キャラクター

エオルゼアの中央に位置し、富を象徴する街ウルダハの大門をくぐると正面に陣取るクイックサンドは真ん中よりも少し上の酒場兼宿屋である。店内は酒と食事を楽しむものから、剣を担ぎ立ち話で話し込むもの、張り紙を熱心に読んでいるものまで様々だ。豪奢の扉を開け、とりあえず入ったときの感想は「うるさい」の一言だった。入り口の案内に事情を話すと、カウンター前に通され、少し待つようにいわれたが、それほどまたずに自分の番がきた。

　
「職を紹介いただけると聞いてきました。」
「はい、ではこちらにかけてもらっていいかしら。」
　笑顔つきで少し高いけど決してあどけなさはないそういう声で呼ばれ、カウンターに腰を下ろす。自分よりも少し前に門をくぐった男となったく同じ説明をヒトの背の半分ほどしかないララフェル族から聞いた。クイックサンドには冒険者組合が曲がりしているらしく、客のほとんどが冒険者で四六時中こんな感じらしい。

　
「でも、人生相談はお断り。恋愛相談なら考えてあげてもいいわ」
　恋の相談のくだりは会話を打ち切る合図であり、彼女の持ちネタということなのだろう。ここは、ウルダハを訪れるものを歓待し、この街にとって利になる者か選別の場所でもあるのだろう。これを１日に何度もやるのだ、ネタの１つでもなければやっていられない。


　カウンターの奥に陣取り、説明してくれたララフェル族は、クイックサンドの主でモモディという名だった。ウルダハの街にあるギルドのどれかに所属してから活動することをおすすめされ、今から探してこいと背中を押され、半ば強引にウルハダに叩き出されようとしていた。後ろにはもう次の男が貧乏ゆすりをしながら待っている。剣と安っぽい装備がカチャカチャと軽い音が響いてくる。

　
「門前払いだけは免れたのかな」
　彼女の役目は街に流れ着いた連中を労働力として様々なギルドへと流しこみ、労働力として組み込んでいくことなのだろう。もし自分でギルドも決められないようなら、見込みなしという烙印とともに、この街に埋もれていく。そして彼女の記憶からもあっというまに消えていくのだろう。
　
　
　革袋に残った水を喉に流し込みながら、表通りを少し歩いてみるだけで、あらためてこの街の豊かさが目に入ってくる。市場は賑わい、モノとカネ、そしてヒトが動いているようすを感じる。大きな市場が東西に２つあるそうで、店の裏手の市場では、踊り子たちがやや布面積の少ない衣装を纏って踊り、市場に訪れたヒトから小銭を稼いでいた。どちらの市場も所狭しと露天が左右に並び、生活品から土産物まで訪れたヒトからしっかりと搾り取っている。
　
　
「よう、にいちゃん見ていきなよ！」誰にいっているかわからないが、威勢の声が行き交う。そして店舗は清潔で、宝石や服飾品などが並んでいる。聞けば鉱物資源を背景に交易で反映した都市のようだ。高い城壁と石造り、美しい布と幾何学模様の壁がこの街を彩っている。
　やはりと言う感じであるのだけど路地裏をのぞくと治安が良さそうとは言い難い空気も流れている。
　
　
　エオルゼア、そしてウルダハでの生活が始まろうとしている。市場の通りの中心に立ち尽くし、こういうときはやっぱりそうなんだとしみじみと感じ、その言葉が口から漏れた。

　
「腹が……へった……」