長男アルトアレールとの雪原での任務を完璧にこなし、フォルタン家内での信頼を勝ち得たアリシアとドゥルガ。伯爵邸に戻ると、今度は最高に派手な装束に身を包んだ、フォルタン家の次男**エマネラン・ド・フォルタン**が、小姓のオノロワくんを従えて待っていた。
「いやぁ〜待ってたよ、アリシアちゃんにドゥルガちゃん! 兄貴の堅苦しい任務に付き合わされて退屈だっただろ? 今度はオレの超イケてる任務……アバラシア雲海の『キャンプ・クラウドトップ』の哨戒任務の番だぜ! 雲海はいいよ〜、空が青くてさ!」
「あはは! 哨戒任務っていうか、ただ遊びに行きたいだけに見えるねぇ、お坊ちゃん!」
ドゥルガが大盾を肩に担いで豪快に笑う。
「ふむ……。エマネラン、くれぐれも客分殿に迷惑をかけるんじゃないよ。アバラシア雲海の守備につくアインハルト家は、先年のドラヴァニア雲竜の襲撃によって『スチールヴィジル』を失い、家勢を落としている。くれぐれも無礼のないようにね」
アルフィノがタタルと共に書類を見つめながら、釘を刺すように真面目な顔で注意する。
「分かってるって、アルフィノくん! オレの完璧なエスコートを見せてあげるからさ! さあ、行こう!」
アリシアは街中エーテライトを爆速で全開放した時の驚異的なフットワークを活かし、「待ってよエマネラン、アバラシア雲海へのインフラ移動ルートならアタシのナビに任せて!」と、あっという間に一行をアバラシア雲海の浮島へと先導するのだった。
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### キャンプ・クラウドトップと、麗しのラニエット殿
薔薇の騎兵団が駐屯する「キャンプ・クラウドトップ」へ到着すると、エマネランはそれまでのダラけた態度を一変させ、急に胸を張って髪型を整え始めた。
「フッ、オノロワ。オレの今日の着こなしは完璧か?」
「はいはい、いつも通り派手でいらっしゃいますよ、エマネラン様」
彼らの視線の先にいたのは、アインハルト家の四女であり、この拠点の指揮官を務める凛々しい女騎士――**ラニエット・ド・アインハルト**であった。彼女は甲冑に身を包み、厳しい雲海の防衛任務に頭を悩ませていた。
「おお、麗しのラニエット殿! 君の薔薇のような美しさを守るため、フォルタン家の次男、エマネラン・ド・フォルタンが精鋭(アリシアたち)を引き連れて馳せ参じたぜ!」
エマネランがキザにポーズを決めて薔薇の花を差し出すような仕草をするが、ラニエットは深いため息をついて一瞥しただけだった。
「……エマネラン。相変わらず呑気なことで羨ましい限りだ。見ての通り、ここは物資も不足し、浮島を狙う鳥人蛮族『バヌバヌ族』の脅威に常に晒されている。遊びに来たのなら、さっさと皇都へ帰ってくれないか」
「そんな冷たいこと言わないでくれよ! ほら、オレがこうして頼りになる冒険者たちを連れてきたんだからさ!」エマネランが焦ってアリシアたちの背中を押す。
ラニエットはアリシアたちの鋭い眼光と、ドゥルガの巨大な盾を見て、少し表情を和らげた。
「……なるほど、噂の客分殿か。確かにただの冒険者ではないようだ。エマネラン、そこまで言うのなら、南の浮島周辺の様子を見てきてもらおうか。バヌバヌ族の動きが活発になっているという報告があるのだ」
「任せておいてよ、ラニエット殿! オレの真の騎士としての実力、とくと目に焼き付けてくれ!」
エマネランは嬉々として、オノロワくんが「ああっ、エマネラン様、勝手に奥へ進んでは危険です!」と止めるのも聞かずに走り出してしまった。
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### バヌバヌ族の強襲と、お調子者の大誤算
「いやぁ〜、ラニエット殿は今日も最高にイイ女だったなぁ! オレがバヌバヌ族の首長でも生捕りにして帰れば、今度こそオレの愛を受け入れて――」エマネランが南の浮島で浮かれていると、突然、周囲の雲海から巨大な影が次々と舞い降りてきた。
「「「ココモコ! 外つ国の人よ、立ち去るべし、立ち去るべし!」」」(ココモコって何?w)
風の魔力を纏ったバヌバヌ族の戦士たちが、一斉に槍を構えてエマネランたちを包囲したのだ!
「ひぇぇぇええ! 出たーーーっ! 頼むオノロワ、アリシアちゃん、助けてぇ! オレの美しい顔に傷がついちゃう〜!!」エマネランは一瞬で腰を抜かし、オノロワくんの後ろへ隠れようとする。
「ほーら言わんこっちゃない! ドゥルガ、お坊ちゃんをガッチリ回収するよ!」
アリシアがヴァイパーの連結剣をシャキーンと繋ぎ合わせ、風のように地を這うステップでバヌバヌ族の懐へと滑り込む。
「バヌバヌの風魔法かい! アタシの『リプライザル』**で威力をゴリッと下げてあげるよ! さあエマネラン、アタシの盾の裏に隠れな!」ドゥルガが**『センチネル』を展開し、バヌバヌ族が放つ突風の刃を正面からガガガガガッ!と大盾で完全にシャットアウト! エマネランはその盾の頑丈さに「うおおお! ナイトちゃんマジ女神!」と目を丸くして拝んでいる。
「ヘイトキープはバッチリだね! よーし、アタシの進化を重ねた高速連撃、味見しちゃいなよ!」
アリシアが青き魂のエーテルを解放! 『祖霊降ろし』を発動し、全身から眩い青のオーラを立ち上げる。
「**『祖霊の牙【壱】』**! **『祖霊の牙【弐】』**! 逃がさないよ、**『飛蛇の尾』**からの**『祖霊の逢着』**!!」目にも留まらぬ超高速の十文字の斬撃が、アバラシア雲海の青空に鮮やかな青い光の軌跡を描く。アリシアの神速の手数によって、包囲していたバヌバヌ族の戦士たちは武器を取り落とし、たまらず雲海の彼方へと逃げ去っていった。
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### 恋の結末と、深まる信頼
無事にバヌバヌ族を撃退し、キャンプへと戻った一行。エマネランはすっかり平伏した様子で、ラニエットの前に進み出た。
「ラ、ラニエット殿……! 見てくれ、オレのこの……冒険者たちの活躍で、バヌバヌ族を完全に退けたぜ!」
ラニエットはオノロワくんから事の顛末(エマネランが腰を抜かしていたこと)を聞いていたらしく、あきれ顔でため息をついた。
「……エマネラン。君が腰を抜かして泣きついていたと聞いたが? 本当に、客分殿の足だけは引っ張らないでくれ。……だが、キャンプの安全が確保されたのは事実だ。アリシア殿、ドゥルガ殿、アインハルト家を代表して感謝する」
「ひぇぇ〜、ラニエット殿のジト目も冷たくて最高だけど、次はもっと格好いいところを見せるからね……多分ね!」エマネランがオノロワくんに「本当ですかねぇ……」と呆れられながらも、アリシアたちの肩を組んで笑った。「いや〜しかしアリシアちゃんたちマジで強すぎ! オレ、これからは君たちのことを『オレの最高のダチ』って呼ぶことにするよ!」
「あはは! 楽しいお坊ちゃんだねぇ! 皇都に戻ったら、美味い酒でも奢っておくれよ!」
ドゥルガがエマネランの背中をバシバシと叩いて笑う。
アリシアは双剣を背中に収め、喜ぶのエモートで喜びを表現した!
「**よっしゃあ! アバラシア雲海の珍道中、これにて完全大・圧・勝ーーー!!!**」
こうしてフォルタン家の二人の息子たちの任務を完璧にこなし、皇都での地盤を完全に固めたアリシアたち。しかし、そんな彼女たちのもとに、教皇庁からの正式な依頼、そして歴史の裏に隠された「真実」を求めるための、新たなる過酷な旅路の報せが届く。
竜騎士エスティニアン、そして氷の巫女イゼルと共に往く――『高地ドラヴァニアへの旅路』が、ついに幕を開けるのだった!
(第4章『高地ドラヴァニアの旅・エスティニアンとイゼルとの出会い編』へ続く!)