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Sweet Dreamer

Charles Magus

Ultima [Gaia]

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【RPSS】『 シャルル・メイガス ❖ 追憶之抄 』~第1話~

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       そのような設定はございませんので
       ご注意ください。〕
 前置きが長くなってしまい、大変申し訳ありません。
 ご協力の程何卒よろしくお願いいたします。
 それでは、お楽しみいただけますと幸いです!




                   

『 シャルル・メイガス ❖ 追憶之抄 』

―目次―

序章

第1話

❖ 第2話 ❖
前編 / 中編 / 後編

❖ 第3話 ❖

❖ 第4話 ❖

❖ 第5話 ❖

                   




* * * * *





 この街を「世界一安全な都市」と呼んだのは誰だったか。アルデナート小大陸の南部、荒涼とした砂漠の中に聳え立つ幾筋もの礼拝塔に、青空を落としたかのような円天蓋。幾何学的に広がる街並みには、皆古今東西の「全て」が揃うと宣って憚らない。黄金の中に、あるいは夢の中に、人々は我が身を浸し、揺蕩う。そうして虎の蓮が泥濘に絡め捕られるが如く、明滅の小路へと消えていくのだ。

 何事も、光在らば闇も然り。砂の都「ウルダハ」は、昔からそういう場所だった。

 街の北部、煉瓦造りのタウン・レジデンスが立ち並ぶ閑静な住宅街。ここに住む者は、どちらかと言えば、ウルダハの中では「まあまあ勝ち組」と呼ばれる者たちだろう。一代で財を築き、独自のビジネスで利益を出す。それが可能な切れ者たちの、仮の住まい。能力やステータスにおいて同等と呼べる者同士がひしめき合う中で、「ここからのし上がってやる」と息巻いたかと思えば、その息を殺し、ひっそりと爪と研ぐ。閑静というのは、あくまで見た目の話。その実情は、まるで静寂に覆われた狩場である。

 赤く燃える夕日が西に落ちて、長く伸びた影が路地を舞台に輪舞を踊る。いつも通りの夕暮れ時。その一角で悲劇は起こった。

「――ッメェ、良い気になってんじゃねェぞ!ダホがァッッッ!!」

 ぐしゃ、と骨ごと歯肉が歪む音。間髪入れず、ガラスや骨董が粉々に砕け散る音。タウン・レジデンスの一室、北東向きの玄関は、夕焼けの影に塗り潰されて真っ暗だ。暗がりの中、男が一人、無頼漢に囲まれて暴行されている。

 ガシャン。バリン。
 グシャッ……ゴリッ、ゴキっ、
 ぐチゃっ……ぐちゃっ……、……


 その光景を、少し離れた場所で見ている一組の親子。部屋には真っ赤な夕焼けが刺して、彼女たちの背中を炎の色に染めている。

――あれ、みみが、ふさげない。まえも、よくみえない。

――あれは、おとうさん、なの?

 娘がその場で手を伸ばし、身じろぐと、母は一層力を込めて娘を抱き締めた。母は己の震える身体に鞭を打ち、右手で精いっぱい、娘の目と耳を塞ごうとしていた。しかし、実際に覆えているのは、娘の右目だけだった。娘からは、目の前の光景も、音も、色も……残酷なまでに、その五感全てで感じることができていたのだ。



 シャルルは親子の近くで暫し呆然と立ち尽くしていたが、はっと我に返った。そして駆け出していた。

「っ……!!ちょっと!!アンタたち、やめなさいッッッ!!!」

 咄嗟に背中に手を回したが、そこに愛杖・アルカルロプスはない。それに気付いても、身体は既に前のめり、暴行の輪まで1ヤルム以内。ならば已む無しと、拳に全エーテルを集中させる。

「いい大人が、集団リンチ、してんじゃ、ないわよぉッッッ――!!!」

 気を集中させ、放つ。自分よりも屈強な男たち目掛けて……しかし。
 シャルルが放った気砲は男たちをすり抜け、手すりにブチ当たったかと思うと、綺麗に霧散したのであった。まるで冬の空に広がり続けるオーロラのように、柔らかに波を描き、そして、消えた。
 同時に、シャルルの身体はそのまま地に倒れた。男たちの容赦ない蹴りが、顔面目掛けて飛んでくる。

(――……まずいッ……!!)

 咄嗟に顔を覆い隠した。だが、来るはずの衝撃が感じられない。あまりの痛さに痛覚が麻痺してしまったのだろうか。思わず目を開けると、やっぱり目の前には男たちの粗末な靴が、何往復もシャルルを蹴り倒していた。……否、正確には、シャルルの身体をすり抜けた先……背後の幼子が見つめる、彼の力なき身体を……
 シャルルは、眼上でかっくりと項垂れ、間欠的に吐血する男の顔を見て、愕然とした。

「……お父、さん……?」


* * *


 シャルル・メイガス。本名をシャルロット・フロレンスと言う。

 フロレンスの両親は在ウルダハ三世で、所謂「成金」だった。祖父母・曾祖父母の代までは慎ましく暮らしていたのだが、父の代で開拓した貿易路が見事大当たり。数年と経たずに、裕福な暮らしを手に入れた。

 成功者を妬む者はいつの時代にも溢れんばかりに存在している。だが、フロレンス一家は特に運が悪かったのかもしれない。フロレンスが築いた販路が、当時、ウルダハで幅を利かせていたある大商会の目に留まってしまったのである。

 当初は、商会側から丁重な買収案を持ちかけられたようだ。だが、フロレンスは従業員の自由や取引先の利益を守るためにこれを拒否。すると、商会側は態度を一変させる。フロレンスに廃業を迫ったのだ。当然、廃業などできるはずもないフロレンスは、商会を無視して商売を続けた。だが、その結果は非常に残酷なものだった。

 それは星4月か、あるいは霊4月だったか。急激に暑さを増したある日の夕方のこと、フロレンス一家が住む部屋に暴漢が押し掛けた。事件として記録されていないため詳細は不明であるが、近所の者は皆こう語る。「フロレンスの自業自得だ」と。足腰の自由が利かなくなるほどまでに傷めつけられたフロレンスとフロレンス夫人、そしてまだ幼かったシャルロットは、それぞれ別の「人買い」に売られて行ったと言う。


* * *


 黄昏時。少女は、黒ずくめの男たちに隠されるようにして往来を歩いた。先頭の男が金属製の鎖を持っている。その先に繋がっているものは、首輪。シャルロットは人買いの一団に捕らわれ、今まさに街の外へと連れて行かれるところだった。

「世界一安全な都市」の外へと。

 シャルルは道中、何度も自分の魔法を試した。気の抜けた風船のような、在りし日の父の姿をしている男の治療を試みたり、入れ替わり立ち替わり訪れる不審者に一撃浴びせようとしたりもした。だが、いずれも効果がなかった。そして悟ったのだ。これは案の定、夢の中の出来事なのだと。それも、空想や悪夢などではない、正真正銘の自分の過去であり、今まで心の奥底に沈めていた真実の記憶なのだと……

 そう気付いた瞬間、場面はこの路地に変わっていた。父母の安否も心配だったが、この後自分がどうなるかについて、考えてみると、よく覚えていない。これが今まで想起を避けていた自らの記憶なのであれば、この先の展開を直視することこそ、今の自分に必要なことなのではないか。そう言い聞かせて、彼女は集団の少し後ろを歩いた。

 突然、頭上から、幼い男の子の無邪気な声が降ってきた。

「おーい!ロッテ!」

 シャルロットははたと立ち止まると顔を上げる。その先には、かつて幼いながらも淡い恋心を抱いていた近所の少年の姿があった。少年は場の状況には目もくれず、手をぶんぶんと振ると、こう続けた。

「ロッテ!こんなジカンにどこ行くんだよ!ずるいぞ、一人で!」

 少年の位置からは、シャルロットの首輪や彼女を取り囲む異様な男たちが見えないのだろうか。シャルロットは精一杯叫ぼうとした。

「おねがい、たすけて……!」

 だが、その言葉は声にはならなかった。シャルロットが立ち止まったことを不審に思った先頭の男が、シャルロットの首輪を思いっきり引っ張ったのだ。首を痛めそうになったシャルロットは、慌ててまた歩き出した。少年は未だにシャルロットに呼びかけ続けている。

「おーい!シャルロット!ムシすんじゃねー……むぐっ!?」

 シャルルの位置からは、少年がその母親らしき女性にひょいと抱えられて部屋の中へと連れ戻された様子が見えた。そして、シャッ!とカーテンを閉められた。それを境に、周囲から幾つもの視線を感じる。よく見ると、周囲の家々の窓やカーテンの隙間から、人の頭がちらっ、ちらっ、と見える。好奇か、それとも恐怖か。街中の視線を一身に受けるシャルロットは、それに気付くはずもなく、ただ地面を見て、歩いている。

(おとうさんは、おかあさんは、どこに行ったのかな……二人とも死んじゃったりしてないかな……わたしは、これからどこにつれて行かれるのかな……)

 突然の出来事に、涙も出ない。道中、粗末な鉄格子で組まれたキャリッジに乗せられたことさえ気付かない。そのくらい、頭の中は両親や自分の心配でいっぱいだった。それ以外は何も考えられない……。シャルロットの両目は、干からびるのではないかというくらい見開かれていた。開ききった瞳孔と同じくらい真っ昏な闇が、東の空から迫っていた。



* * * * *



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