依頼主息子(弟) :(何故だろう、あの女の声を聞いてからと言うもの、自分の頭が変になっている。)
(あれほど尊敬して慕っていた、兄を…)
??? : おや、まだ自我が残っているのか。たいていの人間ならとっくに、
わたし色に染まってるのだけどね。ふふふ…
そこには、依頼主息子(弟)の姿しかないのに、明らかに女の声だけが聞こえてきた。
???、依頼主息子(弟) : 今回も楽しめたけど、そろそろ潮時か…さすがにあの爺も探りを
入れてきたようだし…
女の声と依頼主息子(弟)の声が重なって部屋に響く。
依頼主息子(弟) : さて、最後にあの猫共に土産でも残していくか。
女の声はなくなったが、明らかに口調の違った依頼主息子(弟)の声になっていた。
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アメリー : むぅ…まさかお嬢様に許婚なんて…
アリカ達より先にグリダニア入りしていた、アリカ専属メイドの姿があった。
アメリー : お嬢様に相応しい許婚なのか…わたしが見極めなくては…
なによりアリカ命なアメリーである、その右手は硬く握り締められていた。
アメリーは格闘士スタイル(元アラミゴ格闘師団格闘服)に身を包み、その姿を覆うよう
フード付コートを羽織って宿屋を出た。
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アリカ : そうそう、そこで蹴りを出して、足を戻さずそのまま踏み込む、
出した足と同じ方の手で拳を突き出すんだ。
中庭にはアリカとマールが格闘術を見せ合っていた。
マール : アリカがやると簡単に見えるけど、これって難しいよ。
普通は出した足と反対の手で拳を出すでしょ。
アリカがやって見せたのは蹴りからの追い突きというもので、利き手という概念が無く
蹴り出した足と共に拳を出すことにより、常に前に出ながら攻撃するものである。
アリカ : 確かに慣れは必要だけど、これで一気に間合いを詰められるんだ。
アリカにとってマールは護衛対象であったが、屋敷中庭は外部から見る事もできないし、
簡単に進入できる所でもなかったので、護衛任務よりも格闘術訓練重視になっていた。
アリカ : さて、一旦休憩にしようか。メイド長が支度してくれた昼食があるけど…
たまには、中庭に持ってきて食べようか(*´Д`*)
マール : 外で食べる食事もいいよね。
アリカ : じゃ支度してくるから、マールは休憩してていいからね。
そう言うとアリカは厨房へと向かっていった。
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アルカマン家別宅前には、いつでも戦闘態勢になれるアメリーの姿があった。
アメリー : さて、姉さんは別任務で出たのは確認したし、屋敷にはお嬢様と許婚だけ…
2人きりにさせるなんて、お嬢様に何かあったらどうするつもりなの…
(アリカお嬢様を守れるのはわたしだけ…)
アメリーは、屋敷の中へゆっくりと入っていく…その右手は硬く握り締められていた。