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【ワシのヒカセン冒険記】第15話【FF14二次小説】

公開
■あらすじ
これが……ワシらの帰るべき場所……

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【Lodestone】、【Pixiv】で多重投稿されております。

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第1話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4661663/
第14話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4745143/
第16話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4763414/

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ワシのヒカセン冒険記 第15話


「これが……ワシらの帰るべき場所……」

 エレット殿にラベンダーベッド――グリダニアに在る冒険者居住区へと案内されると、そこには既にもう一軒家が建造されていた。
 石造りの壁に、三つ葉のような木製の屋根、縦に長い丸窓、そして頑丈そうな扉。Sサイズの住居と聞いていたからどんな大きさなのかと思いきや、充分事務所としても使えそうな上に、尚且つ生活空間として併用する分にも申し分あるまい。
 ワシらの私有地となったその敷地には短い階段が掛かっており、登って敷地内に入ると、左手に大きな大樹が望める。センナの大樹と呼ばれる、ラベンダーベッドの象徴ともされる老樹に見守られながら、ワシはその手前――坂道を上った先の商店街も見逃さなかった。
「若草商店街と言ったかの。生活用品を買う店が程近いのは、良い立地じゃのう」
「ランドマークであるセンナの大樹がハッキリ見えると言う意味でも、ここは中々の好立地なのではないかと」クロス殿が腕を組みながら、口にした老樹を見上げて頷いている。「裏手には小川も在りますから、釣りし放題ですね!」
「サラサラと水が流れる音が聞こえると思いきや、なるほど裏手には小川が在るのか」
 センナの大樹に向かって――つまり北に向かって上り坂になっているラベンダーベッドの反対側、家の右手である南は見下ろす形で家々が連なっている。
 そこから見える景色もまた壮観の一言。人の営みを感じさせる灯りが映り、そこを行き交う冒険者も覗える。
 更に奥には巨大な滝が映り込み、なるほど景観と言う点に於いてこれほどの立地は中々あるまいと言わしめる程だ。
「紅蓮祭が始まったら、ここから花火もバッチリ見えると思います!」スッと挙手して楽しそうな声を上げたのはユキミ殿だった。「遮る物が何も在りませんから、それはもう綺麗ですよ!」
「なんと、花火が見れるとな」
 エオルゼアに来て、まさかそのような風流な代物がお目に掛かれるなどとは露にも思わなかった。
 花火。夜空に咲く大輪の華。前世の記憶では、世捨て人にとって数少ない楽しみの一つだ。世情の何もかもを一時忘れ、咲き誇る色鮮やかな大輪を見上げる。あの安らぎを、エオルゼアでも味わえるともなれば、格別の想いであろう。
「であれば、お庭にベンチとか置きたいですね!」サクノ殿が敷地内を見渡しながらぴょこぴょこ歩き回っている。「テーブルも置いて、みんなでお茶でも飲みながら花火を観る……これ以上無い幸せですよ!」
「ああ、実にイイのぅ……」
 敷地内の縁まで歩き、柵に手を掛けて辺り一帯に視線を向ける。
 この景色を眺めながら、皆で一服したり、花火を見上げたり、話に華を咲かせたり。それは……ワシにとって望外の世界とも言える。
 ワシはやはりあの世界で死んだのではないだろうか。ここは幽世……天国と呼べるほどの楽園に罷り越したに違いない。
「いいねぇ、みんなでのんびり過ごすお家が出来たんだよ、爺ちゃん」
 ポン、と背中を叩かれ、振り返るとツトミちゃんが嬉しそうに微笑んでいた。
「あぁ、ツトミちゃんに導かれるように、ここまで来たのぅ」
「ううん、わたしが爺ちゃんに導かれたのさ。まざーなんちゃらよりよっぽど素敵だよ、爺ちゃんの導き」
 悪い顔で笑うツトミちゃんに、エレット殿が、「確かに。ヤヅルさんの導きの方が、よほど御利益有りそうです」と追従するように柔らかく笑いかけた。
 サクノ殿とユキミ殿、そしてクロス殿も釣られて笑い出し、ワシも「お主ら……」と呆れ顔になるも、その口唇は笑みに違いなかった。
 改めてワシらの拠点となるフリーカンパニーハウス――寄合所に視線を移す。
 未だ何も手を入れていない、空き家も同然のこの家を、拠点として成立させるには足りない物が有り過ぎる。外装だけでなく、内装もそうだし、敷地内である庭だって幾らでも手を入れる余地が有るのだ。
 冒険者は冒険業だけで成り立っていると思ったが、そうではない。クラフターと纏められる製作業や、ギャザラーと纏められる採集業も、同じく冒険者が請け負う仕事の一端を担う。
 それら副業とも言える職務をどれだけやっていたかが、ここからの肝になるだろう。製作業であれば、家具や庭具を作るなり、外観に手を加えるなり。採集業であれば、それら製作業に必要な素材を集めるためにエオルゼアの各地を駆け巡らねばなるまい。
 忙しくなる。それも格段に。そんな予感が、ワシの中に芽生えていた。
「さて、寄合所の素体とも言える家がもう建っておるのじゃ」五人を振り返り、ワシは声を上げて意識を向けさせる。「ワシ一人では到底不可能であると理解した上で言う。皆にあらゆる場面で手伝って貰いたいと思う。……如何かな?」
 五人は互いに顔を見合わせると、“任せろ!”と言わんばかりに拳を合わせて見せた。
「……頼もしい限りじゃわい」にぃ、と挑戦的な笑みを刻むと、「では早速中も観てみるかの。どんな家具が必要なのかも知りたい」寄合所の扉に手を掛け、中に押し入ってみる。
 当然と言えば当然だが、中は伽藍とした造りで、家具など一切無く、ただ窓から斜陽が差し込むだけの空虚な空間が広がっていた。
 木製の床は傷一つ無く綺麗に敷かれ、強く踏み込んでも軋みの声など一切上げない。右手奥には地下へと続く階段。左手奥には別室に続く扉が在るだけの、正方形の広間。
「うーん、見事に何も無いですね」後から入ってきたサクノ殿がぴょこっと顔を出して辺りを見回している。「引っ越し間際! って感じが凄いです……!」
「何から置いていきましょうか……」ワシを追い抜いて広間の真ん中から四方に視線を飛ばすユキミ殿。「寄合所って言うぐらいですから、座れる場所の確保からでしょうか?」
「それも有りますが、まずはマスター!」クロス殿がずずい、と左手奥の扉を指し示した。「個室の確保からではないでしょうか!」
「「個室の……確保?」」ワシとツトミちゃんが一緒に小首を傾げる。
「そちら左手奥の扉の先は別室に続いていまして、」こほん、と空咳を挟むエレット殿。「フリーカンパニーの人数に応じて、最大五百十二部屋まで個室が用意されているとの事です」
「「五百十二部屋……!?」」ワシとツトミちゃんがまたも一緒に頓狂な声を上げた。
「これで奴隷を敷き詰め放題だね爺ちゃん!」ツトミちゃんが訳の分からない事を言い始めた。「わたしらが六人だから……五百六部屋分の奴隷……!」何を言うておるのだこの娘は。
「やめいやめい」慌てて否定する。「ともあれじゃ、即ち皆の分の個室は用意できると言う訳じゃな?」
「そうなります。ただ、個室を解放するためにはギルが必要となるみたいですが」
 エレット殿が心苦しそうに呟いたのを聞いて、ワシは小さく咳払いをした。
「……して、如何程の銭が必要なのだ?」
「一部屋解放するのに、……三十万ギルとの事です」
「……」ワシはそっと財布の中身を確認して、微笑みかけた。「個室はまた今度じゃな……」
「マスター」ポン、とワシの肩を叩くクロス殿。「おギルが足りないんですね?」
「そうじゃが……」「じゃあこれを」「ポンとこんな大金渡すでないわっ!」
 クロス殿が三十万ギル入っているであろう小袋をあまりにも容易く手渡してくるため、ワシは思わず頓狂な声を上げてしまった。
「わたしも今度にする今度にする」囁くようにツトミちゃんが鳴いている。
「ツトミちゃん!」ポン、とサクノ殿がツトミちゃんの肩を叩いている。「おギルが足りないんですね!?」
「うん足りない!」満面の笑みでツトミちゃんが宣言している。
「じゃあこれを!」ポン、と三十万ギルが入っているであろう小袋を手渡すサクノ殿。
「わはは、これでお洒落な服が買い放題だな……」「おいこらそこの猫娘」
 ツトミちゃんがそそくさと寄合所を出て行こうとするのワシは即座に止めた。
「えへへ、ごめんごめん」てへへ、と頬を掻くツトミちゃん。「サクちゃんありがと~」
「いえいえ! ぜひ使ってください!」グッと肯定するサクノ殿。
「お二人は当フリーカンパニーの顔なのですから、個室は持って然るべきだと思います」ふんわりと微笑むエレット殿。「ご遠慮なさらず。何れ経費として計上しますから」
「し、しっかりしとるのう……」エレット殿の強かさに思わず二の句が継げられなくなってしまう。
「まぁまぁ、お二人の厚意を無駄にしないで、ぜひ使ってあげてください! 私も用意できる家具が有りますから、言ってくれたらお譲りしますよ!」ユキミ殿が青い豚の着ぐるみの蹄で肯定の意を示している。「何ならパパッと買ってきちゃいますから!」
「だからそうポンポン大金を使うでないわ、全く……」思わず苦笑が漏れ出てしまう。「確かにの、厚意は無碍に扱うものではない。有り難く使わせて貰うぞ。じゃが、溺れる程の厚意はやめとくれ。流石にそこまで厚顔ではないぞワシは」
「「「分かってます分かってます」」」サクノ殿、ユキミ殿、クロス殿が満面の笑みで頷いている。
「本当かのぅ……」
 ともあれ、頂いてしまった物は有り難く使わせて貰わねばと、エレット殿と話して個室の契約を手早く済ませると、001号室をワシの私室として解放する事になった。
 早速私室に向かってみると、今し方寄合所に入った時と同じ感想を懐く事になる。見事に何も無いがらんどうの部屋だ。奥に沈みかかった斜陽が臨める窓が在るだけで、家具は一切設置されていない。
「ここが……ワシの部屋」
「うんうん、爺ちゃんらしい部屋に模様替えしなきゃだね!」
 ワシに続いて入って来たツトミちゃんが嬉しそうに声を掛けてきた。
 ワシらしい部屋……さてそれは、どんな部屋なのだろうか。
 幾らでも想像を働かせてみる。今まで創造的な職務と言えば衣類を縫製したり、甲冑や武器を鍛錬したり、薬品や魔道書を錬金したりと、言わば細かな作業が主だったが、これからはそれを応用して、自分の好みな内装を創造できるともなれば、高揚感が沸き立つのも無理からぬ事だろう。
 急ぐ事は無い。これからここで過ごす時間が多くなるのだから、ゆっくり自分らしさを突き詰めていけば良い。
 それに力を貸してくれる仲間もいる。何も焦る事など無かった。
「ヤヅルさん! 全員分の個室の契約が終わりましたよ!」ぴょこっと扉から青い豚の被り物が覗き込んできた。「後は皆さんが自由に内装を弄るだけですね!」
「おお、そうじゃの」ぼんやりと何も置いていない部屋の真ん中で佇んでいたが、思い出したように一つ首肯を返す。「さて、皆の部屋の完成を楽しみにしつつ、ワシも始めるとするか、内装工事とやらを!」
「じゃあこれは私から!」ドン、と大金の入った金袋を置いていくユキミ殿。「ぜひ使ってください!」
「…………だ~か~ら~の~」
 どれだけワシに銭を使わせたいのか。その後も皆が続々とワシにギルの入った小袋を渡そうとしてくるのだが、それはまた別の話……
コメント(2)

Tsutomi Amou

Shinryu [Meteor]

更新お疲れさまですvv

いや、だいたいってかほぼこの通りだから始末が悪いw
本当にお世話になりっぱなしです。
いつか返せる時が来るといいな…

次回は「ひめじぃ!!の巻」乞うご期待!!!

今回も楽しませて頂きましたー
次回も楽しみにしてますよーvv

Yaduru Shira

Shinryu [Meteor]

>Tsutomi Amouさん

感想コメント有り難う御座いまする~!!

ほんとそれでしてwwほぼ実際に起きた事を筆に起こしてる次第ですからね…!ww
本当にお世話になりっ放しですゆえ、わたくしも何かしら返せる時が来ると良いのですが…!

「ひめじぃ!!の巻」
~あらすじ~
himechanとしか思えない爺ちゃん、通称姫爺ちゃんのYaduru。彼女は果たして真のhimechan…姫爺ちゃんになれるのか…!
なれない!!!!!!!!!!!!!!!
ワシは今日からExciting爺ちゃんです。

今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいでする~!!
次回もぜひぜひお楽しみに~♪
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