東の空にそびえる「スペキュラ・インペラトリス」。
かつてアラミゴ王家の要塞として築かれたその塔は、今や帝国の支配の象徴だった。
だが、その姿は変わり果てていた。
カストルム・アバニアのカノン砲が放たれ、メインタワーは砲撃を受けている。
味方もろとも撃ち落とすという非情な手――帝国軍は、すでに自軍の兵さえ顧みないほどに追い詰められているのか。
混乱の中、負傷者たちが塔内から退避していた。
アルフィノやリセの姿はまだ見えない。
無事だろうか。
ラウバーンの指示のもと、幻術士たちが救護班を編成し、負傷者の搬送が進められる。
「急げ、第二射が来るかもしれん!」
戦場には、まだ戦う意志を持つ帝国兵が残っている。
だが、今優先すべきは負傷者の救助。
アリゼーとともに塔内へと向かい、状況を確かめなければならない。
先へ進めば、待ち受けるのはさらなる戦いか、それとも……。