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White Knight

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『Sweetest Coma Again』9(4)(『Mon étoile』第二部四章) 

公開
9-10

 リリが目を閉じたあと。
 彼女の傍らに、光が凝った。
「なに……?」
 ラヤ・オが目を向ける。その視線の先で、最初は淡かった光が徐々に強まり――人の形になった。
「え」
 それは、ラヤ・オがずっと会いたかった人だ。魂の鼓動さえ憶えている。間違えようのはずもない、彼女のエーテル。
「ヘカーテ……?」
 人の形をした光が、弱まる。その代わりに、実体が光と置き換わっていく。
「名前を呼んでくれたね。ありがと、お陰でちゃんとこっちで実体化できた」
 ヘカーテ・イーヴィスの姿が、そこにあった。
「あんた……!」
 言葉を失うラヤ・オに、ヘカーテは晴れやかに笑って両手を広げた。
「おいで、ラヤ・オ!」
「で……ッ」
「『で』?」
 赤面したラヤ・オが叫んだ。
「できるかァ!」
 殴りにいったラヤ・オの拳を躱し、ヘカーテが両手でラヤ・オを抱き締めた。
「こらぁあ!!!」
「んー、久々の感触! 食べちゃいたい!」
「あんためちゃくちゃあからさまになってない!?」
「そりゃそうでしょ感動の再会だよ? ここで欲望を叶えずしていつ叶えるのさ?」
 ラヤ・オは暴れるが、ヘカーテの方が上背がある。そのうえ、ラヤ・オの抵抗は徐々に弱まりつつあり、ヘカーテは本気で抱擁をやめなかった。
「……そろそろ、いいだろうか」
 苦笑しながら、エレフテリオスがヘカーテに問うた。
「いいよ、このままで無問題」
「んなワケあるか!」
「まじめな話するから黙ってて!」
「……おい……」
「それに、ラヤ・オだって気になるでしょ。なんで私がここへ現れたのか」
「それは……」
「まず最初に、レフくんが気になってるところに回答するわね。――リリとセレーネは、今、蛮神オーディンの魂の中からバティストさんの魂を探している最中。変化があればわかるから、随時お伝えするわね」
「セレーネが? リリと一緒って……?」
「まあまあ、まずは聞いて」
 ヘカーテがラヤ・オをなだめる。それから、ヘカーテはエレフテリオスと頷き合った。

 二人が、ラヤ・オとソフィアに事情を説明する。
 夢幻球を通じて、リリとラヤ・オの魂は本当に魔大戦当時のアイ・ハヌムにいたこと。
 エンプーサの作った夢を破壊しても、夢セレーネとヘカーテの魂は幻球に囚われていたこと。
 そして、夢幻球を解析したエレフテリオスは、二人の存在を、そして彼女たちとリリの関係を知ったこと。

「私たちの魂は、リリの持っている、私たちの元になった『セレーネ・デュカキス』のソウルクリスタルを通じて、リリと深く繋がっているの。
 というより……私たちの存在そのものが、彼女の『超える力』の一端でもあるのよ」

 エレフテリオスはそれを知ると、夢幻球を操作した。リリの存在を媒介にして、いわば『光の使徒』たる二人のエーテル体を、ここへ召喚できるように、と。
「エーテル体だから、正真正銘の実体じゃない。一時的に物質化してるだけだけどね」
 抱擁を解いたヘカーテが肩を竦める。その手はしっかりとラヤ・オの手を握っている。
「で、セレーネはリリを助けるために精神世界の中へ、私は万が一を考えてこっち側に来たけど……あ、もう大丈夫みたいね」
「はぁ!?」
「え」
 ヘカーテがごく気楽に言ったため、一同はエレフテリオスの糸に包まれたオーディンの変化に気付くのが遅れた。
「――!」
 オーディンの体から、光が迸った。
 糸の拘束を解かれたその体は、内側からの光によって黒い鎧が蒸発するように消えていき、最後に残った黒い兜も、光に当たった影のように消え去っていった。
 バティストが倒れるのを、エレフテリオスが支えた。
 ほぼ同時にリリが目を開く。その傍らに、ヘカーテの時と同じように、セレーネが実体化した。
「ただいま! もう、だいじょぶだよ!」
 明るく告げるセレーネの言葉を、リリが継ぐ。
「バティスト兄さんの魂に穿たれていた、オーディンの魂はすべて消え去りました。ただ、傷はとても深くて……」
 『超える力』でも癒しきれないのであれば、時間をかけて癒していくほかはない。それは、ここにいる白魔道士たち全員が共有する見識だった。
 そのときだった。
 がらり、と瓦礫の崩れる音がした。
 皆が振り返る。そこには、倒れていたはずのアステラの姿がなかった。同時に、瓦礫に埋もれたはずのマノスの姿もない。
「マノスか……」
 エレフテリオスが呟いた。おそらくは最後の攻撃で絶命しておらず、アステラもまたわずかに命脈を保っていたのだろう。上官の治療を優先し、撤退したものと思われた。
「また来るかな……?」
 ソフィアが心配そうに言ったが、エレフテリオスは首を振った。
「来たら対処するしかないが、あの傷では、そう簡単に戦える状態まではもっていけないだろうな。……それより、ソフィア」
「レフ、あのね」
 エレフテリオスの最後の言葉と、ソフィアの呼びかけは同じタイミングだった。笑って、エレフテリオスがソフィアへ譲る。
「なんだい?」
「……私、母様に会って話がしたい」
「……!」
 目を見張るエレフテリオスを、ソフィアは見つめる。
「レフは、このまま私を逃がしたいと思ってる?」
「……ああ」
 蛮神ソムヌスは強大だ。それでも、戦わなければならない。ソフィアを完全に開放するためには、絶対に避けられない道だ。もちろん負けるつもりはないし、そのための策を講じてきた。
 だが、洗脳が解けたとはいえ、メリナはソフィアにとって今もなお巨大な壁のはずだ。対峙すれば、メリナは必ずやソフィアの心を折りにくるだろう。それが怖かった。
「ありがとう、嬉しい。でも、私は――」
 一度息を深く吸ってから、震える声でソフィアは続けた。もう、エレフテリオスだけに話しているのではない。ここにいる全員へ、ソフィアは視線を向けていた。
「私は、『ソフィア・コムヌス』としていっぱい罪を犯した。だから、ちゃんと向き合いたい。たとえ……母様と戦うことになっても」
「ソフィア……」
 戸惑うエレフテリオスに、リリが声をかけた。
「レフくん。『今の』彼女を、ちゃんと見てあげて」
 エレフテリオスがソフィアを見つめる。その視線に、ソフィアが応える。
 怖れを抱いたまま、それでも前へ踏み出そうとしている少女がそこにいる。
 ああ。
 思えば、その懸命な姿に心打たれたのではなかったか。
「僕は、また間違えるところだった」
 ソフィアの手を取る。今までそうしてきたように、両の手で包み込むのではなく。伸びてくる手を迎えて、指を絡めてしっかりと握った。
「行こうソフィア。聖母――メリナ・コムヌスの元へ!」

9-11

『あー、聴こえるか? 今この聖印を持ってるのはリリ・ミュトラで間違いないか?』
 首から提げた『聖七天』の聖印から突然声がしたので、リリは慌てた。しかも、この声は。
「サイラスさん!?」
『おう、リリ。上手くやってるみたいだな』
 これから探さなければと思っていた人物からの通信。しかも、すでに書き換えからは脱却しているように感じる。
「サイラスさん!? 今どこに――」
『時間がないんで手短に言う。俺はソムヌスの力を削ぐ。しばらく持ちこたえてくれ』
「え? それはどういうことですか!?」
『奴の力が大幅に落ちるときが必ず来る。それまで、絶対に諦めるな』
 ぷつりと、通信は切れた。
 しかし、何があったかを考えている暇はなかった。
 サイラスがそういうからには、本当に策があるのだろう。そしてそれを活かすためには、自分たちは蛮神ソムヌスと対峙しなければ意味がない。
 聖印を握りしめると、リリは仲間たちの方へと向かった。
 目指すは、夢幻宮。
 聖母メリナ・コムヌス――蛮神ソムヌスの座する、七天の間だ。

『Sweetest Coma Again』10へ続く
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