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《葬迎の手記》勝鬨は遠く(紅蓮編ネタバレ)

公開
霊6月11日

 アラミゴが奪還された喜びに周りほど浸って盛り上がるコトが出来ない。
今回の冒険、いや依頼はだいぶ複雑だった。
一介の冒険者には政治が分からん。けれども暁の指示、ハイデリンの意志、
蛮神退治には出向かねばならない使命を抱えていた。

解らないことはひたすらに後回しで言われるままに冒険をしてきた今、
考えなければならないのはこの解放戦争の全容だ。

まず、俺達はイシュガルドを襲っていた危機、邪竜ニーズヘッグを退けた。
討つべき竜を失ったと思われた蒼の竜騎士エスティニアンだったが
おそらくニーズヘッグの眼が何者かに回収されたのを悟って国を出ていた。

 神竜。アラミゴ開放を謳う鉄仮面ことイルベルドが降ろした蛮神だ。
蛮神が降りるのに必要なのは願いと、願いを形にする膨大なエーテルだけだ。
邪竜ニーズヘッグの眼は1つでも凄まじいエーテルを持ち得ていた。
だがそれだけが神竜の降りた理由ではない。

人体に宿る最も濃いエーテル――魂は、死する時の想いによって増幅される。
死の際のムーンブリダが身体すらもすぐさまエーテルに変えていたように、
ダンジョンの中で時折手に入るエーテリアル装備があるように。
死に際の想いは強い力を持っている。イルベルドがどこでそれを知ったのか?
知らずにやったとは思えない。……どうせアシエンだろう。

 ゼノスが言っていたように、神竜はただの破壊衝動の化身だ。
アラミゴ開放のため、敵を討とうとする人々の死に際の想いとイルベルドの執念、
そして邪竜ニーズヘッグの眼、それぞれの強いエーテルが絡み合って出来たものだ。
神話もなく産み落とされた――神話もなく生まれ落ちることが出来てしまったものだ。
神話はおそらく願いを、イメージを助けて蛮神を降ろしやすくする効果がある。
ボンヤリとした曖昧なイメージを補うだけのエーテルがあそこにはあったと見ている。

 ここでパパリモが散った。賢者ルイゾワの忘れ形見、名杖トゥプシマティを媒介に
エオルゼア十二神を"降ろす"――その途中で自決し、降ろしきらずに蛮神を封する。
何でもトゥプシマティの頭の部分にはエーテルを集積する効果があるそうだ。
未遂とはいえ神降ろしを効果的に使っている。『蛮族の英雄』と何度呼ばれただろう。
ただ1つ言わせてもらうなら、俺達は、いや、ルイゾワは決して私利私欲で神降ろしを
決行したわけではないし、カルテノー平原に飛び出してきた蛮神「バハムート」に
触れずして俺たちを、エオルゼアを批判する権利はガレマール帝国にはないだろう。

 ていうかよ、帝国の言い分って「武器持って脅したらもっと強い武器出してきた!」
だからよ。まずお前らが武器持って脅さなきゃ何もねえんだよ。オワカリ?
アマルジャとかコボルトとか、エオルゼアの内部にいる蛮族・蛮神について気にするなら
エオルゼア諸国と協力して打ち倒せばよかっただけじゃないのっつーか何つーか。
宗教弾圧とかしてっから宗教国許すまじって感じなのかもだけどォ。
……どーせ全部アシエンだ。アラグ帝国のコロからずっと、アシエンのせいだ。
ヒトが直接話し合えば違ったカモしれないコトを全部アシエンが間に入ってぶっ壊してる。

 ギラバニア地方に行くコトになったのはアラミゴ開放のためっつーより神龍のためだ。
蛮神バハムートの封印にも携わったという古代アラグ兵器「オメガ」を起動して、
神龍を追っかけさせて、ついでにっつーかまァ、ここまで来たら行くしかねーだろって。
内地……グリダニア、ウルダハ、リムサ・ロミンサ、イシュガルドそれぞれの大問題が
片付いて、協力できる状態になった今ならギラバニア方面に進むことが出来るんだ。
――神龍なんか使わなくてもギラバニア方面に出る準備は整ってた、というか、
もし整ってなかったらただただエオルゼアが滅んでたかもしれないっていうか……。

癪に障る。俺だって回り道はキライだが、近道のために犠牲を払ってもいいって考えは
自分勝手で滅茶苦茶なくらいは分かっているつもりだ。イルベルドの野郎は殺したりねえ。
まっとうに勝利を喜んで掴めたカモしれない命をどれだけ散らしたんだ。
そのせいでこちとら、しなくていい苦労もしたと思ってる。死にに行ったんじゃないんだ。
お前に従ったやつらは死にに行ったんじゃないんだ。生きてなきゃ意味がないだろうが。

 髑髏連隊のフォルドラ。属州生まれ属州育ち、帝国に魂を売って生きた親の子供。
生きるためだから。帝国式の教育を受けて帝国式の生き方をして、同郷のヒトを甚振る。
フォルドラに罪はないんじゃねェかな。親が悪い。親が。だってよ、逆らえないじゃん。
親だよ? 親がもう帝国に従ってんだよ。どうしろってんだよ。親が正しくなかったら、
正しくない親から生まれた自分だって正しくなくなっちゃうだろ。
そしてヒトってのはな、自分が正しくないって認めるのは難しいんだ。
正しくなくてもいいやって、正誤なんかで世界は出来ちゃいねえって考えるのは難しい。

 詰んでる。閉塞感まみれで吐き気がする。ソレを理解しないリセやユウギリも面倒だが
理解できないのも仕方ない。"想像を絶する"ってのは文字通り想像を絶してるんだ。
アイツラが想像できるような範疇にヒトビトの心はなかった。そのおかげで助かったコトもある。
つーか、もし、想像できてしまってたら諦観に巻き込まれてしまった恐れすらある。
俺がそうだ。俺はひたすらに見捨てるコトしか考えられなかった。
牙のない獣に肉を食わせるなんて無茶だ。置いた肉すら取り上げて勝手に死ねとすら思う。
俺も俺で、弱者を極端にキライすぎる節があるな。……しょうがねェだろ。イライラするんだ。
昔の俺を見てるみたいで。出来ないんじゃねえ。やってみるんだよ。馬鹿が。

 イシュガルドの問題は面倒だった。ギラバニアとドマの問題はイライラした。
そうなるだけの理由が理解できて、なお許せないものがあった。俺とは相性が悪い。
冒険が嫌だったとは言わない。荒涼とした土地に巨大な昆虫が生息している風景は好きだし、
どんなに辛くても生き延びようとして、希望が見えた瞬間に快活に変わったヒトだっていたし、
みんながみんな、同じヒトじゃないっていうくらい、俺は分かっている。
ドマもアラミゴも開放されて、きっと、もうあんな弱さに塞ぎ込むことは少なくなる。
希望があるはずなんだ。なのにどうして俺は、こんなにも弱さが許せないんだろう。

 正直なところ、俺を喜ばせないのはゼノスの存在が大きい。
クルルに手を出したのは許せないとしても、それ以外の部分では分かる所が多かった。
はじめて猛烈に負けて、無性にイライラして、戦うのが好きだってコトが分かって、
――俺は英雄サマではない。ただのアウラ・ゼラだ。周りは英雄というけれど、
確かに俺には力があるけれど、多くはハイデリンがよこしたもので、俺のじゃない。

リセはゼノスのことを最後まで獣のようだったと言った。
アイツの言葉に、同意して、頷いて、「分かる」「そうだな」「同意する」と
都度言いたかった俺もたぶんまた、獣だと思う。違うとしたら首輪があったコト。
ハイデリン、バデロン、メルヴィブ、カヌ・エ、ラウバーン、ナナモ、それから
各ギルドの、それに、オルシュファンに、……沢山のヒトが俺に託したモノがあったコト。
それぞれの『代役』としてエオルゼアの守護者である以上、俺はゼノスほど自由じゃない。
俺が全くの自由だったら、好きにできる力や知識が同じくらいあったら、俺はタブン、
ゼノスと同じことをしていたんじゃないかと思うくらいに、俺はゼノスがほしかった。

 友達になってやるから、今すぐソレをやめろ。

俺の友達ならエオルゼア同盟軍の利になるコトをすべきだ。
あ、そうか。悲しいのか、俺。なんか、うん。英雄サマとして絶対言っちゃならないケド。
俺もあそこまで友達らしい、理解できるモノを見つけたのがハジメテだったというか。
なんでこう生まれてきちゃったんだろう、みたいなの。ゼノスも思ったコトあるのかな。
話したかったな。もうちょっと一緒にいたかった。そればかり考えている。

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