こんばんは。
昨日イクシオンワールドで開催されましたエオルゼア大学の講義を聴講しました初級白魔道士です。
聴講した内容と知っている内容と、新たに調べた内容をミックスしていますので、講義そのものではありませんが、レポートを提出します。
◆講義の様子
エオルゼア大学『ラノシアの岩石とリムサ様式の建築』 講義聴講の記録◆講義名:ラノシアの岩石とリムサ様式の建築
◆日時:6月24日(木) 21:00~22:00、質疑応答約1時間
◆場所:エオルゼア大学イクシオン本校、ゴブレットビュート14区19番 地下講堂
◆講師:Hornfels Topaz先生
◆講義資料:
エオルゼア大学『ラノシアの岩石とリムサ様式の建築』 講義資料1:
リムサ・ロミンサは、ラノシア地方にかまえる海洋国家である。
海賊たちが築き上げた国だが、陸に上がった海賊たちは農業を四苦八苦しながら営み、エオルゼア三国の中では食糧の供給地としてよく知られている。
リムサの街に降りたってまず気がつくのは「全体的に町並みが白い」ことであろう。石灰岩や大理石を主とした建材によって建物や彫刻が作られ、海の青と相まって非常に色鮮やかな景観を有している。
2:
石灰岩とは、海に石灰(炭酸カルシウム)が降り積もって押し固められた堆積岩であり、その出所はサンゴや貝殻など、炭素を固い殻や骨格として取り込んだ生物由来が多くを占める。長期間降り積もって押し固められたために非常に硬い岩石だが、浸食には弱く、雨水や海水、風で削れたり、レモン汁のような酸で簡単に溶けたりする。
逆に言えばそうした性質を持つ岩石は石灰岩である、という同定の証拠にもなる顕著な特徴といえる。
また、生物由来であるため化石を発見することもある。
こうした浸食作用を大規模に受けた洞窟がかの「サスタシャ浸食洞」である。サンゴなどがあるため海水による浸食をうけている。スカルバレーの海岸線には門のようにくりぬかれた崖があり、これも海水や波の浸食を受けてできあがった海食洞である。
一方、人々の生活に目を移せば、リムサの街やエールポートなどの建築物には、石灰岩の岩をくりぬいて作った建物や、石灰岩の石材を積み上げた建物、あるいは石灰を漆喰として塗り固めた建物や彫刻がある。身近な建材だけにそこかしこで使われ、ごく日常的な岩石といえるだろう。
石灰岩は浸食に弱いが硬いため、アンカーやロックボルトの打ち込みなどにより補強する処置は普通に行われるらしい。
3:
また、彫刻やタイル敷きの道、石柱などには大理石も使用されている。
大理石もまた石灰岩が元になった岩石で、岩石の名称としては結晶質石灰岩という(岩石名称の花崗岩を石材名称の御影石というのと一緒)。変成作用という過程を経ることにより石灰岩の性質が変わったものが大理石である。
変成作用は二種類ある。
・熱変成(または接触変成)…岩石にマグマが入り込むなどして高熱に触れた結果、岩石を構成する物質がやけどして変化する過程。
・広域変成…アルプス山脈やヒマラヤ山脈などのような大規模な造山運動やプレートの沈み込みといった強い圧力作用により、岩盤が広い領域で変化する過程。
ラノシアで産出する大理石は場所的にオ・ゴロモ火山が近く、マグマの熱にさらされた熱変成による大理石といえる。
なお、イタリアのカッラーラという都市は良質の大理石の産地として有名だが、この大理石はアルプスの造山運動により生成されており、広域変成による代表的な大理石といえる。ちなみにミケランジェロのダヴィデ像はカッラーラの大理石で製作されている。
4:
ラノシアは変化に富んだ岩石質である。リムサの街は前述の通り白い崖の上に作られている。テンペスト陸門から低地ラノシアに向けて出発するとすぐさま断崖絶壁にぶつかる。大部分は石灰岩であるが、ほかにも、
・ダラガブの破片やリヴァイアサンなどのエーテルにより変質した地域
・オ・ゴロモ火山(安山岩質)
・ブロンズレイクの温泉(大理石)
・外地ラノシア、アイアンレイクの火性岩
・ウ・ガマロ鉱山周辺の軽石土壌
・幻影諸島やスカルバレーの泥岩
・高地ラノシアのシルト(粘土より粒が粗い泥)、シルトの変成作用によるスレート
などなどいろいろある。
なお、安山岩質と判断したのは、色、節理の少なさ、そしておそらく火山の形も考慮してのことのようである。
節理が多くもっと火山の形がなだらかであれば玄武岩質、節理が少なく山の形がもっと火山らしい高さになっているなどすれば流紋岩質という大雑把な分類ができそうである。
なお節理とは、簡単に言えば規則正しい形に割れている面がたくさんある岩石の群れのことで、有名なところでは東尋坊がそれに当たる。
高い温度の溶岩が冷えて縮まるとき、核となる高い温度の岩石の周りは縮む影響で深く亀裂が入る。そのまま固まりきると規則正しく亀裂が生成される。長い時間をかけて外側から岩が風化し剥がれていくと、亀裂に沿って柱状に岩石が並んで見えるようになる(柱状節理)。
5:
泥岩やシルトなどは堆積岩であるから、長い時間をかけて降り積もるために、おそらく湖沼などがあったと思われるが、スカルバレーにしろ幻影諸島にしろ、泥岩が形成される大きな湖などの要因は見当たらない。
シルトや泥岩は彫金により砥石を製作できる。シルトそのものではなくこれが変成した粘板岩によると思われる。粘板岩は砥石や硯の原料となる。
泥岩は泥の堆積岩で、シルトよりも粒度は細かい。この泥岩などが熱変成作用を受けたものが「ホルンフェルス」と呼ばれる岩石で、講師先生の名前の由来となっている。
6:
また、火山が存在するものの、前述の通りラノシアの海岸線はその多くが断崖絶壁になっている。石灰岩は生物由来なのだから、海底などに降り積もって完成した石灰岩が、土地の隆起によって持ち上がり、現在の姿となっている。これは生半可な時間ではなく、十数億年単位の時間をかけて隆起し続けており、地盤はかなり安定していると考えられ、火山性の地震はあるが、プレートの沈み込みなどによる大規模な地震はあまり起こらないであろう。
ちなみに、地震の震度はエオルゼア大学学長のアフロヘアの揺れ具合から「アフロ」という単位を使うことが講義で提案された。
7:
ラノシアにコブランをはなしたらどうなるか? という思考実験もあった。たとえばウルダハでは街の外にすぐコブランがいるが、宝石質や金属質を好む食性のため、おそらくコスタのあたりに放せば繁殖する可能性がある。
石に敏感な生き物といえばスプリガンもそうである。ウルダハやグリダニアにはいるがラノシアには生息していない。
石を手放さないところを見ると、海を渡れなかったのでは? という結論に達した。
ちなみに人間も岩塩を食する。人間も岩を食べるといえるであろう。
7.5 ※6/27加筆しました
パミス(白い軽石)の土壌について。ゼーメルトマトが採れるレインキャッチャー樹林のあたりは軽石質の土壌になっている。
軽石とは、その名の通り軽い石。無数の穴が開いているので(多孔質)水に浮くほどである。
軽石は火山の噴火の際に吹き出してきた物体である。マグマが地球内部の圧力の高い状態から圧力の低い地上へ噴き出すとき、閉じ込められた気体や水分などの揮発性の物質は泡となって噴き出しながら冷えていく。こうして穴だらけになって軽い塊が残り、軽石となる(要するにカルメ焼き)。
軽石は一見、矛盾した特徴を持っている。
・保水性が高い
・排水性が高い
多孔質のためそこに水分が入りやすい。こうして保水できる。が、穴が水で埋まれば余計な水はそのまま排水してしまうため、排水性も高いのである。
また火山から噴出したため有機成分はなく栄養分は低い。
この性質を利用し、植木鉢などの底砂にして、上にかぶせた土の余分な水を排水する。また適切な水分を吸水し、乾燥させすぎないようにもできる。
ゼーメルトマトはレインキャッチャー森林で採集できる野菜だが、説明を見るとうまみが強いという。
トマトは乾燥していて栄養分の少ない土壌で育つ。なので軽石のような排水性が高く栄養分の少ない土壌はうってつけだが、場所は非常に雨が多く嵐に良くなるから、水分の状況は良くなく病害などを受けやすい。
なので、周りにすんでいる生き物の排泄物といった有機成分と、適切な水分量を保ちやすい土壌によって「甘み」より「うまみ」の多いトマトになっている…とは言えそうである。
なお、トマト栽培において急激な水分の吸収は「裂果」(皮が裂ける)を招くとのこと。乾燥質な植物のため養分よりも水分量に注意が必要のようである。
8:
総じて非常に興味深い講義であった。1時間の内容は濃く、エオルゼアの景観を岩石の観点から見直してみようという聴講生が数多くいた。
講義資料の準備や研究結果、聴講に堪えうるレジュメの準備など非常に多くの時間をかけているに違いなく、頭が下がった。
以前私はサスタシャ浸食洞に関する調査を行ったことがあるが、浸食に関して図らずも内容がかぶるところもあり、答え合わせをしているようなうれしさを覚えた。
また漆喰のことは頭から完全に抜けていたので、雨がたまりやすそうなあたりの漆喰がはげている写真を見たときにはかなり驚いた。さすが先生の観察眼である。
電子書籍風の資料をまとめるとのお話だったため、過去の資料も合わせて読み応えがあるだろう。楽しみである。
◆お疲れ様でした
書き手:雪