キャラクター

キャラクター

Ascendant Ascetic

Bikkle Kfgh

Bahamut [Gaia]

このキャラクターとの関係はありません。

フォロー申請

このキャラクターをフォローしますか?

  • 0

ララとモーグリとチョコボの物語 3話「カエルがなく森」①

公開
前話が1話あたりのボリュームが絶妙すぎたので減らしますん
だいたい⑤くらいまで続く予定で、週一くらいで更新できたらいいなあ

1話題名なしhttps://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4410781/
2話ー①思い出の街
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4417051/
4話「マスカレードとマクベスのポテトサラダ」①https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4473797/

次 https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4430462/


短編部門
灰色のお空https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4432483/






カエルがなく森①





 暗く重い空を埋め尽くすほどの密林だった。ぐにゃりと折れ曲がった枝たちは、天からの寵愛を受け止めようと幾重にも重なりながら拡がっていた。

 降りしきる雨が一枚の葉に当たれば緩やかな滴りへとその身を変えて、柔らかな葉をしならせた。雨粒は次から次へと押し寄せる。重みを感じて葉が描く曲線は強まり、とうとう耐え切れなくなれば雫となって、地面にできた水たまりの中へと落ちていく。小さな音が鳴って、波紋が広がった。

密林には道があった。

もしかしたら道と呼ばれるにはふさわしくないのかも知れない。地面は落ち葉で覆われ、境界線などとっくに消えてしまいる。その下は落とし穴のようにデコボコと波打ち、ところどころにぬかるんでいる。枝葉が侵食をして、森の一部としての調和がなされていた。

ガサリと、音がした。一頭のチョコボだった。異様に小柄な体躯には相応しい、一人のララフェルを背中に乗せていた。

雨に降られたせいだろうか、白いシャツは薄汚れ茶色に濁り、足首まで隠すようなスカートは泥に汚れ湿っている。本来であれば、このララフェルの格好も季節を感じさせてくれる装いなのだろう。しかしこの場においては異質であった。腰元の古びたセスタスが、どれほど使われてきたのだろう、ギラリと鈍い光を放っている。それがなお一層に異様さを際立たせていたのかもしれない。

フラフラ、と形容すべきだろうか。木のムロを、ぬかるみを、チョコボが何かを踏みつけるたびに、ララフェルの身体はそよがされる。しかし、そんなことを気に留める素振りもなく、ララフェルは何かを探すようにあたりを見渡していた。

「どこいったのかなあ」

ララフェルは一人、つぶやいた。



森の中に訪れるのはわずかに生き残った陽光だけだった。安らぎを与えてくれるにはあまりにも不十分。暗がりに肌寒さ、それに辺りの水気が相まれば、暗鬱とした模様が大気を占めてしまう。だからなのだろうか。ララフェルの表情は暗かった。

天を見上げれば草むらを見下ろし、木陰の裏を覗き込んでは、辺りを見渡す。その度にララフェルは肩を落とす。チョコボはそんな少女の姿を知っているのか。ただ前だけを見て、歩みを止めることはない。

どれほど進んでも、森は表情を変えようとしない。湧き出る泉があれば、小さな川がありもする。遠くでアンテロープが走れば、ヴェスパが花の蜜を探しもする。全部が同じ顔であった。何度目の落胆か。ララフェルは枯れ木の上に居座るコリブリを見ると、また一つため息をついた。チョコボが心配そうに様子を見ようと上を向こうとする。

その時だった。

 ララフェルがチョコボから飛び降りた。

足元の水たまりがばしゃりと音を鳴らし、水が飛び跳ねた。綺麗だったであろうスカートも、更に幾分か汚れてしまっただろう。しかし、ララフェルは気になどしない。

拳を握り締めると何かを振り払うように、大きく手を振りかざす。そして、破裂したように叫んだ。

「モグーーーーー!!」

震えた空気は天まで伝わり空を揺らし、どこかでまた一滴雨粒が落ちた音がした。美しい静寂だった。

チョコボがクエエと優しく鳴いた。きっと慰めの言葉だったのだろう、ララフェルは微笑むとチョコボの顔を撫でる。チョコボが目を閉じて首を差し出すと、うなずく。そうして何処へ行くのだろうか、先導するようにゆっくりと歩き始めた。

「モグのばか……」

漏れ出た少女の言葉は、雨のようだった。



次 https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/26004578/blog/4430462/
コメント(0)
コメント投稿

コミュニティウォール

最新アクティビティ

表示する内容を絞り込むことができます。
※ランキング更新通知は全ワールド共通です。
※PvPチーム結成通知は全言語共通です。
※フリーカンパニー結成通知は全言語共通です。

表示種別
データセンター / ホームワールド
使用言語
表示件数