べると時給安いけど、大丈夫なの？」
「いやー、お金とかじゃないんですよね、僕が求めてるのって」
「へー、今なら新コンテンツの準備スタッフとか、いくらでも募集あるんじゃない？」
「んー、何て言うか、接客の方が自分には向いてるのかなーって思ってですね…」
「まあ接客って言っても冒険者は私達の言うことなんかほとんど聞いてないけど、一応失礼の無いようにだけ気を付けてね」
「あ、そんな感じなんですか？」
「それに、マケボ利用する人達の方が多いしね。まあでも、たまに冒険者来るから気を抜かずに頑張って」
「頑張ります」
「あ、冒険者きたよ、よろしくね！」
＊＊＊
「ここは ぶきと ぼうぐのみせだ。うっているものを みるかね？」
「なにを かうかね？」
「コンドームだね。 どうも ありが
（ちょっとちょっと、アンタ何売ってるのよ！）
（え？ コンドームですけど）
（何勝手に商品増やしてるのよ！）
（エタバンとかあるくらいだし、必要かなーって思って）
（余計なお世話よ、こんなの売ってたらおかしいでしょ！）
（でもこの冒険者が買うって…）
（ある意味レアアイテムだから、そうなるわね…）
「どうも ありがとう。 ほらよっ ぼうけんしゃさん！」
「もっているだけじゃ いみがないぞ！ ちゃんと そうびしないとなっ！」
（だから余計なお世話だっていうの！）
（いや、だってこれ定番のセリフなんですよ）
（ほらもう、ここで装備しだしたじゃーん！）
「おいおい それは ぶきだぞ？」
（その認識はなかったわー）
「また きてくれよなっ！」
（ちょっと、こっち来てくれる？）
＊＊＊
「なんか問題ありました？」
「何から言えばいいのかわからないくらい沢山ね」
「えー、マジっすか？」
「まず、リストに無い商品を勝手に売らないで」
「はあ…」
「アンタ武器と防具担当してんだから、コンドームとかおかしいでしょ」
「あれは一応武器なんですけど…」
「武器って認識持ってる人少ないと思うよ」
「じゃあ防具として売ります」
「そういう問題じゃないの、あと接客がさ、ドラクエっぽいのよね」
「僕ドラクエ派なんですけど、ダメですか？」
「このゲームFFだからねー」
「えー…」
「えー、じゃないわよ、ちょっとその荷物の中身出してみ」
「え？」
「さっきそっから出してたでしょ？ 他にも何か売ろうとしてたんじゃない？」
「はあ…」
ゴソゴソ
「どうぞ」
「ラーの鏡、賢者の石、ちいさなメダル、はやぶさの剣…」
「品揃えいいでしょ？」
「ドラクエばっかりじゃん。それに店売りで手に入っちゃいけないやつばっかり」
「はやぶさの剣なら大丈夫ですか？」
「だからカテゴリーの問題じゃないんだってば」
「喜んでもらえると思うんですけどねー」
「運営側は怒るわね、ってか何でこれにコンドーム加わってんのよ」
「あ、あれは、すいません、シーズナルなんすよ」
「コンドームで季節感味わう奴なんてオカモトの社員にもいないわよ」
「そうですかねえ…」
「とにかく、まずはリストに無い商品を売らないこと、あとドラクエ接客も禁止ね」
「ド、ドラクエだけは…！」
「アンタ住む世界間違えてるんじゃないの？」
「お願いですっ！ ドラクエだけはー！！」
「なんでそんな必死なのよ！ ここはエオルゼアなのっ！」
「そこをなんとか！」
「ドラクエのアイテムが存在すること自体問題なんだから！ この荷物は私が責任もって処分するわ！」
「なっ！ それを捨てるなんてとんでもない！」
「帰れえええーーーー！！！」
