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Lambretta Innocenti

Aegis [Elemental]

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  • 7

あるララフェルの冒険記録15 ワークアウト出撃せよ!②

公開
 3 援軍到着


「……げほ、げほ……」

耳鳴りがキンキンうるさくて自分の咳する音も遠く、鼻と喉が痛い!く、苦しい……。

「げほげほ……何ですか、何が起こったんですか……?」

でも、しばらくすると視界一杯の粉塵も薄れていき、段々と周囲の光景が見えてきました。

「えっ……?」

なんとうちのFC天幕が建っていた地面に、巨大なクジラが突き刺さっていました。

「こんばんは!遅くなりました(^^)」

「ゆうきさん!」

どうやらあの未確認飛行物体は、ゆうきさんのマウントの、クジラだった様です。

「みんなを拾いながら飛び回ってたら遅くなっちゃったので、めっちゃ飛ばしましたよ!あははっ」

そう言って明るくカラカラと笑うミコッテ族の女竜騎士・ゆうきさん。その後ろで、土煙の中でよろよろと立ち上がる、もう一人のミコッテ女性、メアリーさんの姿が見えました。

「こわかった〜ゆうきくんスピード出し過ぎだよ^_^;;;」

「わははっすいません!」

全く悪びれる様子もなく、楽しそうに笑うゆうきさん。展開が早すぎて頭が追いついていかないですが、とりあえず私はメアリーさんの方に駆け寄って、

「メアリーさん、大丈夫ですか?」

「うん、なんとか……^_^死ぬかと思った^_^;」

へろへろになりながらも、ミコッテ召喚士・メアリーさん到着。

「あと、誰が乗ってたんですか?ええと、これに……」

私が地面から生えているクジラを指差しながら、メアリーさんにそう訊こうとした時、ココさんの陽気な声が聞こえて来ました。

「あっ、かじさんがここに転がってる!イェーイ!かじさん元気〜?」

「あたた……!なんや、どこやここ?もう着いたんか……?」

どうやらクジラの上で寝ていたらしく、起き抜けの頭をふらふら揺らしながら立ち上がるかじさん。

「♪クジラで突撃、マジ衝撃!」

「やかましいわ!」

ココさんの軽快な歌を鋭いツッコミで断ち切ると、周囲を見渡すかじさんでしたが、すぐさま、ああ、あかんなこれ……って顔をしていました。

「かじさんもこんばんはん」

「ランさん、遅れて申し訳ない」

「かじさん、なんかこの辺一帯が凄いことになってるんですけど……これ、どうしましょう?」

私とかじさんは、めちゃくちゃになった天幕村を二人してゆっくりと見渡し……ってぇ、ああ!お隣のぽんぽこぽんさんの天幕もぐちゃぐちゃに……ま、まずいです!

「……まぁ、あれやな、ランさん、とりあえずユーリ君が新人さんを連れてくる言うとったで。それでキッカリ八人揃うな。あっちもそろそろ着くと思うんやけど……」

かじさんがそこまで言った時、

「ラ、ランブレッタさん、げほごほ、大丈夫でしたかー!?」

土煙の壁を掻き分けて、ノマズ二等兵が再び現れました。

「あ、ノマズさん、私は大丈夫なんですけど、その……」

「うわあぁーっ!?」

滅茶苦茶になった天幕村と地面に半分埋まったクジラを見て、ノマズ二等兵は死ぬほどビックリしていました。

「これ、なんなんですか!?なんでクジラが!?」

「……」

その間にも、この騒動の中心地である私達の様子を見るために、なんだなんだと出動してきた陣地防衛任務中の兵隊さん達がいたんですが、

「しっ!しっ!この人達は味方です!大丈夫、今のは敵襲じゃ無いですっ!ほらみなさん、持ち場に戻って!本当に敵襲があったらどうするんですか!邪魔なんですよっ!早く!戻れっ!!」

その、目を血走らせた小さな新人ララフェル二等兵のあまりの迫力に、明らかに彼より階級が上の兵隊さん達も気圧されたらしく、悪態を垂れながらも、それぞれの持ち場に帰って行きました。

「あーもう!イライラする!そんなことよりランブレッタさん、早く出撃して下さいよ!もう自分の立場が、本当に、本当に危ないんですよー!!」

「いや、それは……ははは……」

そんな風に窮地に陥っている私の状況を一瞬で見抜いたかじさんが、助け舟を出してくれました。

「ララの兄さん、あんた、もしかしてグリダニアのグランドカンパニーの人?」

「はい、そうです!自分は伝令のノマズ・クワズ二等兵です!あなたはFCの代表者の方ですか?」

「せや、ノマズはん。ワイはこのワークアウトを預かってる、かじっちゅうモンです」

かじさんは全身をノマズ二等兵の正面に向き直して、

「グリダニアさんにはうちのFC含めて、ホンマによ〜ぅ、何から何まで、お世話になっとります」

そのまま、小さな軍人さんに、実に深々と頭を下げました。

「そ、そんな堅苦しい挨拶は、今はいいですから!そんな事よりワークアウトさん、早く出撃して下さい!」

そう言って、ノマズ二等兵は私達を見渡すと、

「あっ!そうだ!もう4人以上揃ってますよね?でしたら1パーティだけでも……!」

出撃出来る最小単位である4人以上の集合、そしてFC代表責任者への直談判。

この膠着した状況を一気に解決できる要素全てを満たした事に安堵したノマズ二等兵は、久しぶりの笑顔を浮かべました。……ですが、

「いや、ちょっと待ちぃや、ノマズはん!」

「えっ?」

突然、目の前に手の平を出されてびっくりするノマズ二等兵。かじさんはその手を引っ込めつつ、鋭く目を細めると、

「よそ様の持ち物を壊したまま、平気な顔でハイそーでっかと戦いに出る……そないな事は、お天道様が許しても、このFC、ワークアウトが許しまへん!」

「えっ、え!?」

「待っててーな、ノマズはん、今、トンカントンカン直しますさかい!」

そう言って後ろのみんなに振り向くと、

「ホラ、クラフタースキル持ち集合〜!こんな地獄の様相呈してはる天幕村を、片っ端から修理したるでぇ!はよう!」

「うぃ〜っス!」「はーい」

みんな、かじさんに思い思いの返事をしました。そう、実は我がFCはクラフター職人さん揃いなのです。ちなみに私は調理をちょっとだけなら出来ますよ!

「え…あ……!」

でも、ノマズ二等兵は、そんな職人さん達の心意気よりも大事なものがあるようで……再び己れの進退を賭けて、決死の説得を試みました。

「い、いや、いやいやいや!かじさん、今はそれどころじゃありません!ワークアウトさんは今すぐに出撃してください!」

そんな、これで人生決まっちゃうんです!みたいな顔をしたノマズ二等兵に、かじさんはすごくイケメンな表情で、こう穏やかに語りかけました。

「ノマズはん、ワイらワークアウトは、絶対に約束を破るなんて事は、これ〜〜……っぽっちも致しまへん」

「え、えっ!?」

「必ず、このご近所様の天幕修理をすぐに終わらせて、絶対に全員で出撃します。これは必ずお約束致します!せやから、任せてくれへんか?ほな、頼んます!この通りや!!」

深々と頭を下げるかじさん。それはとても真摯な態度で……ノマズ二等兵も、もう何も言えなくなってしまったようです。

「……わ、分かりました、自分も男です……」

そう言って、ノマズ二等兵は静かに目を閉じ、両方の拳を掲げて合わせる、見事なグリダニア式敬礼。そして私に目を合わせると、

「も、もう一度だけ、上官に頭を下げてきます。ランブレッタさん、本当に、本当に、これが最後です。軍隊には規律っていうものがあるので……ですから、今度こそ、どうかよろしくお願いします!」

そう私に言って、キリッとした表情で軍令部のある方向に走り去っていくノマズ二等兵。

その姿はとてもカッコよく、思わず応援したくなる光景でした!

……まぁ、彼を苦しめている原因は私達にあるんですけどね……。

「みんな、ごめんね!僕のクジラを引っこ抜くから、みんな手伝ってー!」

ゆうきさんの溌剌とした大声に応えて、みんなが彼女の元へと集まります。

まずは、大地にめり込んだ大きなクジラの体を全員で囲み、それぞれがガッチリと掴むと、

「「せーのっ!」」

さすが全員レベル70超えの冒険者達です、あれだけ大きなクジラが、すぽーん、と気持ちよく地面から抜けました。

((んもおぉーん♪))

クジラも、心なしか嬉しそう。

「みなさん、僕のクジラを助けてくれてありがとうございました!さぁ、始めましょー!」

「しょうがない、やりますか!^_^」

ゆうきさんもメアリーさんも、気合を入れます。いよいよ始まったのです。

そう、職人達のプライドを賭けた、天幕村の修理という、クラフター達の戦争が!

トンテンカンカン。トンテンカンカン。

もはや無人に近い静かな天幕村に、優秀な職人達による規則正しい作業音が鳴り響きます。

「あ、メアリーさん、ぽんぽこぽんさんの天幕修理は絶対に直したってバレないように、他より念入りにお願いしますね!」

「はーい、ランさん任せておくれよ^_^」

「(^_^)b」

さすがメアリーさん、もはやアイコンタクトのレベルで私の願いが伝わったようです。

でも、そんなに偉そうな注文を付けてるくせに、この場面で使えるクラフタースキルを持っていない私は、

「はい〜!はいっ!はいっ!」

とりあえず、素早くゴミ拾い。

「どれ、この美しくない景色に、秩序という名の美を、もたらすとしますか。」

そう言って、めちゃめちゃ濃そうなハイボールをグイっと美味しそうに呷ると、モモさんもクラフターとして本格的に修理を開始しました。

作業中にもゆらゆら揺れるリーゼントとバニー耳が、実に頼もしいですね。

そしてFC内でクラフター神と崇められているかじさんは、修理用の部材をものすごいスピードで量産していました。そんなかじさんの所に、ココさんが近寄っていきます。

「ココ君、どないしたん?」

不思議そうに自分を見たかじさんに向けて、ココさんはこう言いました。

「かじさん、俺、カレー作っていいスか?」



 4 ワークアウト出撃せよ!



それからしばらく、FC総出で修理に勤しんだこともあり、さっきのクジラ激突事件がまるで無かったかのように、天幕村は落ち着きを取り戻しました。

「ゴキュッ、ゴキュッ、プハーッ。やれやれ、ようやく落ちつきましたね。」

モモさんは、美味しそうにハイボールを飲みつつ、自分が担当した布材の出来栄えを見て満足していました。

「見て下さい!僕がやったここ、前より綺麗になってますよ!すごいでしょう!」

ゆうきさんも金属パーツの復元の精巧さを、みんなに見せびらかしていました。

「ランさん、おてさん達の天幕、こんな感じでいいかな?どう思う?なんか微妙に違うかな?って思って^_^;」

メアリーさんは不安そうでしたが、とても綺麗に仕上がっていたので、

「確かそんな感じでした!問題無いです!(^_^)b」

綺麗だし、大丈夫でしょう!

「よっしゃ!ええ感じに元に戻ったなぁ」

一仕事終えた職人さんの表情で、自分達の成果を見渡すかじさん。

「かじさん、私も頑張りましたよ!」

「せやな。ランさんも、ぎょーさんゴミ拾うてくれて、えらかったでー。よぅ頑張ったなぁ」

「えへへー。いえいえ、それほどでも、ありますよ!」

私も、自分の出した成果を見て、すごく誇らしい気持ちで満面の笑みを浮かべながら、生まれ変わった……いえ、まぁその、元の姿に戻っただけなんですけど……とにかく、破壊前よりも綺麗になった天幕村を見渡していました。

「……あれ?そういえば、ココさんの姿が見えませんね」

ココさんはどこに行ったんでしょうか。私が辺りを見回しながら、そんな風に考えていた時でした。

(ランさーーん!)

「ん?」

遠くの方から自分を呼ぶ声が聞こえたような気がしたので、そっちに顔を向けると、

「ユーリさん!」

エレゼン族の男性冒険者、ユーリさんと、もう一人の方が魔導バイクに乗って現れました。

「ランさーーん!遅れてごめんよーー!」

ドッドコドコドコ、ドッドコドコドコ。

低音の効いた2台分の排気音と、シュインシュインと何かが回転する様なメカノイズが天幕村に響き渡り、ユーリさんと、もう一台、知らない方が乗った魔導バイクは、私達の前で停車しました。

そういえばさっきかじさんが、ユーリさんが新人の方を連れてくるっておっしゃってましたね。

「到着〜〜!みんなお待たせ〜!」


ユーリさんは大きく手を振って、みんなに挨拶。

「ユーリ君、いらっしゃい」

「ユーリさんこんばんは〜」

「ずいぶんかかりましたね。大丈夫でしたか?」

みんなもそれぞれ、ユーリさんに挨拶を返しました。

「ユーリさん、そちらの方は?」

そんな中、私がみんなを代表して、ユーリさんの隣にいる方がどなたなのか尋ねると、

「ほら、スノゥさん、みんなに挨拶よろしく!」

ユーリさんに促され、ヒューラン族の男性冒険者である新人さんは、まるで歌い手さんみたいないい声で、

「初めまして。スノゥって言います!俺はこの異世界に転生したばかりなので、まだこっちの世界の事をよく知らないんですが、さっきユーリさんに拾われました!これからどうか、よろしくお願いします!」

「えっ?」

私は、スノゥさんの挨拶の中にあったワードに、ちょっとだけ違和感を感じたんですが、その時、ユーリさんが笑いながら話に加わってきました。

「そうなんですよ!スノゥさんとは偶然、変な無気味な館の中で出会ったんですけど、話してたら意気投合しまして!俺は違う世界から来たんだとか、なんか変な事言ってて!w」

(違う世界から来た……?)

「もう話しててめっちゃウケましたw で、FCどうしようかなって悩んでたみたいで、じゃあうちに来なよって流れでw それで誘ったんですよー!w」

「そうそう!あはは!みなさん、これからお世話になります!よろしくです〜!」

よろしくー、よろしくねー等と、FCのみんながスノゥさんに挨拶を返している中、私はここ最近、自分にも関係があった様なワードに対しての興味を抑えきれずに、新人さんに質問しました。

「スノゥさん、よろしくです。私はランブレッタって言います。その、異世界?転生?ってどういう事ですか?」

ヒューラン族の男性冒険者、スノゥさんは

「ランブレッタさんですか、初めまして!ああ、異世界の事ですね。実は、俺……」

スノゥさんがそこまで言った時、

「ホラホラ!まぁ、みんな新人さんと話したいのは山々やけど、スノゥさん、今はその話は後回しや!はい注目ー!」

かじさんが大きな声で、みんなの注意を集めました。

「スノゥさん、DPS出せる?」

「竜騎士やれます!」

まるで歌声の様な、気持ちのいい声で返事するスノゥさん。

「結構や。よっしゃ!これで8人、ワークアウト軍、2パーティ分、揃ったで!」

「「おぉーーー!」」

かじさんの言葉に応え、みんな大声を出して喜びました。

「これは、先程から苦労されている、あのララフェルの伝令さんに早く伝えてあげたいですね。」

モモさんがやれやれと、大きな筋肉が乗った肩をすくめながら、私にそう言いました。

「そうですねぇ……やっとですね!」

そうです!私達も、ついに出撃の時が来た様です!

スノゥさんの件は気になりますが、この戦いが終わったら、ゆっくり聞かせてもらいましょう。


「ランブレッタさん!……やった、ついにワークアウトの皆さんが揃ったんですね……!」


そんな風に私達がワイワイと楽しく盛り上がっていた時、私の背後からノマズさんの声が聞こえました。

「ノマズさん!やっと揃いましたよ!お待たせしました!」

そう言って私が彼の方に振り向くと、

「……良かった……本当に良かった……!」

なんだか妙にボロボロになったノマズさんの姿が。

「へへ……上官に、口答えしたら、その、指導を受けましてね……へへへ……」

軍杖に寄りかかる様にして、その場になんとか立っているノマズ二等兵。

「えっ、ノマズさん、大丈夫なんですか!?私達のせいで……ごめんなさい!!」

私は彼の体を支えるために近寄ろうとしましたが、

「いえ、大丈夫です。へへへ……」

彼は左手を突き出し、介助は無用と無言の訴え。そして、震える喉の奥から訥々と、内なる自分自身の気持ちを、語り始めました。

「……自分、いえ、僕はね、あなた方、ワークアウトさんを無事に戦場へ送り出したい。ただ、それだけなんです」

ノマズ二等兵は、ぶん殴られた様な顔の青アザをぴくぴくさせながら、落ち着いた声で話を続けます。

「あなた方が天幕村を直してから行かないと嫌だと言うなら、それも叶えましょう。だって、それが僕に与えられた任務なんですから……」

その言葉の一つ一つを、私は、いえ、FCの誰もが神妙な顔で、静かに聞き入っていました。

「……でも、あのガイウスを倒したあなた方ならきっと……帝国軍に甚大な被害を与えて、追い返してくれる。その為なら、あんな分からず屋の上官に殴られるくらい、なんてこと……ないんですよ……へへへ……」

「ノマズさん……」

全員が沈黙する中、私は一歩、小さな伝令さんに近づきました。彼もこっちを見たので、その疲れ切った彼の瞳の中に、強い意思の光があるのを感じ取ることができました。

「ノマズさん。私は、こんなに私達のFCを思ってくれている伝令さんに会えて、本当に良かったです!ありがとうございました!」

私は心の底から彼に感謝の言葉を伝えました。ちょっと恥ずかしかったですけど、彼の今までの苦労を思えば易いものでしょう。

「いえ、ランブレッタさん……!こちらこそ、これから出撃してくれて、ありがとうございます……」

そこで私は後ろを向き、我がFCワークアウトの大黒柱である、かじさんを見ました。

「さぁ、かじさん!鬨の声を上げてください!」

「よっしゃ!」

かじさんは愛用の戦闘杖を高く掲げます。それを、全員が見守っています。

ノマズ二等兵はもう、嬉しさで泣きそうでした。

「はいはい、色々ありましたが、我らワークアウト軍団、これより戦場へと馳せ参じます!さぁ皆さん御一緒に!」

「ふふっ」

「よし!」

「^_^」

「はあぁぁああ!」

そんな感じで、全員が笑顔で自分の武器を構えて、楽しそうに応えます。

「ワークアウト出撃や!ほな、みんな行くでーーー!!」

かじさんの号令を聞いて、感極まった小さな伝令さんは、もう涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしていました。だって、これが彼が見たかった光景、そのものなのだから。

「「おおぉーーーーーー!」」

「ランブレッタさんばんざーい!ワークアウトさんばんざーい!グリダニアばんざーい!帝国を倒せ!うわあぁぁぁん!」

私達の勝鬨と、ノマズ二等兵の歓喜の応援が天幕村に響き渡った、まさにその時でした。

「あ、アカン、アカンアカンアカンアカン!!」

突然、かじさんがその場にぶっ倒れました。

「ど、どどどうしたんですか!?かじさん!!」

一番近くにいた私が、うずくまったかじさんの顔を覗き込んで尋ねると、

「じ、持病のシャクが……!」

苦しそうに固まるかじさんと、おろおろしているだけの私。その後ろでみんなも、この異常事態に困惑していましたが、

「衛生兵ー!衛生兵ーーーーーー!!

ユーリさんがそう大きな声で叫ぶと、天幕村のどこかにいた兵士が鐘を鳴らし、あっという間に3人の衛生兵がやってきました。

「あだだ……ランさんすまんな……ワイはここでギブアップや……。後は、任せたで……」

「しっかりして下さい!かじさん!」

彼らは流れる様な動作で、かじさんを担架に乗せると、大急ぎで救護天幕へと戻って行き……天幕村に再び、静けさが訪れました。

かじさん、緊急入院。

そして、この瞬間から、私には二つの役割が与えられました。

一つは、かじさんからこの戦いにおけるFC軍の指揮権を委ねられた事。

そしてもう一つは、この衝撃的な展開を、一言も発せず、微動だにせぬまま見守っていた一人の小さな兵隊さんに話しかける事です。

「……あの、ノマズさん……?」

まるで物言わぬ彫像みたいに佇むノマズ二等兵。返事が無かったけど、私はその続きを言わないといけません。

「……ごめんなさい、その、ワークアウト、出撃出来ませんでした……ははは……」

すると、ノマズ二等兵は両手を大きく広げ、


「あああーーー〜ーーーーーっ!!」


絶叫しながら、そのままバタンと仰向けに倒れて、気絶してしまいました。

「ノマズさーーーーん!?」

その後、私達はもう一度、衛生兵を呼びました。






つづく
コメント(7)

Ichi Maru

Ixion [Mana]

笑いどころが多すぎてもうどこから突っ込んでいいかわかんないっスwww
腹筋がさらに割れますよw

あと、メアリーさんの完成度が高すぎて、メアリーさんに会いたくなりましたw

Momo Doppelganger

Aegis [Elemental]

ランさん視点でのFCは、かじさんを筆頭にヤバい人ばかり…笑

メアリーさんの再現率、すごいですね!

ノマズ二等兵が名前からして心配です。
次回どうなってしまうのだろう。楽しみにしています。

早く出撃しましょう!

Lambretta Innocenti

Aegis [Elemental]

ココさん、モモさん、ありがとうございます。

冒頭の、3人で丘の上から陣地を眺めるシーンで、脳内に浮かぶ絵があまりにうるさすぎて、書いてて笑ってしまいました(笑)

いきなり濃すぎるメンツで始まった今回のお話、一体どうなるんでしょうか……あの人たちは本当に出撃出来るんですかね?

今回はついに1万字制限に引っかかってしまい、分割しました。

もう少しお付き合い下さい。

Yuuri Yutopia

Aegis [Elemental]

あれ!僕今回わりかしまとも!www
やっほーーーいw
おてちゃんたちも出てきて嬉しい!
早く戦いたいよー!

Lambretta Innocenti

Aegis [Elemental]

ユーリさん、ありがとうございます。


……。

ええ、そうですね……。

あの日、ギムリト・ダークで私達に何が起こったのか?
すべての答えはそこにあります!

Yuu Kyan

Aegis [Elemental]

ここさんのキャラ濃すぎて笑けるw
らんさんがギムリトのときはまだミコッテか(^ ^)
次のも楽しみにしております!

Lambretta Innocenti

Aegis [Elemental]

ゆうきさん、ありがとうございます。

まだあの時点ではミコッテでしたね!いつか私もあのクジラに乗せて下さい。

あ、くれぐれも安全運転でお願いします(^ー^;)
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