目次&登場人物紹介&設定解説はこちらガレマルド、属州民居住エリア、某ダイナー。
ウィギレス捜査官のリッキウスは外出時はここで食事を摂るのを習慣にしている。「よ、マスター、いつもの、、、」
Sound
Onlyマスターと呼ばれた50代前半の男が近づいてきて声を潜めて言った。
「旦那、陛下暗殺ってのは本当ですか」「おいおいマスター、この店いつからそんな不謹慎な名前の料理出してんの?」
Sound
Only「し、失礼しました。えーと、ガレアンピッツァ、いつものハーフサイズお一つですね」「それと、」
Sound
Only「はいはい、そちらはすぐにお出ししますね」カモミールティーを口にしながら、リッキウスはガレアンピッツァを待つ。Sound
Only「あの、旦那、、」「僕は何も聞かされてないよ。少なくとも、職場からはね」
リッキウスは嘘はいっていない。彼の方から聞いて、上司が答えただけである。「聞こえてくるのは街の噂ばかりさ」
Sound
Only「は、はぁ、、」「マスターこそ、そんな噂話、どこで聞いたの?」
Sound
Only「私の情報源はここにいらっしゃるお客さんだけですよ」リッキウスは笑うだけで答えない。
この店のオーナーでもあるマスターがガレマルドで一、二を争う情報通であることを彼は知っている。
客からの情報だけではその評価は築けない。「噂は一人が言っただけでもすぐ広まる。
噂聞いたお客さん全員、情報源は一人のただのウソつきかもよ」
Sound
Only「そうかもしれませんが、ほんと色々な方々が噂するんですよ。
役所のちょいとしたお偉いさんだったり、若い軍人さんだったり」「公職だけ?民間人いないの?職人とか商人とか」
Sound
Only「言われてみれば、、皆帝国の官吏の方ですね、、文官だったり軍人だったりはありますが」(官庁から漏れてるってことか、、?)
リッキウスが少しの間考えていると、マスターがガレアンピッツァを持ってきた。Sound
Only「熱いうちにどうぞ」「おー、ありがとう」
Sound
Only「、、、噂、本当なんですか」「マスター、そんな重要情報、属州民の僕にすぐ伝わると思う?」
Sound
Only「、、、いえ」「僕だって気にはなる。だから、こうして、静かに調べてる」
Sound
Only「、、、何を知りたいんです?」「お客さんたちがどこで噂聞いたか、わかる?」
Sound
Only「ほとんどの方は又聞きみたいでしたね、、知り合いが言ってたとかばかりで」「そっか、、」
Sound
Only「ただ」「ただ?」
マスターは声を潜めた。Sound
Only「お客さんたちとは別に、複数の筋から、情報が流れてきてはいるんです。
ただ、情報をばらまく意図が見え見えで」(最初に情報くれた情報屋もそう言ってたな、、)
「マスターから見ると、信憑性に欠けるってわけか」
Sound
Only「いえ、、信憑性は高いとは見ました。
ですが、こんな重要情報、どうしてばらまこうとするのか、、
そこを確かめた上でないと危ないと考えましてね、、」「そこは僕も知りたいね」
リッキウスはそう言ってピッツァを口にし、しばらく話さなかった。
マスターも黙りこくっていた。「犯人が誰かとかは聞いた?」
Sound
Only「いえ、暗殺された、というその一点だけで、、そこはお客さんたちも情報筋も同様ですね、、
私の方で情報追ってみましょうか?」「、、今は危険かもよ。事態そのものより、情報漏洩を危険視してるから。
うちの職場は」
Sound
Only「、、!!」その一言で、マスターは、真実を悟った。
ウィギレスは、皇帝暗殺を認識してはいる、と。「ごちそうさん」そう言ってリッキウスは店を出た。
ピッツァとカモミールティーの代金、それに、情報料を残して。
次回に続く、、、
~あとがき~
次回もそうするか、はたまた上司の主任捜査官メインの話と交互に書くか、検討中です。