故郷のシンシアへ
いきなりですが、手紙を書くぞ!
……と意気込んだものの、やはり私は文章を書くのが得意ではないようです。
本当なら貴女が好きそうな美しい文章の一つでも書いてから、お手紙を始めたいのですが、無学な私にはこれが精いっぱいなのです。
でも、シンシアがこのお手紙を待ってくれている事は、私にとってもかけがえのない喜びになっているので、私が日々充実している事を少しでもシンシアに伝えたいと思ってペンをとってます。
そろそろ星芒祭の季節でしょうか。
ここシロガネでも、なんと星芒祭の準備が進んでいます。
シロガネは外国人や冒険者も住む街だから、当たり前っていえばそうなのかもしれないけど、何かヘンな感じ。
故郷でも異国のお祭りなのに、異国で異国のお祭りを祝うなんて――でも、楽しいので、私は良しとします。
シロガネに居る間もギルドのお仕事を少しずつこなしています。
お金もちょっとだけ溜まったかな。
手紙も送れない、なんてことにはひとまずならなそうです。
お金、と言えば商会にはなんと、借金で家を差し押えられている人もいます。
この間手紙に書いた先輩たちに連れられて、そのお宅も拝見してきたけど……。
でも、その人はすっごく強そうな人で”アウトロー”っていうかな、ああいう感じの人がまさに冒険者らしい冒険者なのかなってちょっと思っちゃった。
私は放っておくとお金がすぐ無くなりそうだから……そういう破天荒な生き方って出来ないかもしれないけど、自由に思うがまま、そういうのはやっぱり憧れるよね。
私は折角冒険者になったんだから、色んな人と出会ってみたい。
たくさんの事に挑戦してみたいとも思っています。
そして……色んなものを見て、色んな事を経験したら、真っ先にシンシアに伝えたい。
だから、待っていてね。
最大限の愛を込めて
ミア・カータポ