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Makai Samurai

Mimiku Miku

Ixion [Mana]

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その男、挑むは最悪の戦い

公開
「それでは、面接を始めます。お名前をお願いします」

面接官の前に座るアイアン、緊張した面持ちで面接官を見つめ返す。
咽がカラカラに乾く。
だが、ここで黙っていては、何の意味も成さない。
アイアンは、相手の様子を窺う。
(歳は40代後半、筋肉の点き方が、だらしない。昔から戦場に赴いてはいないのだろう
・・・だが)

アイアンは、戦慄を覚える。
この男は、戦場で戦い抜いた100人隊長の様な自信と、相手を射抜くような視線。

(この男、只者じゃない)

「アイアン・ローズです」

素直に名前を応える。

(さて・・・、この男、次はどのような問を掛けるのだろうか)

知らず知らずのうちに、無駄に力む、アイアン。
そんな、アイアンを見ながら面接官の男は、優し気に微笑んだ。

「アイアンさん、そんなに、緊張しなくても大丈夫
ありのままの、あなたでいて下さい」

面接官の気遣いに、舌を巻くアイアン。

「ありがとうございます」

軽く頭を下げて、気分を仕切り直す、アイアン。

(この男、対戦相手である俺にまで余裕を見せるとは・・・なんと剛毅な)

面接官はアイアンが落ち着きを払った事を確認して、早速決まりごとの様に、定番の質問をする。

「では、この会社を選んだ志望動機を聞かせて下さい」

(来たな)

ここでは、何時も通りの質問がきた。
なので、アイアンはリラックスした状態で素直に答える。

「俺・・・私がこの御社を選んだ理由は、自分の特技を生かせると思ったからです」

「ほう・・・アイアンさんは、どんな特技をお持ちですか?」

面接官は興味深そうに、前のめりになって、伺う。
アイアンは、自信をもって答えた。

「格闘技を少々・・・」

その瞬間、面接官の顔に疑問符が浮かんでいる様子が、アイアンにも分かった。
何か拙い事でも言ってしまったのだろうかと。
そんな、アイアンの返答に首をかしげながら、面接官は答える。

「・・・いや、ウチの会社は食品関係なんだが」

「ッ!?」

しまったと、思った時には遅かった。
だが、まだ修正出来るとアイアンは、考えた。

「いや・・・その・・・、力に自信があります。軍所属時代に、城門を素手で破壊したこととがあります」

焦った、アイアンの答えは明後日の方向へ向かっている。

「いや、だからね、アイアン君。食品会社の我が社で、その『城門破壊』がどんな役に立つと思うのかな、君は?」

「そうですね・・・・・・・・・・・・」

(うおぉぉぉぉぉ、終った更に選択肢を間違えてしまったッ!!)

アイアンは悩んだ、次の言葉が出てこないと。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。
必死に知恵を振り絞って答を出した。
そして、答えは益々悪い方へと向かっていくのであった。

「ライバル企業の相手を再起不能に出来・・・」

「それは、非常に拙い事だから、絶対にやらないでね」

当然のツッコミである。
それをやってしまえば、会社は最悪の展開を世間に晒すだろう。

「・・・それなら、今話題の女性受けがいい『壁ドン』で女性顧客の心を鷲掴み・・・」

「そんな『壁ドン』男性でも、ショックで死んじゃうからダメだよ」

面接官に、呆れられた目を向けられる。
このままでは、本気で拙いとアイアンは悟った。
そして、混乱したアイアンの思考では正常な判断が出来なかった。
この面接官は、自分が、素手で『城門破壊』等出来ないんじゃないのだろうと。
実際、面接官はそんな事が出来ないと思っていたし、どうでも良いと思っていた。
面接官が、早くもアイアンの履歴書から興味を失い、次の受講者と入れ替える様を見てアイアンは行動に出た。
最悪の行動に。

「では、実際にやってみます!!」

面接官が、胡乱な瞳で顔を上げるよりも早くアイアンは動く。
幾たびの、厳しい修行と多くの戦場を乗り越えたアイアンの動きは、常人では捉えることが出来なかった。
縮地で、一瞬に壁に間合いを詰める。
元居た位置が、あまりの摩擦と衝撃で地面が凹む。
そうとはお構いなく、アイアンは壁に手の平を当てる。

「壁ドンッ!!」

触れた掌から、発頸で全ての力が分散する事無く壁に伝わり粉々に砕け散る。
衝撃の余波と爆発音で、離れた面接官の身体にまで凄まじい衝撃波がビリビリと伝わった。
粉々に砕け散った壁を満足げに見つめて、アイアンは満面の笑みで振り返る。

「どうです!!」

一瞬ほけた表情を浮かべていた、面接官は状況を理解し怒鳴り散らした。

「出てけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええッ!!!!!!」

当然、面接に落ちるアイアンであった。









トボトボと、負け戦の敗残兵の様に肩を落としながら試験会場を後にするアイアン。
やってしまった…と。
そこで、ふと同じ会場に居たアウラの少年の事を思い出す。
先程の、緊張を解す秘術を聞き出す事を。
アイアンは、入り口前で面接が終わり出てくる他の受講生達を待ち続けた。

(アウラの少年は、まだ出てこないのか?)

アイアンは、必死に探しながら受講者を見詰める。
相変わらず凄い眼力の所為で、入口から出てくる他の受講者はその瞳に睨まれて身震いしながら怖がっていた。
何時まで経っても、アウラの少年は出てこない。
何故なのだろう?
そう考え始めたアイアンだった。

「ちょっと、いいかな?」

入口をジッと見ていたアイアンに、話しかけた人物がいた。
アイアンは、その人物を見る。
そこには、複数の同じ格好をした男達が居た。
どの男達も、頭の上からつま先まで軍服に身を包んでいる。

「はい、何でしょうか?」

アイアンは、不思議に思いながら声に応えた。

「この辺で、不審者が居ると通報がありまして・・・」

「成程、俺は見かけていませんが・・・」

物騒な世の中だと思いアイアンは巡回の男達に答えた。

「協力的で、助かります良かったら、幾つか質問にお答えください」

巡回の男はニコニコと笑みを浮かべながら、アイアンに誘導尋問を仕掛けた。

アウラの少年は、控室で倒れ、アイアンが面接中に医療機関に搬送されすれ違った事を派出所で知る事となった、アイアンであった。

続く
コメント(4)

Sillvis Fan

Mandragora [Meteor]

クスクス( *´艸`)タイミングてありますよね~天敵は存在します(笑)

Mimiku Miku

Ixion [Mana]

シルビスさん、コメントありがとうございます。

絶妙に、すれ違って悪い方向にもっていってやりました。
この後、テツさんが揉めてお偉いさんが出てきたら、話がスムーズに片付くと思います。
知り合いが出てきそうで・・・
テツさんもお偉いさんも、とっても気まずいと思うけど。
それか、最初から知り合いを登場させて巡回兵と一緒にボケ通すかと考えましたが、今回は、テツさんと面識がない新兵さん達を出して話を短くしました。

Raphi Ff

Valefor [Meteor]

面接官に質問される内容を想定している筈なのに
"格闘技を少々、、"とかw

会社に合わせた回答を用意していなかったアイアンさん 残念w

Mimiku Miku

Ixion [Mana]

ラフィーさん、コメントありがとうございます。

愉快な展開にしようとしたら、矛盾が生じてしまいました。
解釈のしかたとしては、別の会社で、言うことをここで言ってしまったと言うことにすれば良いのかな?
テツさんが、立ててた作戦も全て無駄に終わってしまったのです。カワイソー
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