キャラクター

キャラクター

Dark Knight

Arusena Prele

Valefor (Gaia)

このキャラクターとの関係はありません。

フォロー申請

このキャラクターをフォローするには本人の承認が必要です。
フォロー申請をしますか?

  • 0

Once Upon a Time in Eorzea―黄金の炎―(前編)「6、第七霊災①」

公開
   6 第七霊災

 歴史の歯車。それに狂いが生じ始めたのはもっと以前からだったのかもしれないが、[エオルゼア]の民に目に見えるかたちとなったのは今から約二五年前へと遡る。
 第六星歴一五五二年。三大州の中でも最大面積を誇る中央の〈イルサバード大陸〉を統一し、〈オサード小大陸〉の一部をも属州下に治めたガレマール帝国は、いよいよその矛先を〈アルデナード小大陸〉へも向け始めた。
 帝国軍軍団長ガイウス・ヴァン・バエサルに率いられた第XⅣ軍団が〈アルデナード小大陸〉の北東――〈ギラバニア〉を領する都市国家アラミゴとの国境線上へと侵攻。
 この出来事を境にして[エオルゼア]全土に不穏な空気が漂い始める。
 その五年後。アラミゴにて時の王であったテオドリックの暴虐に耐えかねた民衆が武器を手に取り蜂起をする。革命の末、テオドリックは民衆勢力によって討ち取られるも、侵攻の機を窺っていた帝国軍がその混乱に乗じてアラミゴへと奇襲をかけた。不意を突かれたアラミゴ国軍と民衆勢力は総崩れとなり、アラミゴは僅か数週間足らずで陥落。帝国の属州下へと組み込まれ、アラミゴ準州へとその呼び名を変えることとなる。
 帝国の脅威に対し、[エオルゼア]の北方――低地ドラヴァニアに植民都市を持つ北洋の国家――シャーレアンは全面戦争を回避するため帝都へ特使を派遣したが、相手を交渉の場に引き出すことすらできずに失敗。シャーレアンは植民都市の放棄を決定する。
 残りの[エオルゼア]の都市国家――リムサ・ロミンサ、ウルダハ、グリダニア、イシュガルドの四カ国は[エオルゼア都市軍事同盟]を発足。対抗の構えを見せるが足並みは揃わず、その対応はほとんどが後手に回る結果となった。
 帝国の勢いは衰えるのを知らず、そのさらに五年後の第六星歴一五六二年。同軍団の飛空戦艦[アグリウス]を旗艦とする大艦隊がアラミゴ準州から[エオルゼア]中央部――〈モードゥナ〉地方へと向けて進発した。だが思わぬ障害がその行く手を阻んだ。
 空の彼方を覆いつくさんばかりの翼を持つ黒い影の大群。
 それは幻龍[ミドガルズオルム]に率いられた[ドラゴン族]の群れであった。
 両勢力は〈モードゥナ〉地方西の銀泪湖上空で激突。後に[銀泪湖上空戦]と呼ばれるこの戦いは激戦の末、帝国軍が[アグリウス]の動力炉を自ら暴走させ、[ミドガルズオルム]を自爆に巻き込み相打つかたちで決着となった。
 旗艦を失った上、戦力の損耗は想像以上に激しく、帝国はアラミゴ準州への撤退を余儀なくされる。

                      ◆

 それと時を同じくして、[エオルゼア]各地では[コボルド族]、[サハギン族]、[イクサル族]などといった獣人種族たちによる[蛮神]の召喚が相次いでいた。
 [蛮神]。それを奉ずる者の祈りの力とクリスタルを糧として呼び降ろされる荒ぶる神。その身から発する強烈な[エーテル]によって人の魂を捻じ曲げ、強制的に狂信者――[テンパード]へと変えてしまうこの異形の存在は、仮に討伐に成功したとしても先の条件さえ満たしていれば何度でも復活する上、その顕現を維持するために大地に満ちる[環境エーテル]を吸い続ける。[環境エーテル]が吸い尽くされれば、その果てに待っているのは草一本、虫一匹生まれない「死の大地」なのだ。
 当時、〈ラノシア〉では[コボルド族]が岩神タイタンを召喚し、[サハギン族]は水神リヴァイアサン召喚に向けて不穏な動きを見せ始めていた。イシュガルドが領する北の大地〈クルザス〉では[イクサル族]が嵐神ガルーダを召喚。翌々年には[アマルジャ族]が焔神イフリートの召喚に成功。ウルダハが領する〈ザナラーン〉の南――ザンラク地方へと進軍を開始し、当地の一角を占拠した。
 その頃、北洋のシャーレアン本国において大賢人ルイゾワ・ルヴェユールの下に十二人[賢人]が集結。「エオルゼアの救済」を目的とした秘密結社[救世詩盟]が結成される。
 翌一五六三年。撤退した帝国軍はグリダニアが領する〈黒衣森〉と接する国境線上に巨大防壁[バエサルの長城]を建設。帝国が防衛重視の方針へと転換したことで、当面の危機は去ったと認識したイシュガルドが[エオルゼア都市軍事同盟]からの脱退を宣言する。かの皇都は以後、長年の宿敵である[ドラゴン族]との戦いに専念することとなる。
 最大兵力を有していたイシュガルドが脱退したことは、[エオルゼア都市軍事同盟]にとって大きな痛手となった。結成当初から掲げていた共同軍設立の方針が白紙撤回され、紆余曲折の末、内部に防衛条約審議会の設置を決定するが、同盟そのものは一五七二年の[グランドカンパニー]設立まで形骸化の一途を辿って行った。
 そんな中でルイゾワは[エオルゼア都市軍事同盟]参加国に対して[賢人]を派遣。各国の指導者層とコンタクトさせ、霊災規模の危機に対応するための国内の軍事、経済、技術を結集した統合司令部――[グランドカンパニー]の設立を働きかける。しかし、これが実を結ぶこととなるのは約九年後のことであった。
 同盟軍と帝国軍の対立が膠着状態へと入ったことにより、〈エオルゼア〉には奇妙な平和が訪れる。
 [凪の時代]と呼ばれるこの後五年間。各国は蛮神召喚をはじめとした自国領内の問題へと対処することになる。人々が[蛮神]を召喚する獣人勢力のことを帝国風に「蛮族」と呼ぶようになったのはこの頃からだった。
 均衡が破られたのは第六星歴一五六九年九月三〇日。この日の午後、グリダニアから〈リムサ・ロミンサ〉までの空路を辿っていた「ハイウインド飛空社」の飛空艇――ハイウインド二八便が、ガレマール帝国第XⅣ軍団の飛空戦艦の攻撃を受けて撃墜される事件が発生する。飛空艇の乗組員および乗客たちは全員死亡。これを皮切りにして帝国による飛空艇撃墜事件が相次ぎ、翌年三月、同社は定期便の就航取り止めを発表。以後、臨時便のみの運行に切り替える事態となった。
 この事件を発端にして、それまでたまりに溜まっていたエネルギーが一気に噴き出し始めた。

                      ◆

 第六星暦一五七二年四月から第七星暦第七霊災元年へと至る七ヶ月間の時の流れはまさに怒涛の一言に尽きる。
 同年四月。アラミゴ準州に駐屯していた第XⅣ軍団に東方戦線から増援が派遣されてきたとの報告が、当地に潜入していたグリダニアの諜報員により森都へともたらされる。
 同年五月。[救世詩盟]の「賢人」たちの水面下での働き掛けが功を奏し、[エオルゼア都市軍事同盟]参加国の中に[グランドカンパニー]が設立。リムサ・ロミンサは「黒渦団」、ウルダハは「不滅隊」、〈グリダニア〉は「双蛇党」と名づけられる。
 それと同時に各国[グランドカンパニー]が冒険者部隊の設立を発表。三国間で戦力確保のための冒険者獲得合戦が繰り広げられることとなった。
 この頃、巷間であることが囁かれ始めた。
 夜空に輝く月。その傍らに浮かぶ衛星「ダラガブ」が徐々に地表へと近づいてきているというのだ。
 この異変と期を同じくして帝国軍が[エオルゼア]へと侵攻を開始、それと連動するようにして各地では蛮神召喚が活発化。〈ザナラーン〉にはイフリートが、黒衣森にはガルーダ、そしてモーグリ族が呼び降ろした善王モグル・モグ十二世が相次いで現れ、[エオルゼア]は三つ巴の戦いへと発展していった。
 特異だったのはイフリート討伐作戦だ。焔神討伐に向かう途上、派遣された冒険者部隊がガレマール帝国第Ⅶ軍団軍団長――ネール・ヴァン・ダーナス自ら率いる部隊と遭遇。冒険者部隊の進路を妨害して交戦状態へと突入し、同盟側は撤退へと追い込まれるという事態が発生した。
 帝国側の介入はあったものの、蛮神たちはルイゾワの指揮の下討伐に成功。だがその過程で判明したある事実が各国[グランドカンパニー]司令部に報告書として上げられる。
 本来、蛮神の討伐に成功した場合、吸収された[環境エーテル]は大地へと還元される。だが今回はそれが発生せず、還るべき[環境エーテル]は別の存在へと吸い上げられていた。 
 天に瞬く赤き妖星――[ダラガブ]に。
 同年七月。各国[グランドカンパニー]が一般市民向けに[ダラガブ]の異変について公式の見解を出す。
 まずは衛星[ダラガブ]の正体。
 それは今から約五〇〇〇年前の第三星暦に、魔法と科学を融合させた[魔科学]と呼ばれる科学技術によって世界を支配していたといわれる巨大国家――古代[アラグ帝国]が打ち上げた人工物であること。
 そして、ガレマール帝国がその[ダラガブ]に蛮神が吸収した[環境エーテル]を注ぎ込み活性化させているという事実。
 もちろんその事実は多くの市民を驚かせたが、同時に受け入れ難いものでもあった。  
 星を空に打ち上げるなんてそんな馬鹿なことがあってたまるものか、と。
 同年八月上旬。[エオルゼア]各国が蛮神対策に奔走する中、ガレマール帝国第Ⅶ軍団と第XⅣ軍団は連携して〈モードゥナ〉地方の一角を占拠。前哨基地を設営するのと並行してある施設の建造を始めた。
 [交信電波塔]。名目上は衛星[ダラガブ]との通信を目的とする施設であったが、本当の目的は違った。[ダラガブ]を惑星[ハイデリン]へと降下させ、[エオルゼア]への落下軌道を辿らせるための誘導装置。
 衛星そのものを巨大な質量弾にして大陸ごと蛮族を根絶やしにすること。それが帝国の計画だった。
 それを看破したのは、魔導技術に関するオブザーバーとしてエオルゼア同盟に招かれていた[ガーロンド・アイアンワークス社]会長シド・ガーロンド。先の[ダラガブ]についての情報を提供したのも彼である。電波塔の基礎設計を行ったのは彼の実父ミド・ナン・ガーロンドであった。
 シドの証言によれば、帝国は約一〇年前よりこの計画を進めており、実証実験のために同様の施設を属州内の城塞都市「シタデル・ボズヤ」に建設。実験を試みたが、莫大なエネルギーが[交信電波塔]へと降り注ぐ結果となり、都市ひとつを蒸発させるという惨劇を引き起こしていた。
 もしこのまま放置しておけば[ダラガブ]の落下だけでなく、〈モードゥナ〉が「シタデル・ボズヤ」の二の舞になるという事態も発生しかねない。
 同年八月下旬。[エオルゼア同盟軍]の再結成が正式化し、ルイゾワがその軍師に就任。その最初の共同作戦「交信電波塔破壊作戦」が立案、発動される。
 作戦は成功を収めるも、計画の首謀者と思しきネールは逃亡。しかも[ダラガブ]の落下は止まっておらず、地表へ接近し続けているとの観測結果がほどなくして[エオルゼア同盟軍]司令部へと届けられる。
 [エオルゼア]に終わりの時が訪れようとしている。
 市民たちの間で漠然とした不安だったものが現実味を持って徐々に広まり始めていた。
 同年九月上旬。[エオルゼア同盟軍]、ネールの追跡及び捜索を開始。発見には至らず。
 同年九月下旬。ネールが古代アラグ文明の遺跡が数多く現存する〈クルザス〉東部低地の〈フィールド・オブ・グローリー〉一帯に向かっているとの報が同盟軍へともたらされる。同盟軍はただちに偵察部隊を派遣するも敵の攻撃によって壊滅。
 同年一〇月上旬。[エオルゼア同盟軍]が〈クルザス〉上空を浮遊する「島」を発見。「島」の正体は古代アラグ文明の遺跡を、その中に眠っていた[魔科学]の力で地盤ごと浮き上がらせたものだった。「島」からは[交信電波塔]から照射されていたものと酷似した光の柱が[ダラガブ]へと向かって放たれていた。
 同年一〇月中旬。[エオルゼア同盟軍]は冒険者の中から特に戦闘技術に優れた者達を少数選抜。ネール誅殺を作戦の目的として「島」へと送り込む。後に[月下の戦い]と呼ばれることになるこの戦いは熾烈を極めたが作戦は成功。「島」は制御を失い、崩壊して地上へと落下した。しかし制御装置を失ってもなお、同盟軍を嘲笑うかのように[ダラガブ]の地上への落下は止まらなかった。
 同年一〇月下旬。ルイゾワが[エオルゼア同盟軍]に一計を案ずる。自身が携える杖――トゥプシマティで[環境エーテル]を束ね、[エオルゼア]に住まう民の祈りを糧にして、[エオルゼア十二神]を呼び降ろし、その力を利用して[ダラガブ]を天へと押し戻し再度封印するという秘策。しかしこれは蛮神召喚と同義の行いであり、[エオルゼア]の民すべてを、[テンパード]化させるリスクを伴う苦肉の策であった。却下されるのを懸念したルイゾワはその力のみを顕現させる手法を探ることを同盟軍に提案、採用される。
 このようなリスクを冒してまで、同盟軍司令部がルイゾワの策の採用に踏み切ったのは、[ダラガブ]の落着によって[エオルゼア]全土が想像を絶する災厄に見舞われるという危機感からであった。
 すでに[ダラガブ]は月よりも巨大な姿で地上を睥睨していた。
 表面から突き出した柱のシルエットが地上からでも視認することができた。それが紛れもない人工物であることを人々はここに至って確信した。
 同年十一月上旬。ルイゾワは「神降ろし」の秘術のために儀式の準備作業へと着手した。
 各国[グランドカンパニー]は同盟参加国の住民に神々への祈りを捧げることを奨励。
 [ダラガブ]の輝きによって空が終末の赤に染まる中、[エオルゼア]全土が祈りに包まれていた。ある者は家で、ある者は教会で、ある者は街の広場で、ある者は森の大樹の下で……。
 ちょうどその頃、[エオルゼア同盟軍]の下に予想だにしない人物から情報がもたらされる。情報の提供者はガレマール帝国第XⅣ軍団軍団長ガイウス・ヴァン・バエサル。[ダラガブ]の落着予想地点と目されていた[エオルゼア]中央部に広がる〈カルテノー平原〉に、ネール麾下の第Ⅶ軍団の残党が集結しつつあるとの報せだった。
 残党の目的は恐らくはルイゾワの策の妨害。
 同盟軍司令部は出陣の檄を各国[グランドカンパニー]に飛ばした。
 第六星歴一一月九日。[カルテノーの戦い]前夜のこの日、各地で奇妙なことが相次いだ。
 〈黒衣森〉では鹿や猪、猿といった野獣たちが姿を消した。〈ラノシア〉では鼠の大群が次々と海へと飛び込み、海岸はその溺死体で埋め尽くされた。〈ザナラーン〉では夕方、黒衣森の方角から空を覆い尽くすほどの大小の鳥の群れが、けたたましい鳴き声をあげながら南の方角へと飛んで行くのを大勢の人間が目撃した。他にも小蟻の群れが列を成して屋内へ侵入する光景や、飼い犬が鎖を引きちぎらんばかりに暴れ回る姿がこの日各地で確認されている。
 それらが何かの前兆だと捉えようとする者は少なくなかった。
 恐ろしい何かがやってくる……。
 禍々しい輝きを放つ[ダラガブ]が人々の心に暗い影を落とした。

                      ◆ 

 第六星歴一一月一〇日。第六星歴最後の戦い[カルテノーの戦い]始まる。
 [エオルゼア同盟軍]は青い霧に煙る北ザナラーンへと集結した。その総兵力二万。朝に進発した大軍勢はそのまま北上して〈モードゥナ〉を抜け、西回りのルートを辿って日没前に平原へと入ると部隊を展開。高台でトゥプシマティを手に「神降ろし」の儀を開始したルイゾワを守るために陣を敷く。
 対するガレマール帝国第Ⅶ軍団の兵力は同盟軍の約三分の一。本隊をカルテノー東端に布陣させ、後方撹乱のために伝令を飛ばして遊撃隊を〈モードゥナ〉の拠点から出撃させた。
 これに対抗して同盟軍臨時司令部は冒険者のみで編成された部隊を迎撃に向かわせる。
 第六星歴一一月一一日夕方。[ダラガブ]が大気圏へと突入を開始。摩擦熱でプラズマ化した大気によって衛星を覆う外殻の一部が剥離し、黒煙をたなびかせながら地上へと落下する。
 たれこめる黒雲を突き破って巨大な炎の滴が降り注ぎ、爆発音が轟く空の下、角笛が雄々しく吹き鳴らされて戦いの火蓋が切って落とされた。
 この日行われた戦闘はまさに総力戦と呼ぶにふさわしい凄まじいものだった。
 先に仕掛けたのは同盟軍。
 先陣を切るのは「双蛇党」。攻撃陣形を敷くと軍旗を吹き荒ぶ風に翻らせ、装甲を纏った陸生の大型鳥――チョコボに跨った槍術士たちが槍を構えて突撃する。その後ろには戦斧を手にした「黒渦団」の斧術士部隊と剣と盾を構えた「不滅隊」の剣術士部隊が続いた。
 それに呼応するようにして、魔導兵器を中核に据えて編成された帝国軍の歩兵部隊が防御陣形を敷いて前へと進み出る。
 東西から押し寄せる巨大な人の波が喊声を上げながら平原の中央で激突した。
 地面に爪を食い込ませ、土を蹴り払い、砂塵を波立たせながら戦場を疾駆するチョコボの突進力と、その勢いを乗せた槍術士の一撃が大盾を地面へと突き立てて待ち構えていた帝国軍の戦列を粉砕した。
 騎兵たちが突き崩したそこへ斧術士と剣術士が武器を振るって躍りかかる。振り下ろされる豪斧が兵士を盾ごと断ち割り、繰り出される剣閃が敵を切り伏せた。
 帝国軍側も反撃を開始する。
 青燐水をその燃料とする発動機を搭載した自律制御式無人型魔導アーマー――魔導ヴァンガードが、その両腕に装備されたサーメット製の巨大ドリルを同盟軍へ向けて旋回させ始めた。
 推進器を内蔵したドリルが炎を吐き出しながら放たれると、回転するドリルの刃が陣を切り裂いた。短距離を一直線に駆け抜け、やがて推進剤を切らせて白煙を揺らめかせながら地面へと落下。内部に仕込まれていた火薬が炸裂し爆散すると、それによって加速された無数の金属片が兵士たちの体を穿った。
 だがこれで退く同盟軍ではなかった。
 同盟軍の歩兵部隊の後方を距離を取ってじりじりと移動していた「双蛇党」の弓術士隊がその歩みを止めた。
 命令が下ると弓兵たちは鮮やかな手さばきで長弓に矢を番え、空へと向けて弦を引き絞る。
 張り詰めた殺気が弓兵たちの間に満ち、号令が発せられると疾風を巻きつかせながら一斉に矢が放たれた。風切り音が鋭い叫びと化し、急角度の放物線を描きながら、銀の雨となって帝国軍が誇る魔導兵器群と兵たちへと降り注いだ。矢の雨は魔導兵器群の装甲を射抜き、兵たちの甲冑を貫いてその一部をハリネズミへと変えた。
 狼狽する帝国兵たちへ追い打ちをかけるものがあった。
 攻撃魔法。弓術士隊のさらに後方では「不滅隊」の呪術士隊がその詠唱を終えていた。体内に渦巻く[エーテル]がその研ぎ澄まされた精神と共鳴し、炎、冷気、雷となって帝国軍へと襲い掛かった。
 いかに甲冑や装甲の表面に対魔法処理――絶霊体塗料を塗布しているとはいえ、畳み掛けるように浴びせられてはひとたまりもなかった。
 同盟軍の兵士たちの間を一陣の柔らかな風が通り抜けた。負った傷が瞬く間に塞がれ、痛みが和らげられる。
 それは呪術士隊と並列する「双蛇党」の幻術士たちによって唱えられた回復魔法だった。
 後方からの援護に同盟軍の前衛部隊は闘志を漲らせた。
 剣が、槍が、斧が帝国軍を打ち破る。
 果敢に攻め立てる同盟軍の勢いに飲み込まれるようにして帝国軍が後退を始めた。
 この機を逃すな、一気に攻め立てろと同盟軍が意気を上げて進撃する。
 勝てるかもしれない。その期待が兵士たちの士気を上げる。
 それを挫いたのは突如、飛来した数発の光弾だった。
 地面に着弾したそれは炎の花を咲かせて同盟軍の一角を吹き飛ばすと、発生した衝撃によって騎兵をチョコボから滑落させ、歩兵を叩き伏せ、チョコボを地面へと這い蹲らせた。
 濛々とたちこめる土煙の向こうから擦れ合う金属音を響かせながらそれは現れた。
 二足歩行式騎乗型魔導アーマー「リーパー」。
 ガレマール帝国魔導省兵器開発部門内に設けられた兵器戦略研究室が設計、開発を行い完成させた新型兵器。数週間前に五〇〇騎が本国の魔導工場でロールアウトを完了し、そのうちの約二〇〇機余が[エオルゼア同盟軍]との総力戦を見越した皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスの勅命の下、第Ⅶ軍団へともたらされていた。
 相対する者への心理的効果を狙った鋼鉄の異形と呼ぶにふさわしい威圧的なフォルム。漆黒に塗装されたサーメット合金製の装甲を纏ったその内部には高出力の新型発動機と、それによって生み出された高エネルギーを撃ち出す魔導カノン砲を搭載していた。
 慄く同盟軍に帝国の鉄の死神たちが横一列の密集陣形を敷きながら迫る。
 機体背部の青燐機関が不気味な唸り声を上げ、発生したエネルギーが装甲内をリング状に走るコイルの中を駆け巡ると、機体正面の開口部に小さな閃光が弾けた。前面上部の装甲が大きく上向きに展開し、巨大な光弾へと変貌した閃光が凶悪な咆哮を上げて同盟軍へと向かって解き放たれる。光弾は射線上にいる兵士たちをその熱量で焼き殺しながら前衛部隊を貫くと後方へと着弾。噴き上がる爆炎が支援部隊を切り崩した。
 未知の兵器とそれによる恐るべき破壊力を前にして同盟軍の兵士たちの間に動揺と恐怖が波となって伝染する。
 形勢は新型魔導兵器の投入により逆転した。帝国軍は勢いを盛り返し、後退していた歩兵部隊が攻勢へと打って出る。
 同盟軍はカノン砲の波状攻撃によって陣形がズタズタに切り裂かれ、指揮系統が混乱。戦況は敵味方入り乱れる大乱戦へともつれこんでいった。
 剣戟の音が空を覆い尽くし、交わされる刃が火花を散らした。
 閃光が弾け、砲声が轟き、大気が熱を帯びる。
 火炎が渦を巻き、氷塊が砕け、稲妻がうねった。
 肉が切り裂かれ、血飛沫が躍り、骨が砕ける。
 爆炎が上がり、土砂が舞い、地面が抉り取られた。
 戦場が混沌とした様相を呈し始めたその頃、[エオルゼア]三国の都市や街では異変が起きていた。
 何かに追い立てられるようにして魔物たちが城門や城壁、柵を破って都市内や街の中へと雪崩れ込んできたのだ。突然の事態に都市内はパニックに陥った。民衆が悲鳴を上げて逃げ惑う中、防衛の任についていた各国の治安組織と冒険者たちがこれに応戦。パニックはやがて次から次へと押し寄せる魔物の群れとの市街戦へと突入していった。
コメント(0)
コメント投稿
フォーラムモグステーション公式ブログ

コミュニティウォール

最新アクティビティ

表示する内容を絞り込むことができます。
※ランキング更新通知は全ワールド共通です。
※PvPチーム結成通知は全言語共通です。
※フリーカンパニー結成通知は全言語共通です。

表示種別
データセンター / ホームワールド
使用言語
表示件数