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【魂を紡ぐもの セイン】1.5話後編『圧縮世界 フォルス・ヴォイド』3 interval――灰色の影

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3 interval――灰色の影

「ムムショが参加していた『護衛チーム』は全部で四名。ムムショ以外のメンバーは、イーヴ・アシャール、ハ・ゾン・ティア、ギード・オーレンドルフ」
 小休憩中、セインが依頼者より聞いた情報を口にする。
「ギードって、“餓王”ギードか」
 ルーシーが干し肉を噛みながら問う。
「おそらく。依頼者から聞いた話と特徴は一致する」
「知り合い?」
 ライ麦パンを千切りながら、ヴェスパが訊いた。
「んー、一回だけ同じ仕事した。冒険者、っていうより“冒険もする傭兵”みたいな感じ。別部隊だったけど、すげえ戦い方だったな」
「個人戦闘の豪胆かつ狂気さえ感じる戦い方と、集団戦の指揮官としての視野が広く抜け目のない用兵術が同居した男だった」
 話しながら、セインが乾燥させたブルーサーモンの切り身を千切り、咥えた。
「へええ」
「イーヴに関して言えば、これは“牙喰らい”のガエルだという報告があった」
「げっ、ムーンキーパーの女の子狙って殺す殺人鬼!」
 ヴェスパが心底嫌だという顔をした。
「そうだ」
「アタシんとこのムンキの子が狙われたことがあってさぁ! 未然に防いだんだけど、見つけてぶっ殺すつもりだったのに逃げられたんだよね!」
 憤りながら、持参したサワークリームを塗りたくったパンを頬張る。
「――けど、隠形のワザみたいなのはホンモノ。マジで厄介だよ」
「クァールクロウのヤツが本気で追跡して逃げられたって聞いたな」
「最後の一人、ハ・ゾン・ティアだが」
「誰それ」
「知らねーな」
「彼に関しては後述する」
 素っ気なく告げて、セインは説明を続ける。セインの手からルーシーが干し鮭を抜き取り、代わりに干し肉を差し込んだ。
「依頼者と共に以前からヤフェームの調査をしていたフリーカンパニー『パスファインダーズ』のメンバーは、マハの遺構と思しき施設を発見、その防衛装置的な機構に一度は撤退する。
 その後防衛機構に護られている“扉”に書かれた文字を解読し、再度遺構へ挑戦した。その時に雇用された、パスファインダーズとは別に依頼者を護衛するチーム。通称『護衛チーム』の四人が彼らだ」
 一旦言葉を区切って水筒の水を飲み、干し肉を噛みきり、セインは続きを語る。
「“扉”に書かれた文字を口にしたところ、光に包まれ、どことも知れぬ“迷宮状の場所”に転移していたそうだ」
「――へえ?」
 目を細め、ルーシーが薄く笑った。
「その時に彼らが遭遇しているのは、デーモン種」
「他人事じゃなくなってきた」
 ヴェスパが二枚目のパンを千切る。
「依頼者とパスファインダーズのメンバーは再会し、明確な理由は不明だがその空間を脱出している。……だが」
「『護衛チーム』は帰らなかった」
「そうだ」
 ルーシーの指摘に、セインは頷いた。袋に入ったイチジクのドライフルーツを一つ出すと、袋をルーシーに手渡した。
「パスファインダーズはそのときにレース・アルカーナを発見した。正確には、依頼者の手にいつの間にか握られていたらしい」
「そのレース・アルカーナが、ここへあたしらを“光に包んで転移させ”た」
 ルーシーが言い、
「……そこには『護衛チーム』のムムショ・フフショがいた……」
 ヴェスパが継いだ。
「つまり、ここからも」
「ああ。この先、同じように異形の力に侵されている『護衛チーム』の二人に出会う可能性が高い」
「ん 二人?」
 ルーシーが指摘しながら、イチジクを頬張る。問われたセインはイチジクを半分だけ噛み切り、続ける。
「パスファインダーズからの報告によれば」
 ルーシーから袋を受け取ったセインが、もう一つイチジクを出す。
「ハ・ゾン・ティアという冒険者は一年前に死亡している」
「はい?」
「――ちっ、そういうコトか」
 即座に思い当たったルーシーが、大きく舌打ちした。
「どういうコト?」
「……死体に憑依して生者のようにふるまい、災いの火種を付けて回り――自分はその顛末を高みから見物する。そういう存在を俺たちは知っている」
「何それサイアク」
 ルーシーが何度も頷いた。セインの手からイチジクの袋を奪うと、一つ取ってヴェスパに渡した。
 二人をしばし眺めた後、やや声を抑えて、セインが告げた。

「灰色の法衣の男。自らをグレイと称する、謎のアシエン」

 ルーシーが心底嫌そうな顔をする。
「アシエンなの!?」
「ああ。だが通常の黒法衣のアシエンたちとは全くスタンスが異なる。本人も、『道を違えた』と言っていた」
「ヤローの言葉なんか信用できねーけどな。アイツが口にする言葉が真実だったコトなんざねーだろ」
 吐き捨てるルーシーに、セインが指摘する。
「そう思っている相手には真実を口にするぞ。決めてかからないほうがいい」
「……分かってるよ」
 ルーシーがむくれてセインから視線を外す。イチジクを乱暴に取り出すと、いらだたしげに噛み千切った。
「うっわ……関わりたくないなソイツ」
「残念だがキミたちはもう関わっている」
「え」
「おそらくは今回の、キミたちへの依頼者『コーディネーター』も同一人物だ」
「はい!?」
「セイン」
 ルーシーの呼びかけに、セインがそちらを向く。
「どう見る。どこまでがヤツの仕掛けだ?」
「…………手札が足りない。まだ読み切れない。……が」
 少しだけ言い淀み、それから口を開いた。
「依頼者がレース・アルカーナを入手する手助けをしたかったのだろう。俺はそう見た。
 失敗されると困る理由がある。おそらく、ヤツでさえ奪えない、もしくはヤツが奪っても、ヤツが望む状態で入手できないのだろう。
 だから、ハ・ゾン・ティアとして仲間に加わった。
 依頼者からすぐに奪わないのは、何かを待っているからか……だが、状況に変化を加える必要性が出てきた。それゆえ、『コーディネーター』として動いた。
 そして俺たちは今ここにいる。この変化こそ、奴の狙いだったのか……」
「…………」
 難しい顔をして黙る二人の背を、ヴェスパが励ますように叩いた。
「とにかく! 先に進まんと事態の解決もできないっしょ! ウチの連中やフェリーのほうも心配だし!」
「――そうだな。先へ進もう」
 同意して、セインが立ち上がる。ルーシーも「そうだな」と呟き、身軽に跳ね上がるようにして立ち上がった。
 イチジクの袋は、空になっていた。

(4に続く)
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