食事、それは生物として生きとし生けるものには欠かせない行為である。
エオルゼアの世界においてそれは例外ではない。
冒険者としてエオルゼアを周り始めて半月が経った。
そろそろ槍ばかり振っていた腕を休めて何か新しい事も始めたいと思う頃合い。
ただ始まりの街グリダニアにもいくつか手を出していない物もチラホラある状態だ。
弓だったり、呪術だったり、戦うジョブを残している。
しかし今は戦いたい訳じゃない。その他で何か、新しい事…。
そんな時に立ち寄ったのがレストラン・ビスマルクだ。
美味しいらしいじゃない。
さっそく受付のお姉さんに話しかけてみた。
「ラム肉が足りないんです~取ってきてください」
いやいや、私は客なのだが?
まぁさしてやりたい事を目下探しているだけなので、別にいいんだけどね。
早速ラム肉を集めて店の裏手から入ったら、当たり前だがそこには厨房があった。
端には「ギルド受付」の文字が。
おやおや?
店前のお姉さんに肉を渡してから再び店内へ。
受付へ話しかけてみると、なんと調理師を志してみないかときたもんだ。
調理師。料理人。栄養補給という行為に楽しさを生み出す凄い人達の事だ。
現実世界では生活になじみ過ぎて忘れがちだが、料理ができるというのは凄い事なのだ。
ふむ、やってみようじゃないか。
上手い飯を食いながらエオルゼアを巡っていく、それも冒険者の道というものだろう。
早速料理長に挨拶してタダでフライパン(昨今流行りのスキレット)をもらった。
半裸状態で料理長との話を続け、そして言い渡された最初の料理が。
「メープルシロップ」材料は、樹液。
ハードル馬鹿高ぇなぁオイ。
料理初心者に求めるレシピじゃないよそれ
スーパーに樹液なんて売ってないよ
だがそこで私は一つの閃きを得た。はは~ん、これがジョブチェンジの誘い。
調べたところ、メープルシロップに必要な「メープル樹液」は園芸師になれば採集できるらしい。
つまり調理師としての一歩を踏み出すには、園芸師としての一歩も踏み出す必要があるという事なのだ。
そうやって芋づる式に他のジョブへの転身を促してゆく、そうゆうシステムなのだと。
我天啓を得たりとばかりに私は園芸師を調べ、始まりの街グリダニアへ向かった。
ちなみに、この時点でしっかりジャーナルを確認していれば、私は調理師「だけ」にしかなって居なかっただろう。自分で考えて行動した結果、私は調理師見習いになり、園芸師見習いになり、そして漁師見習いにまでなってしまったのだ。つまり何が言いたいかというと、メープル樹液は普通に売ってた。
ショップで材料を買い、ただ単純にレシピをこさえるのも一つの手だと思うが、一つのレシピを完成させるのに自分で材料を採集し、釣り上げ、更に加工し完成させるのも冒険者の道であると思うのだ。
旅は急ぐ道でもない。とりあえず私はこれから、ザリガニを探しに行くとする。