この日記は二次創作になります。
独自設定並びに、独自解釈を含みます。
また下記ネタバレを含みます。
・巴術/召喚士クエスト
・蛮族クエスト
・クリスタルタワー関連
・メインクエスト
・その他サブクエスト等
また露骨なパロディーを含みます。
ご注意ください。---------------------------
前回までのあらすじ ウルダハで奇妙な事件が起き、ク・ウガは魔界幻士の調査を急ぎ進めようとする。
ク・ウガは魔界幻士の証をシドゥに渡し、魔界幻士の力を使うためには、怒りによって生まれる破壊の化身ではない、本来の信仰に近い形の神と交信することで、その力を借りる必要があると説くのだった。
しかし第一歩として訪れた灰の陣営のハムジ・ガーには、門前払いを喰らうのであった。-----------------------------
南ザナラーン 灰の陣営
「……断固拒否」 「えと……その、今回の事件はきっと……アマルジャ族を狙った何者かの……」
「熟慮断行、まだ事が決したわけではない。 確かに、思想を違えた我らが同胞が、神の力らしきモノで屠られたのは知っている、が、遅疑逡巡は愚なれど、無暗に事を起こすもまた愚かなり」
「しかし!」
「そして、我らは確かに”
戦士の炎”によって生まれた”
火の意志”を持つ”
焔神イフリート”の子なれど、神を敬うことすれど、神に頼る事、是とせず。
不撓不屈、偽りの神に弱者を捧げる炎牙衆達は論外なれど、神の力を借りようとする汝とも相容れず。 志操堅固、我ら決して意志を曲げぬと心得よ」
「……」
ク・ウガはやむを得ず、ハムジ・ガーの座を後にした。
「やれやれ……”
頑固一徹”ですね」
ク・ウガは困ったように笑った。
「ま、正直こうなるとは思ってたんだ……ハムジの旦那は神に頼らない武人だからな」
「うーん……儀式に協力してもらえないとなると……どうしよう、他の蛮族にあたるべきか……でもな……」
「いっそエオルゼア十二神はどうだ?」
「ダメですよ、まだ具現化したことない神様を呼び降ろすのは、エーテル学の観点から、リスクが高すぎます。
まがい物とはいえ、エーテルとして、この世界に降臨した神か、もしくは神格化される前の神のオリジナルでもいないと……」
「よくわからねぇが、ハムジ・ガーの旦那は、俺も認める一等の戦士だ。 そう簡単に心を曲げるとは思えないぜ」
「……でも、やっぱり聖コイナク財団の一員として、今回の事件は見捨て置けません。
魔界幻士の儀式の件は置いておいて、今回の事を、灰の一党の皆さんに、もう少し詳しく聞いてみましょう」
「そうだな……」
俺は頷いた。 あんな死体を見せられちゃ、ウルダハやクイックサンドの事が心配だ。
あの店で飲む酒は美味いのだ。
「そうだ……もしかしたら、不足の事態が起こるかもしれません。 先にこれを渡しておきます」
「ん……まだ何かあるのか?」
ク・ウガは
ベルトのような装飾品を差し出した。
「これは……?」
「
アラガントランスベルトです。 古代アラグ文明の魔界幻士が使ったとされる、蛮神制御用の装置みたいなものと考えてください。 この中央部に、”
魔界幻士の証”をはめ込んでください!」
「おう……?」
「そして……いざとなれば、未知の相手と戦うことに成るかもしれません、その時は、
特殊な魔紋を形成するための簡易儀式が必要となります。」
「簡易儀式……?」
「
はい! 体を使って魔紋を描くのです! いいですか! ベルトを嵌めて、俺と対称となる様に動いてくださいね!」
「召喚……! 合体……!!」
キュイーンキュイーンキュイーン…… 「変身!!」 「……」 「……断固拒否」 「な、なんでですかシドゥさんまで!!」
「……ダセェ」
「ダセェとか、カッコイイじゃないですか! 古代の選ばれた戦士のポーズですよ! ……まあ、いいです、どのみち、儀式の事は後にするんですし、灰の一党の人たちから話を聞くことにしましょう」
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「よう! シドゥじゃねぇか! 鍛えてるかよ?」
アマルジャ族に加わっている女戦士、ルーン・ガーの元へ俺たちは向かった。
「あれ、
この可愛らしい女性は? 彼女もアマルジャに加わっているんですか?」
「
か、かわ!……おい、なんだシドゥ!? このふざけた奴は」
「……?」
「……?」
俺とク・ウガは顔を見合わせた。
「あーもう……お前ら!
大体わかった! で、何か用なのか!」
「ああ……実はこのあたりで起きている事件なんだが……」
俺は、ルーン・ガーに、近郊で起きている怪事件について聞いた。
「ああ……俺たちもその事なら把握している。
実を言うと、恐らくそれに関係あると思うが……炎牙衆が最近勢いを増している。
ザゴズ・テーを俺たちが討ってからは大人しくなっていたんだが……」
炎牙衆はアマルジャの中でも強硬派で、イフリートの召喚を行なうことで聖地ザンラクをウルダハから奪還せんとした集団だった。
ザゴズ・テーは炎牙衆の中心人物だった男でアマルジャの有力者。
”テー”は、第三階級で、ヒトで言うところ官吏の立場だ。
アマルジャ故に、支配者階級も力を求めるのが常であるため、
イフリートの力を乱用し、アマルジャの聖地ザンラク戦陣のエーテルを浪費。
そのために、奴に因縁があるルーン・ガーと奴の方針に異を唱える灰の一党に討たれた。
「炎牙衆に与しているアマルジャの司祭である”
カザリ・チャー”が最近妙に力をつけてな。
……俺たち灰の一党の追撃も退け、方針を違えた他のアマルジャ達も無理やり力で従えているらしい」
「む……?」
「で、お前らのいう通り、時同じくしてこの近くで妙な事件が多発しているって訳だ。
流石に、俺たちもこれ以上見捨てておけない……色々とハッキリさせるため、今夜、灰の一党の精鋭を率いて偵察に行く予定だ」
「シドゥさん……!」
ク・ウガが俺に目配せしてきた。
「ああ、ルーン・ガー、俺も連れて行ってくれ」
「そいつぁ助かる、ハムジ・ガーの親父も認めた腕、見せてくれよ」
「それじゃあ、俺も……」
「ああ? お前みたいな優男が?」
「こう見えてもそれなりの術者です! ……お願いします!」
ク・ウガは親指を突き立てた
「
……そ、そんなキラキラした眼で見るな気色悪い、分かったよ……足でまといになったら見捨てるからな!」
「……シドゥさん、それじゃ今夜、その炎牙衆の陣営へと向かうことにしましょう。 何事もなければよいのですが」
「ああ……」
「ああ、そうそう
さっきのポーズ。ちゃんと覚えてます? なんなら復習を……」
「それは、いい……」
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ET:25:00 ザハラク戦陣
「作戦開始だ……行くぞ」
ルーン・ガーが俺に手招きした。
ザハラク戦陣の偵察には、俺とルーン・ガーと灰の一党の精鋭たちが乗り込んだ。
念のため、後衛にハムジ・ガーの旦那とク・ウガが控えている。
しかし……。
「待て、様子がおかしい……ルーン・ガー!」
俺は妙な気配を感じて、ルーン・ガーに告げた。
すると……。
「チッ! 待ち伏せだと!?」
物陰から、数名のアマルジャ族が現れた。
「フ、知謀浅短、そろそろ来る頃かと思っていたぞ」
「こいつが……カザリ・チャーか!」
俺の眼前には大柄で、呪い師のような装束を身に着けたアマルジャ族がいた。
「フン、だが炎牙衆、流石に俺たちにやられて人手が足りないと見える。 灰の一党の精鋭相手にこれだけの数で勝てると思ったかよ!」
ルーン・ガーが言った。
その通りで、待ち伏せするには敵の手勢はごくわずかだった。
これだけの数で、一騎当千の灰の一党を退けるつもりだったのだろうか?
苦し紛れの策か?
しかし……それにしては……。
「テメェもとっとと焔神様とやらのところに送ってやるよ……くらえッ!」
ルーン・ガーが、炎牙衆に向けて弓を弾く。
と……。
「笑止千万!!」
「なっ!?」
「うわああああ!」 放たれた矢が、結界によって爆散、そのまま煽られた熱気が、ルーン・ガーをおそった。
「なんだとッ!?
この力、ザゴズ・テー以上……!?」
「ククク……剛強無双、我が力、思い知ったか」
「何だと……!? ぐっ!?」
カザリ・チャーは、ルーン・ガーの腕をつかむと、そのまま奴の身を抱えた。
「ちっ、離せ……」
「ルーン・ガー!」
俺は剣を抜き、カザリ・チャーにとびかかるが、アマルジャ族の集団がそれを阻んだ。
「!?」
アマルジャ族の動きは、普通ではなかった。
――神によって強化されているのか、尋常ではない動きで俺の剣を避け、刃を繰り出してくる。
「チッ!」
「フ、こやつらを焔神様の祭壇まで誘い出せ……極まりし、イフリートの力を見せてくれよう」
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「ルーン・ガー!!」
俺は、灰の一党の精鋭と共に、なんとか炎牙衆のアマルジャを振り切ると、ルーン・ガーを抱えたカザリ・チャーを追って、ザンラクの奥、イフリートの祭壇までやってきた。
カザリ・チャーはルーン・ガーを乱暴に地面に投げ捨てた。
ルーン・ガーは転がりながらも、受け身を取り、必死に息を整える。
「くそっ……この俺が……足手まといに……なるなんて……」
「フン……惰弱なる灰の一党どもよ……焔神の極まりし力を見るがよい……」
――イフリートの祭壇から、凄まじいエーテルが溢れ出し、カザリ・チャーに流れた。
「滾るぞ……至大至剛!! これぞ究極の力よ 受けよ……我が炎!」
カザリ・チャーが、巨大な炎を呪文によって巻き起こした。
「うっ! マズイ、シドゥ! 避けろ!」
凄まじい熱気が、あたりを包んだ。
――!
流石の俺にも緊張が走る。
暗黒騎士として鍛えた力を使えば、耐えきれるか……あるいは――。
「消えよ!」
と、奴が炎をとうとう発した。
咄嗟に俺は剣を構える。
――しかし
「唖然失笑」 「なに!?」 ――カザリ・チャーの繰り出した炎は、何者かの拳圧によって消え去った。
――拳圧の主は……戦鬼、ハムジ・ガー! 「……神に頼りし、貴様の惰弱な炎など取るに足らず、雲散霧消、至強を志す我が力に遠く及ばず」
「大丈夫ですか、シドゥさん!」
「ハムジ・ガー! それにク・ウガ!」
「な……馬鹿な……焔神の力を受けた我が炎を掻き消すとは、あり得ぬ!」
「笑止千万、借り受けた力を我が力と思い込むとは、嘆かわしい。 アマルジャ族の、
炎の戦士の誇りすら忘れた愚か者、戦鬼ハムジ・ガーが成敗してくれる」
「ぐ……ぐ……」
ハムジ・ガーの圧におされ、後ずさるカザリ・チャー。
「流石だぜ、ハムジの旦那……!」
俺も剣を構え、ジリジリと近づく。
しかし……。
「助太刀しよう、カザリ・チャー殿」 謎のミコッテ族が、ハムジ・ガーの前に立ちふさがる。 「おお、客人!」
「このハムジ・ガーに立ち向かうとは暴虎馮河……参る!」
「フッ」 「!?」 ズァッ!! 「グ……ヌ……」
勝負は一瞬だった……ハムジ・ガーは肩をミコッテ族の槍で貫かれていた。
「親父!!?」
「バカな!? ハムジの旦那ほどの戦士が!? 一瞬で……!?」
「クク……カザリ殿、時は来た……今より
イフリート召喚の儀式を行う……」
「おお……心願成就!! とうとう、我らの悲願の……究極の焔神が……今目覚めるのだ……! ククク……ハハハハハ!!」 ――カザリ・チャーの笑い声が、響き渡った。 「……あれは、メ・ガルメ!? ……やはり……?」