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医療器具が入ったカバンを持ち、扉を開く。
中にはうなだれた様子の男がベッドに座っていた。
「おや、クロッカス。もう身体は大丈夫なのかい?」
青年は優しく声をかける。
ボロボロだった身体は、治癒魔法と本人の生まれ持った治癒力で元に近い状態まで戻っている。
だが、当の本人はその顔に後悔を滲ませている。
「浮かない顔だね。…君の責任ではないよ。」
何度もかけた言葉だが、本人には決して届かない。
「俺が…もっと強ければ…兄貴は…」
ご主人様が拐われてから丸3日。
いまだに消息は不明。
執事長として、出来うることは手を尽くした。
また、他の使用人にもいつも通り過ごすよう伝えてはいるが、やはり不安は拭えない。
それもそうだろう。
実際、私も不安な気持ちでいっぱいだ。
そんな空気を感じ取ってだろうか。
余計にクロッカスは自分を苛んでいる。
気分を変えようとクロッカスに話を振る。
「そういえば、クロッカスはどうやってご主人様と出会ったんだい?」
少しでも気分転換になればと思い振った話だが、興味本位でもあった。
「あぁ、そういえば、まだお前には話したことなかったか。」
まだ少し後悔を顔に滲ませてはいたものの、ゆっくりと話し始めた。
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その日、俺は非常に苛立っていた。
剣闘士として生計をたてていたが、敗け続きでその日の暮らしにすら困窮していた。
そんな時に、とある男に声をかけられた。
八百長を持ちかけられたのだ。
この界隈ではよくあることだった。
だが、俺は怒り狂った。
物心ついた時から独りで生きてきた。
当然食わせてくれる親も居なければ、頼れる知人もいない。
スラムの連中と一緒に、あるいは奪い合いながら生きてきた。
幸いなことに、生まれ持った身体の強さがあったお蔭で相手に勝つことの方が多かった。
だが、それも続かなかった。
理由は単純だった。
自分よりも強い相手がいたからだ。
いつも通りに因縁をふっかけ、脅し取ろうとした。
だが、その男は動じることなく、むしろこちらに襲いかかってきた。
必死に抵抗したものの、騒ぎが大きくなり俺は憲兵に捕まった。
漫然と牢屋で過ごしている時に、剣闘士の話を持ちかけられた。
相手と闘い、勝つ。
そうして生きることはこれまでの暮らしと変わらなかった。
だから俺は即座にその提案を受け入れた。
そうして、闘士の世界に踏み込んだものの連戦連敗。
それも当然のことだった。
まともな教育すら受けておらず、ただの暴力しか振るったこともなく、ましてや支援してくれる者もいない。
武器もゴミ同然の物拾って使っていた。
いわば弱者だった。
だからこそ、八百長の話が回ってきたのだろう。
だが俺は、受け入れることは出来なかった。
自分が弱者と思われたことも腹立たしい気持ちになった。
だが、それ以上に自分の全てを否定されたように感じた。
弱者であることに価値がある。
それ以外に価値は無い。
誉められる生き方をしてはいなかったことは認める。
だが、必死に生きてきた。
だから、持ちかけてきた男を力一杯ぶん殴った。
殴られた男はそそくさと逃げ帰っていった。
その姿を見送るとなぜか晴れ晴れとした気持ちになった。
どうせあの男も表を歩けないような男だ。
通報される心配もない。
闘士として闘うことは出来なくなったが、それはもはやどうでもいいことだった。
あの場所は、俺の居場所ではなかった。
所詮は金持ちの道楽。
"持っている奴等"の居場所。
そう思うことにした。
またスラムでいつものように自分よりも弱い奴から奪っていけばいい。
そう思っていたのが間違いだった。
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「ハァッ…ハァッ…」
慣れ親しんだはずのスラムが全くの別世界に感じる。
表を歩けないのは自分も同じだった。
ましてや、死んで気にする者もいない。
傷口が疼く。
突如襲いかかってきた連中から受けた傷が塞がらない。
多少の傷ならすぐに塞がるにも関わらず、痛み続ける。
撒いた。
そのはずだが、影のように付きまとわれている感覚が拭えない。
半ば錯乱状態で走り続ける。
路地を抜け大通りに出ようとした時、何かにぶつかった。
「きゃっ」
小さい悲鳴をあげて転んだ何かは小さい少女だった。
頭に血がのぼる。
邪魔者。
自分を邪魔する存在。
殺せ。
大きく腕を振りかぶる。
拳が怯える少女に触れる寸前、身体に強い衝撃が走った。
一回転二回転と身体が地面に転がる。
すぐさま起き上がり、相手を睨み付ける。
色黒の細い男がこちらを見下ろしていた。
その視線に、怒りを抑えられない。
敗北感、劣等感、憎しみ、妬み、そして悲しみ。
それらの感情に支配されていた俺は叫びながら突進する。
「俺を、見下すなぁああ!!!!」
男は落ち着いた様子で俺を見つめる。
「中毒者か…」
そんな呟きが聞こえたかと思うと、俺は意識を失った。
--------------------
目が覚めると青空が視界に写った。
「目を覚ましたか。」
頭を動かすと、そばには少女とあの男がいた。
「こ、こは…」
微かに絞り出した声で問いかける。
「路地だ。お前を運ぶのは骨が折れた。」
やる気の無さそうに答える男。
「俺は…いったい…」
未だに頭がぼんやりする。
「お前、夢想花って知ってるか?」
唐突な問いかけに驚くが、俺は頷く。
「そうか…常習しているのか?」
そこまで言われて、何を疑われているのかがわかった。
夢想花。
一種の麻薬の類いだと聞いたことがある。
「俺はそんなモノに興味はない。」
俺の答えを聞きながらもまっすぐ見つめてくる男。
傍らにいた少女が男に報告する。
「あの…身体に残っていた成分量からみて…常習性は低い…と思います…」
「そうか…」
報告を聞いて思案する様子の男。
俺は全く状況が分からなかった。
再び男が問いかけてくる。
「お前、剣闘士か?」
「ああ、少し前までは…」
「じゃあ今は違うのか。」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだ。」
初対面の男に探られていい気はしない。
だが、続く質問に俺は背筋が凍る。
「八百長をもちかけられたな?」
追手か。
心臓が素早く脈打つ。
早く逃げろと脳が叫ぶ。
「無駄だ。」
男は余裕を持って話しかけてくる。
無理やり身体を起こしヨタヨタとその場から離れる。
「驚いた。もうここまで動けるとはな。」
後ろからそんな声が聞こえる。
得体の知れない恐怖を感じた。
これまで見たこともないような男。
そこから早く立ち去りたい一心で足を引きずった。
だが、
「こんな時に…」
ふわりと現れたローブの男達。
その後ろにはぶん殴った男が下劣な笑みを浮かべていた。
「ゴミの分際でここまで逆らうなんて…ですが私は心が広いですからね。従属か死か選ばせて差し上げますよ。」
言葉と裏腹に溢れでる殺意。
それでも、答えは決まっていた。
「お前が…くたばれ…」
「ゴミが…死ね…」
ローブの男達が襲いかかってくる。
迎え撃とうにも身体は動かない。
何のために、俺は生きていたんだろう。
俺は諦め、目を瞑った。
刃が風を切り、俺の身を刻む。
はずだった。
倒れ伏すローブの男達。
そして、俺の前には男の背中。
「お前か。意味不明な薬を作って実験してる野郎は。」
突然の出来事に驚いた様子だったのは俺だけではなかった。
「おや、おや。正義の味方気取りの悲しい人ですか…」
だがすぐにとりなおし、下衆な笑みを浮かべる。
「まぁ、その男はもう役に立たなさそうですし…あなたで実験してみましょうか!」
いうや否や発砲する。
「なんだ…??」
俺の目の前にいる男は直撃したにも関わらず平然としている。
「改良した薬を撃ち込ませて頂きました…これまでのとは訳が違いますよぉ!」
狂気に満ちた笑みを浮かべながら解説を始める。
「これはですねぇ…対象を極度の興奮状態にして戦闘力を高める効果がありまして…」
興奮冷めやらぬのかその声に熱を帯び始める。
「更に!撃ち込まれたものの劣等感や憎しみ、悲しみなどの負の感情を増幅させる効果があるんですよぉ!そしてそれを元に更に肉体を強化出来る!!!まぁ理性を失わせてしまうのが問題ではありますが…些細なことでしょう?今回のはこれまで以上に効果が強く、そして早く出るように成分を調整したんですよぉ!」
目を見開き、叫ぶ男。
「狂ってやがる…」
俺は思わず呻く。
「ハハハハ!狂っている??それは褒め言葉でしょうか?貴方もいい実験台ではあったんですがね…まぁゴミみたいなデータしか取れなかったのでもう用済みです。」
「くっ…」
睨み付けることしか出来ない自分がもどかしい。
「おおっと。そうだ。新たな実験台が手に入ったので貴方は特別に相手をしてもらいましょうか。ゴミでもそれくらいの価値はありますかね?」
とことん見下され、馬鹿にされ、踏みにじられる。
それに反抗できない自分が悔しい。
「話は終わりか?」
そんな中、平然な声で問いかける男。
「おやぁ?量が少なかったですかね?じゃあサービスしてあげますよ!」
乾いた発砲音と共に何度も撃ち込まれる薬。
ゆっくりと歩きだす男。
その足取りには、先程聞かされたような錯乱した様子はない。
「なぜ、なぜ!まさか薬が入っていないんじゃ…」
慌てて自分の持つ銃を調べる。
「安心しろ。しっかりと薬は入っている。」
ついに目の前にたどり着く男。
「入っている…??おかしい!成分を強くした分理性も失うはず…」
「いいデータが取れたじゃねぇか。良かったな。まぁ、もう次は無いのが残念だがな。」
「ヒッ…」
拳を一振り。
この場に立つのは男一人だった。
俺よりも身体は小さいのに、その背中はやけに大きく感じた。
「おい、あんた…大丈夫なのか…??」
つい、声をかける。
「あぁ…アイツの言っていたことは本当だったんだな。力が湧き出てくるよ。」
ゆっくりと振り返る男。
俺は、恐怖した。
錯乱して襲いかかってくるかもしれない。
それだけではない。
その眼に恐怖した。
足が動かない。
不格好になりながらも後ずさる。
目の前に男が迫る。
「安心しろ。」
男が言う。
「あんな薬で狂うほど、俺の背負っておるものは軽くない。」
勝てない。
本能で悟った。
俺と違いすぎる。
いったいどんな人生を送ってきたのだろうか。
身体を劣等感が包み込む。
「そうか…あんたも持ってる人間か…そうか…」
ふと口から溢れる言葉。
「なんだ…??」
気に障ったのか睨み付けてくる男。
言葉が溢れでてくる。
「だってそうだろう…俺は何も無い…だから…こんな惨めな人生で…俺だって…」
大きなため息をつく男。
「そんなことを考えているのか…」
蔑む訳でもなく、見下す訳でもない。
ただ、真っ直ぐな眼でこちらを捉える。
「お前、本当に惨めだな。」
返す言葉も出ない。
「何もない?何もしなかったの間違いじゃないか?」
黙り混む俺に畳み掛けるように言葉を続ける。
「自分はなにもしない癖にうだうだと責任を他人に擦り付ける。そして、ちょっとでも努力している奴を妬む。周りが進んでいく度に劣等感を募らせ、当たり散らす。全くもって惨めだな。」
言い返す気力もない。
言われて気が付く己の惨めさ。
地べたに這いつくばっているのがふさわしいと思った。
だが、
「そうだな…取引するか。」
男は懐から葉巻を取り出し火をつける。
いつの間にか少女も傍にいる。
「お前の望む全てをやろう。」
唐突に提案をする男。
「金、知識、地位、名誉。それ以外にもお前の望むもの全てを。」
日が沈み始め、男の背中から夕陽が差す。
「その代わり、お前の全てを差し出せ。」
逆光で表情は見えない。
「いままで生きてきた人生を捨て、過去のお前を殺せ。」
手を差し出してくる。
これは、悪魔の取引だ。
全てを得るか、全てを失うか。
「さぁ、選択しろ。いま、ここで。お前が決めろ。」
地べたに這いつくばる俺の目の前に手を差し出される。
一瞬の戸惑い。
だが、腹は決まっていた。
差し出された手を取る。
「もう、惨めに生きるのは嫌だ。」
手を貸してもらいながら立ち上がる。
男は悪魔のような笑みを浮かべながら言う。
「取引成立だ。」
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「そうして俺は、クロッカスとして生きていくことになったんだ。」
話したことで気が紛れたのか、幾分穏やかな表情を浮かべるクロッカス。
「そんな出会いがあったんだね…」
ご主人様は相変わらずだなと思った。
「あぁ、そうだ。そういえば俺からもひとつ聞いていいか?」
「なんでしょう?」
「その、結構長いこと一緒にここに住んでいるがお前の名前を知らなくてな。ほら、他の奴等はみんな兄様と呼ぶだろう?執事長とは呼んでいるが…なぁ?」
「あぁ、僕の名前ですか?それは…」
そこまで言って、激しくドアを叩く音に言葉は遮られる。
「どうぞ。」
許可すると勢いよく部屋に入ってくる三姉妹。
どこか怯えた彼女達の様子にただ事ではないと察する。
「何があったんですか?」
執事長として訪ねる。
返ってきた言葉は最悪だった。
「兵隊達に囲まれています…!!!」
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