目次＆登場人物紹介＆設定解説はこちらガレマルド、魔導城、謁見の間。
ウィギレス捜査官はヴァリスの遺体の傍にいる部下に訊いた。Sound
Only「目ぼしい物証は他に出たか？」
Sound
Only「いえ、さっきの薬莢と、血まみれの刃の破片だけですね。あとは焼け焦げや足跡ばかり、、」Sound
Only「スケッチは終わったか？」
Sound
Only「はい、陛下の御遺体と周辺、すべて終わりました」Sound
Only「足跡の記録は？」
Sound
Only「部屋にいた親衛軍全員のと、床に残っていた足跡、それらすべての位置の相関図、
すべて大丈夫です」Sound
Only「よし、物証をもう少し探してみろ」
捜査官はそう言って、今度はヴァリスの遺体を診ている男に話しかけた。Sound
Only「先生、どうです？」
Sound
Only「正確なところは解剖してみないと分からんが、おそらくは、
この肩から腹部にかけての刀傷が直接の死因だ。
ただ、この腹部の刺傷もひどい。これでは刀傷が無くとも失血死は時間の問題だったろう」Sound
Only「傷口に何か残ってませんか」
Sound
Only「見たところは無いな。解剖すれば埋まっているのが見つかる可能性はあるが」Sound
Only「そうですか、、」
Sound
Only「もう運んでいいかね？」Sound
Only「ええ、お願いします」
先生と呼ばれた男は助手に命じヴァリスの遺体を運ばせ始めた。ガレマルド、ウィギレス本部。
捜査官が戻ると彼の上司が早速訊いてきた。Sound
Only「初動捜査は終わったのか？」Sound
Only「ええ、現場は引き続き封鎖していますが、あらかたは終わりました」
Sound
Only「陛下の御遺体は？」Sound
Only「既に運び出して、まだ検死解剖中です。先生自ら執刀すると仰ってました」
Sound
Only「それはそうだろう。普通の検死医では到底やれまい」Sound
Only「軍医総監部検死部長の自分でもさすがに平静とはいかんとも仰ってましたがね」
Sound
Only「ふむ、、あとは、検死解剖の結果を待つしか無いか」Sound
Only「ええ、終わり次第連絡いただける手筈になってます。ところで、、」
ここで、捜査官は一息置いて、上司に尋ねた。Sound
Only「なぜ、私なんです？」
Sound
Only「、、どういう意味だ？」Sound
Only「私は政治経済犯部門の主任捜査官です。
殺人捜査なら強行犯部門に私以上にできる捜査官がいくらでもいるでしょう」
Sound
Only「たしかに、被害者が特殊とはいえ、これは殺人だ。
だが、同時に、政治的背景が絡む可能性も高い。
となると、むしろ政治経済犯部門の君のほうが適任、といえんかね？」Sound
Only「帝位継承争いが背景にあるとお考えですか」
Sound
Only「その可能性も含めて捜査が必要なのだ。だから、君なんだよ、主任」ガレマルド、ウィギレス本部、廊下。
捜査官が自分のオフィスに戻ろうと歩いていると、彼の直属の部下が近づいてきた。「お疲れですか、主任」Sound
Only「リッキウスか、、どうした？暇そうだが」
「ひどいなぁ、主任が仕事振ってくれないからじゃないですか。
皇帝陛下暗殺という超重大事件だってのに」Sound
Only「、、なぜ知ってる」
「情報屋が知らせてきたんで」Sound
Only「情報が早速漏れてるというのか、、それも、属州民に、、」
「漏れてるというか、漏らされてるというか」Sound
Only「どういう意味だ？」
「情報屋も複数の筋から皇帝暗殺の情報聞きつけたとかで。
意図的にばらまかれてるんじゃって言ってました」Sound
Only「この件、他の者に聞いたか？」
「いいえ。
こういうヤバい情報はまず真っ先に僕の直属のボスの主任に聞かないと」Sound
Only「、、、リッキウス、喜べ、仕事ができた」
「はい、情報漏洩源洗います」Sound
Only「あまり派手には動くな。属州民の捜査官の動員は現時点では禁じられてる。
すぐに上に状況を説明して、お前は例外にしてもらう」
「はい、主任！」次回に続く、、、
～あとがき～
Sound
Only
の表示で済ませてきましたが、今回、フレのりくさんにご出演いただくことにしました。
ガレマール帝国の首都警察の私服捜査官という設定だけ伝えて、あとはりくさんの好みというかセンスでコーディネートされてます。