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紅蓮のリベレーター【第7章】解放への航路 2-1 : 波間に生きる者

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「お頭のラショウさんも、あの馬鹿と同じドマ生まれさ。」

船酔いの若い海賊に薬を届けた後、アフミはぽつりとそう語り出した。

ラショウが海賊衆に身を投じたのは、25年も前のこと。

ドマが帝国の侵略を受け、国が焼かれたその混乱の中、彼もまた故郷を追われた一人だった。

「親兄弟を殺されて、行き場を失った若者が辿り着くのが、ここなんだよ。」

アフミの言葉には、どこか諦めにも似た感情が滲んでいた。

この海賊衆には、帝国の支配から逃げてきた者が少なくない。

過去に傷を抱えながらも、海を生きる道を選んだ彼ら。その中で、ラショウは自然と仲間を束ねる存在になっていった。

「お頭はね、口数は少ないけど、背中で語る男さ。帝国に追われた連中にとっちゃ、あの人は希望みたいなもんだよ。」

アフミが語るラショウの姿は、過去に囚われず、ただ前を見て生きる者の強さを感じさせた。

ドマで家族を失った男が、今や多くの仲間の頼れる存在になっている――その事実だけで、彼がどれほどの苦難を乗り越えてきたかがわかる。

「うちの連中は、どこかに傷を持ってる。それでもお頭の下で、力を合わせて生きてるんだよ。」

そう語るアフミの顔には、どこか誇りが浮かんでいた。

荒波に揉まれながらも、仲間を守り導くラショウ。

彼の過去が語られることは少ないが、その存在は確かに、海賊衆の心の支えとなっているのだろう。

「アンタも、何か背負ってここに来たんだろう?」

アフミの問いには答えずにいたが、彼女の言葉が胸に響いた。

この地には、過去を背負いながらも新たな道を歩む者たちがいる。

そしてその中心にいるのが、ラショウという男なのだ。

海は多くのものを飲み込むが、同時に新たな道を示してくれる。

ラショウが荒波の中で示してきた生き様は、その証のように思えた。

「船酔い海賊」より

補足
 ラショウの背景は原作設定に基づいていますが、物語性を強めるために一部に描写を加えています。

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