『さて…一通り見て回ったな』
トライヨラに戻り、タコスを頬張りながら、俺は次にどこに行くかを思案していた。
ヤクテルと言う変わった樹海地帯を行きたかったが、生憎そこに行くまでの気球の点検がまだ終わってないらしく、行商達も困っていた。
そうなると、コザマル・カとオルコ・パチャのまだ行ってない部分が有るが、そこに行く為には以前聞いたプヌティーと言う生き物が牽引する船に乗って遡上しなければならない。
だが、よりによってその船は連王を決める試練の参加者達によって全て借り出された後で、戻って来るにはそれなりの日数がかかるとの話だ。
『やれやれ…まさかの立ち往生か…』
ーならば暫くの間トライヨラ観光でもするかー
と、気持ちを切り替えた時だった。
「もし良ければ、俺らの小舟に乗らないスか?」
聞き覚えの有る声がして振り向くと、短く切り揃えた茶髪に、しっかりとした青色をベースとした、軽そうな印象を受けるミッドランダーの若い男が立っていた。
『お前は確か、バルトロイのところの』
「副船長のベイゼルっス。ご無沙汰スねヴェインさん」
『ああそうだな。ところで、小舟とは?』
「ああ俺ら一応仕事で川の遡上とかやって人とか荷物運んでんスよ。アンタんとこのラムやジンの稼ぎには負けますけど、一応契約上の商売なんで気が抜けないんスよね」
何も海だけが海賊の仕事場所ではないと言う事なのだろう。
それならば、そのお言葉に甘えさせて頂くとするか。
『と、言う事はプヌティー牽引の小舟か?』
「いや、一応魔導技術使ったやつスね。値は張りますが重宝するんスよ」
魔導技術
その言葉に首を傾げた。
ここトライヨラには、連王の次男であるコーナ王子がもたらしたエオルゼア式の技術は垣間見えたが、魔導技術となるとそれはーー
「まあ乗って下さいや。道中俺の身の上含めて説明しまスんで」