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紅蓮のリベレーター【第18章】自由か、死か 2-1 : 猛牛の一計、未来への布石

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ラウバーンに案内され、たどり着いた小さな集落は、まるで時間が止まったように静かだった。

家々はくすんだ色をしており、畑には痩せた作物がまばらに根を張るのみ。
わずかに残る住人たちが、扉の陰からこちらをうかがっている。

「ずいぶん寂しい村だね……」
リセがぽつりとつぶやく。

「おやおや、こんな辺ぴな村によくいらっしゃった」

柔らかな笑みを浮かべた老爺が、杖をつきながら近づいてきた。
彼の名はギボン。この村の住人であり、かつては傭兵として各地を渡り歩いたという。

「この寒村の名はコールドハースという。見てのとおり、なんにもない場所じゃ」

淡々と語られる現実は、あまりにも重い。

帝国軍の支配が始まる前までは、村の若者たちは傭兵として働き、家族を支えていた。
しかし今や、その若者たちは帝国の兵として連れ去られ、戻ることはなかった。

「残っておるのは、爺と婆、そして僅かな母親と子どもだけじゃ……」

ギボンの視線の先には、小さな手で母の服を握る少女の姿があった。
怯えたような目でこちらを見ている。

「……近い将来、この村は消滅しておるかもしれんのう」

リセは拳を握りしめ、うつむいた。
ラウバーンは懐かしむように村を見渡し、静かに息をつく。

「フッ……相変わらずの光景だな……」

言葉には、懐かしさと苦さが入り混じっていた。
かつてのアラミゴは、こうした小さな村が支えていた。

だが、帝国に踏みにじられた今、その面影はほとんど残されていない。

「……すまない、つい感傷に浸ってしまったな」

彼はそう言って、二人を見つめる。

「ひとまず、よくぞ来てくれたと歓迎しておこう」

ラウバーンの言葉に、リセは顔を上げた。
その瞳には、ただの憤りではなく、何かを決意したような光が宿っている。

この村が消えるかもしれない未来。
それをどうにかしたいと思う気持ちが、彼女の中に生まれ始めていた。
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