「はい、先生どうぞ！」
と目の前に差し出されたランスを見たとき
私は驚きを隠せなかった
これは、新米木工師向けに出した課題だ
たしかLV20の
しかし、目の前にいるのは
シンプルな作りのランスが似合わない
新米さが一つも感じられないララフェルだったからだ
目の前のララフェルの木工師レベルは７０
小学校の夏休みの宿題を、初老のララフェルが
「はい、先生！」と持ってくるのだ
今更だし、不審者だし、ある意味ホラーだ
私が驚いたのも理解していただけるだろう
キラキラしたランスと
くたびれた木工師
課題と目の前の木工師の
かけ離れたレベル差
フーム
、、、、、、
この意味を理解した時、
私の中のオーク材は
メラメラと燃え、怒りでギルド中を焼き尽くしそうになっていた
木工師ギルドでは冒険者のレベルが上がり
新しいギルドクエストが受けられるようになると
通知が行くのだ
クエストを受ける場所や人も教えるし、
新しいアビも取得できますよとそんな情報まで
それはそれはもう親切に
再三、木工師ギルドに来るよう、優しく要請したのに
この木工師は無視し続けたのだ
その回数１６回
紛れもない 不良木工師だ ﾒﾗﾒﾗ
１６回、、１６回って、、ねえ？
まあ、、
不良木工師とはいえ、一度はギルドに入るのを許したのだ
怒りを抑え、私は大樹の心で
その課題を受け取った
さて、、次のLV25の課題は、、
と言い始めるとすぐに、
これでしょわかってましたよふふんと言わんばかりのドヤ顔で
懐から、課題の木工品を取り出してきた
ほんとに、、この木工師は
私のオーク材に燃料を投下してくる
オーク材がどんなに燃えやすいのかこの不良木工師は知っているのか
腹立たしいことこの上ない
ああ今すぐ栗の木になって、イガグリを不良木工師の頭に落としたい
その後も、課題出す、不良のどや顔納品が何度も続き
私は大樹の心で
不良木工師を褒め称えたが
課題の銘には違う名前が彫られていたことを見逃さなかった
ただただ
すぐ隣で一生懸命制作している新米木工師に
悪影響を及ぼさないか
気が気ではなく
早く追い返したかったのだ
一通り課題をやり終わると
ちょっと戦闘してくると鹿の恰好をして
ギルドのドアをけ破っていった
たしか、その後は革細工をやると言っていた
早く革細工ギルドに伝えなければ
不良革細工師が行くぞと
