キャラクター

暗黒騎士のクエストは、勧善懲悪――つまり善行を奨励して悪を挫くといった王道のストーリーとは違った作風で紡がれてきました。暗黒騎士の在り方自体が、光を浴びるように真っ当なものではなく、弱者を救う為ならば汚れ仕事も請け負うといった、影の面に強く描写を当てたジョブなんですよね。

で、レベル50までのジョブクエストでは、ある意味プレイヤーである我々の心を代弁するかの如く、「光の戦士をいいように扱うな」「彼だって人間なんだ、都合の良い英雄なんかじゃない」とヒカセン任せのモブ達に啖呵を切っていきます。「世界を救って自分を殺すか」――いやぁ、この言葉はグサグサ刺さりました。で、まぁそれでもヒカセンはきっと誰かを助ける事を止めないんですよね。フレイさんは最後の最後で光の戦士と共に歩む事を決めて、体の中に帰っていきます。

で、それを踏まえての60～70ジョブクエスト。

いや～やらかしてくれました。
ミストという謎の子がヒカセンのソウルクリスタルを割ってしまい、一時的に借り受けたエーテルを使って死者を記憶の中から呼び起こし、五回の人助けをもってソウルクリスタルを修復したいという、何とも自分勝手なきっかけからストーリーは始まりました。
名前もどうやら持っていないようで、初見でなんじゃこの子…フレイさんの血縁の誰かかな…？
などと安直な予測を立てていましたが、ところがどっこい。

この子の正体、ソウルクリスタルに込められた多くの暗黒騎士たちの痛みや孤独を体現した存在だったんですよ。つまりミストもある意味ではヒカセンのオルタナティブ――影身とも言うべき存在だったのですね。で、この子の髪と瞳の色、イゼルの髪とオルシュファンの瞳を持ってるんですよ…
ミスト「この目だって髪だって、誰かがもう一度あいたかった「君」だ！」
つまりヒカセン(ガレス)が経験した別れの痛みを体現した存在がミスト。もう一度誰かに会いたい、別れたくない、寂しいのはもう沢山だ、というヒカセンの思いが、ミストを生み出したのだと。いや～辛い。
で、過去散っていったボスの皆様を召喚してミストは自分勝手にもその力を使って周囲の生命からエーテルを喰らい、人助けを続けようとします。
しかし、そこに現れたのが……

…たしかに、前に進もうとする人は孤独です。その足を動かせるのはいつだって自分だけだ。

…けれど、傍らを通り過ぎる人の言葉が、顔を上げさせると。
　誰かが差し伸べた手が、崩れかけた体を支えると。

…そんなありふれた奇跡に押されて進むのだと、彼はもう、自分自身に示したんですよ。

ただし、僕は敵にはなりえない。
最後まで「君」とともに在るものなのだから。

はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！？！？！？

いやそうなんですよね、そうなんですよね！
幾多もの別れを経験して、それでも前に進もうとする光の戦士と最後まで共に歩み旅をしようって言ってくれたのは君なんだよね！まさかのフレイさん再登場にｼﾄﾞｩﾙｸさんもビックり。

ミスト「思いには触れられない……記憶は薄れていく……
　　　　ずっと一緒がいい……終わらないままがいい……
　　　　生きていて、死なないで！ ぼくが護るから……ッ！」

いやこれもだってヒカセンの心の声なんだよね。いやだってそうだもんね。
誰だってそう願うし、きっとその思いは間違いじゃない。


でも、だからこそ、ここで挫かれるんだ。
痛みも苦しみもつれて旅をするといった、
君の……僕らの、強さの前にッ！

あばばばばばば(錯乱)(ｷｬﾊﾟｵｰﾊﾞｰ)
いやそうなんですよ、そうなんですよね！
別れの辛さは脚を止める理由にはならなくって、その苦しみも背負って前に進もうとするのが暗黒騎士として歩む事を決めた光の戦士の覚悟なんですよね！！！！！


で、バトル終了後。

……そうですよ。とても、痛くて悲しいんです。
　　その重みや苦しみに耐えかねて、足が止まることさえある。

……ですが、いつしかあた、性懲りも無く……足取りは、軽やかになっていくんだ。

……君の思いは認めますし、僕としては悪く無い奇跡だった。
　　ただ、やり方をもう少し考えろという事です。

　　「すき」なんでしょう？君の暗黒騎士たちと、との理想を。



ミストは頷き、消えゆく体を光らせながら、ヒカセンに向かってこう告げます。

ミスト「ぼくは、孤高の救済者より生まれしもの。
　　　　かなしみを拒み、別れを退けるもの。
　　　　……どうか、あなたにも、そうありますように」

フレイさんとミストはヒカセンの影へと還るように横を過ぎ去り、
光になって空へと消えていきました。


あと、ジョブクエストのタイトル。

「あと一度、君に会えたら」

これクリスタルが割れた時に、きっとイゼルとオルシュファンを思い出したんですよね。


いや～もう語彙力が、語彙力が仕事をしない。
ただ言える事は、このストーリーが私は途方も無く好きですし、暗黒騎士が漆黒のテーマジョブだったのも納得で、きっとこの出来事がヒカセンを更に強くしてくれるって事です。
ありがとうございました。