・両端に逆さに生えているように見える植物 建物に重なる部分は枯れているか根っこのように見え、中央から下の方は葉がついている植物はオリーブの木ではないかと思われる。 ギリシャ神話において、オリーブはいくつかエピソードがある。 ① 女神アテーナー(アテナ)は海神ポセイドーン(ポセイドン)とアッティカの領有権を争い、どちらが市民に役立つ贈り物をするかを競った。ポセイドンは塩水の湧き出る泉もしくは戦に役立つ馬を、アテナは食用となる実とオリーブオイルの採れるオリーブの樹を贈った。この結果、アテナはアッティカの守護女神に選ばれ、アッティカの中心となるポリスは『アテナイ』と呼ばれるようになった。 ② オリーブはヘラクレスによって極北にある理想郷からオリンピアに持ち込まれたとされている。この理想郷には『ヒュペルボレイオス:北風(ボレアース)の彼方(ヒュペル)に住む人々」の意』というアポローンを篤く崇拝する民族とされている(FF14におけるヒュペルボレア造物院の元ネタ)。ちなみにクトゥルフ神話に登場する『ハイパーボリア』は『ヒュペルボレオイ』の英語読み。 これがオリーブの木であるとして、逆さになっているという点を考慮すると、オリーブの象徴は「平和」、「知恵」、「勝利」などがあるので、それが逆さになっているということは逆の意味か? またオリーブの木には、神話上の概念である『生命の木(樹)』の1つであると言われており、『生命の樹』は神秘思想のカバラにおいては『セフィロトの樹』と同じものと解釈されている。『セフィロトの樹』は、天に根を広げて地に枝を伸ばしていく樹として図像されることがあり(エヴァンゲリオンや鋼の錬金術師にも登場する図)それを表している可能性もある。
・蛇 ギリシャ神話で蛇というと、ゴルゴーン(いわゆるゴルゴ―ン三姉妹でステンノー、エウリュアレー、メドゥーサの三人)が頭に浮かぶが、蛇が単体で描かれているため、髪の毛の代わりに生きている蛇が生えているゴルゴ―ン達を示しているとは考えにくい。 この他にギリシャ神話で蛇に関連するものはいくつか考えられる。 ① ギリシア神話に登場する名医であるアスクレーピオス(アスクレピオス)の持つ杖が、杖にヘビの巻きついたモチーフになっている。ちなみに、WHO(世界保健機関)のマークにある杖はこの杖が由来となっている。アスクレピオスはアポロンとコロニスの子であり、コロニスがアポロンによって殺される際、コロニスは身ごもっていることをアポロンに告げたので、アポロンはコロニスの体内から胎児を取り上げ、ケンタウロスの賢者ケイローンに養育を託した。ケイローンのもとで育ったアスクレピオスは、とくに医学に才能を示し、師のケイローンさえ凌ぐほどであった。その医術の技はますます熟達し、アテナから授かったメドゥーサの右側の血管から流れた蘇生作用のある血を使い、ついに死者まで生き返らせることができるようになったが、冥界の王ハーデース(ハデス)は、自らの領域から死者が取り戻されていくのを『世界の秩序(生老病死)を乱すもの』とゼウスに強く抗議し、ゼウスもそれに賛同、アスクレピオスを雷霆(激しい雷)で撃ち殺すことになる。だが、アスクレピオスの功績については認められ、天に上げられてへびつかい座となった。このことから医神として現在も医学の象徴的存在となっている。 ちなみに、へび使い座はFF14ではアシエンエリディプスの象徴(アーモロートで拾った記憶のクリスタル)である。加えて、三闘神クエなどで登場するヴォイド出身のウヌクアルハイは、エリディプスと関係があるのだが、彼の名前の元はへび使い座のへびの部分を別に『へび座』とした時の、蛇の頭にあたるα星の名称である。 ② ヘルメスが持つ杖『ケーリュケイオン(ヘルメスの杖)』は、先端から伸びた二本の小枝が本体に絡む木の枝であるが、後に小枝が2重らせんを描く2匹の蛇の意匠へと変わった。 ③ ギリシャ神話におけるエリクトニオスの姿は上半身が人間で下半身が蛇だったといわれる。 『万魔殿パンデモニウム』の元になった『パンデモニウム』は、ジョン・ミルトンの『失楽園』に登場する地獄に作られた悪魔達が住む都市の事である。この『失楽園』は旧約聖書の『創世記』をテーマにした壮大な叙事詩であり、ヤハウェに叛逆して一敗地にまみれた堕天使のルシファー(サタン)の再起と、サタンの人間に対する嫉妬、およびサタンの謀略により楽園追放に至るも、その罪を自覚して甘受し楽園を去る人間(アダムとイヴ)の偉大さを描いている。この楽園追放の中でサタンは蛇に憑依し、エデンで暮らすイヴをそそのかして知恵の木の実を食べさせて堕落させ、アダムとイヴはエデンから追放されることになる。これによって神の罰を受けたサタンは他の悪魔たちと共に蛇の姿に変えられることになる。