押すと文章を開けるアレはリッチ編集モードでしか出来なくて、パソコン置いてる部屋が寒いから出来ません。
ネタバレあるから、頑張って自衛して。
人生というのは、私に言わせれば「生きて、死ぬこと」であり、生き方を決める時によく「人生の選択」というけれど、死に方を選ぶのも等しく大事な人生の選択な訳です。
死に方を選んだことのある人はいませんよね?
もし心当たりがある方がいたら、早めに成仏していただきたい。
あれは社会人2年目の夏の早朝のこと(唐突な回想
企業ビルの屋上にある高さ1メートル程のフェンスを乗り越えてわかったことは3つ。
越えようと思えば誰でも越えられるその柵は、当然ながら越える気のある人にしか越えられないってこと。
死ぬのは怖くなくても、高いところは怖いってこと。
自分で言うのもなんだけど、私ってめっちゃ真面目な人だったから、上手く生きられないなら死なないといけないと思ってたんだよね。
柵にかけた腕を伸ばして、ビルの角に踵をかけて、背中に重心を預けてだらりと倒れてみた。
あとは手を離して下に落ちるだけ。
私は多分、死にたくないなあとか、死ぬのは怖いなあとか、思いたかったんだと思う。
でも、実際に思ったのは「あ、死ねるな」だった。
全然死ねる。
そう思った時に、「死なないといけない」は「死んでもいい」になって、初めて「じゃあもう少し生きてみてもいいかな」って思えたんだ。
いつでも死ねるってわかったから。
例えば、家に帰って、ご飯食べて、風呂に入って、寝て起きた時、やっぱり死にたいと思ったらまたここに来て死ねばいいし。
そんな訳で、とりあえずそれまでの私は死んだことにして、もうちょっと生きてみた結果が今なんだよね。
今にして思えば、やっぱり死ぬのは嫌だなって気持ちが少しはあったんだと思う。
漆黒のテーマは「悪役」だと思う。
暁月のテーマは「終幕」なんだろうけど、私はそれだけじゃなかったと思う。
テーマは「人生」だ。
生き方、死に方、生きる理由、死ぬ理由。
命の意味、命の価値。
命の在り方。
そこにひとつの答えを出す物語だったと思う。
命を懸けて護符を開発した錬金術師たち。
故郷を、家族を失って、最後に残ったガレアン人の誇りに殉じようとしたガレアン人たち。
人間に失望し、破滅を求めたファダニエル。
全部は挙げられないけど、ひとつひとつが命の歩み方を語っているように思う。
ウリエンジェは言った。リビングウェイの名前の意味を語ることはまだ出来ないけど、それはまだ読めてない本の続きに期待すること。今日の嫌な失敗が、明日には塗り替えられるようにと願うこと。
今話している誰かと、また話せたらいいなと思うこと。その積み重ねなんじゃないかって。
ヴェーネスは言った。人生は旅のようなものだと。
そうは言ってなかったかもしれないけど、私はそう受け取った。
あなたの旅は、よいものでしたか?と聞かれたその時に。
たったひとつの完璧な答えなんてないんだと思う。
だけど、それを探してこいと言われて宇宙を旅したメーティオンたちは可哀想だったかもしれない。
しかし、メーティオンの得た答えは否定されなければならなかったかというと、私はそうは思わない。
まあ、統合される前のメーティオンの性格を考えれば、終末を求めたあの答えは不幸だったかもしれないけど。
メーティオンが終末をもたらす者なら、ヒカセンたちは言わば生苦をもたらす者たちだ。
どちらが正しいとか、間違ってるとかではないと思う。
メーティオンが否定されなければならなかったのは、たまたまメーティオンに世界を滅ぼすだけの力があったからだ。
だってそうでしょう。私がここでどれ程の怨嗟の声をあげ、絶望したところで、世界は私に見向きもしないじゃない。私のほうがよほど可哀想だよ。
まずは私に世界を滅ぼすだけの力を与えるべき。
話はそれからでしょ。
そういえば、ツイッターでエルメスが余計なことしたばっかりに……みたいな意見を見たけど、それは違う。
というか、古代人ってめっちゃ魔力あるし創造魔法とか使うしスゲーやつらみたいな印象を受けがちだけど、あいつらが滅んだ原因って要するに「ストレス耐性が無かったから」だし。
全然、完璧なんかじゃないし。
いつかどこかで破綻してたんじゃないかな。
最後に。
「生きててよかったな」
スープを受け取ったユルスが、解放軍の人に投げかけられた言葉に涙が溢れた。
その言葉は、彼が、私が、一番聞きたかった言葉であり、一番聞きたくなかった言葉だから。
だって、死ぬはずだったから。
故郷も家族も失って、ガレアン人としての、軍人の誇りすら失われて、なお生きてる。
本当に、生きててよかったのかな。
スープの温かさは、否応なく生きている実感を与えてくる。
かけられた言葉に肯定も否定もできず、ただ涙を流した彼が、いつか「生きててよかった」と言える日が来るといいと思う。