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Ginj Tulkhuur

the Chief Mourner

Mandragora [Meteor]

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ひまつぶし:四本角の薬売り

公開
その歪んだエーテルは海の都リムサ・ロミンサの
溺れた海豚亭から冒険者としての一歩を踏み出したという。
十指のバデロンが保管している名簿には、今でも
荒々しい走り書きでGinj Tulkhuurの文字が記されている。

しかし、バデロンが言うには
Ginjの印象はある程度目立ってきてから抱いたもので、
新米冒険者の頃のことはよく覚えていないのだという。

アウラ族の流入がまだ少なかった頃の冒険者なのに、
聞かれてみれば印象にない。不思議なこともある。

「幻想薬って知ってるか」
「眠る前に飲むと、新しい自分が生まれる。
 っていう謳い文句の珍しい薬ね」

冒険者の間では度々取引されるが
一般的にはまるで知名度のない薬だ。

「あんなの、嘘っぱちだよ。
 本気で新しい自分になりたいと思う奴なんか
 まずいないって方が正しいカモだけど」

四本角のアウラ・ゼラの男は分厚いハムをつつく。
背中を丸め、皿の近くまで降ろした口にハムを入れる。
咀嚼音を響かせるようなことはしないが行儀は悪い。

幻想薬自体は手に入れようと思えば存外と手に入る。
ただし、人ひとりを生まれ変わらせるというだけあって、
魔法の素養が高いほど、力量があるほど効きづらい、
という噂もある。というのもリテイナー用の幻想薬で
生まれ変わろうとして失敗する冒険者が後を絶たないのだ。

なぜ幻想薬にリテイナー用とそうでないものが
あるのかといえば、リテイナーは雇用される立場で、
冒険者としては素養が足りない者が多いからである。

それなりの素養があってなお主人に仕えるならば
リテイナー協会からは脱し、個人的に仕える、
冒険者として雇用されるか押しかけることになる。

「……まだ何も言ってないだろ」
「どうせ、俺に幻想薬を仕入れられないかって
 聞くンだろ? ――俺がアウラ族だったら、
 もっと昔のコトが覚えられているハズなのに、
 みいんなよく覚えてないのは怪しいから」

よっぽど同じことを頼まれてきたのか、
Ginjは淀みなく言葉を発してハムを飲み込む。

Ginj Tulkhuurという耳慣れない名前の冒険者が
リムサ・ロミンサを拠点にしばらく活動していた。
それは確かな情報だ。巴術士ギルドにも名前がある。

しかしやっぱり、最初の頃は覚えられていない。

あまり喋らない子だった、だとか。
すでにトパーズを連れていた、だとか。
曖昧に断片的な情報は残っているのだが、
真っ先に出るはずの「アウラ族なんて珍しかった」
というような言葉は全く出てこないのだ。

「……お前、元々何族だったんだ?」
「アウラ・ゼラだよ」
「嘘つけ」
「本当だよ。俺は元々、アウラ・ゼラだよ。
 エオルゼアに来た時は、目立ちたくなかったから
 肌の色が似た、尻尾のある民族だったけど」

――あっ。そういうことか、と気づく。
エオルゼアに広く根付いている民族で、
尻尾があるのはミコッテ族くらいだ。

その中で肌の色がGinjに似ているのはムーンキーパー。
縄張りを作ることなく放浪する、瞳孔の丸い部族だ。
月の守り人と名乗るだけあって、闇に紛れるように
青い肌をしているものが多い。

「つまり。お前、やっぱり幻想薬を手に入れられるんじゃないか!」
「声がでかい」

念のため、人気のあまりない寂れた酒場を選んだとはいえ、
そんな場所だからこそ耳聡くて金に飢えていそうな、
何をするか分からない奴が潜んでいることもある。

門番の話も聞かずにサハギン族の領域に飛び込む新米のような
自殺行為はするべきではない。口を閉じて顔を近づける。
美味くもない料理を犬食いする冒険者が二人に見えるはずだ。

「おい。幻想薬が手に入れられるんだったら……」
「俺はアンタに本気があるとは思えない。
 どうせあんたは幻想薬を飲んでも、同じ姿をしてるよ。
 アンタはただ、少し退屈しているダケだ」

退屈を紛らわすために他の何かになろうとしたところで、
どこまでいってもアンタはアンタで、逃げられはしない。
それどころか、一度逃げたせいで取り返しがつかなくなる。

アンタは自分自身を棄てようとしているンだぞ?

「俺はエオルゼアでの動きを追われたくなかったカラ、
 別に曖昧に覚えられていたって構わない。
 アンタは? ――自分の生き様を、曖昧にしたい?」

見た目など些末なものだ、というならそうすればいい。
しかし一つ言っておくならば。
誰もがエーテルを読み取り、記憶できるわけではない。
ゆっくりとお前の存在は溶けて消えていく。
幻想薬を使った者のエーテルはごく微細に変化を起こし、
幻想薬を使っていない者よりも記憶力が曖昧になる。
記憶される力も、曖昧になっていく。

「生まれ変わるたびに、魂がひとかけら、エーテル界に還る」
「…………」
「それでもアンタは、――別の姿になりたいワケ?」

嘘だ。でっち上げだ。しかし、妙に真に迫って聞こえる。
Ginj Tulkhuurは軽薄な男だが、嘘はつかない印象がある。
しかし、幻想薬に副作用があるなんて聞いたことはない。
冗談めかして、依存性があるなんて言われるくらいだ。

「カカ。真っ青。俺ほどじゃァないけど」

いつの間にか皿の上のハムはなくなっていた。
付け合わせの葉野菜が手つかずで残っている。

「今日、自分の姿が生まれ変わる想像をしながら眠りな。
 それで、意志が変わらないンだったら作ってやるよ。
 材料費は――来たらでいいな」

何を払ったのか覚えていない。
だが、死の間際に思い出すということは――……。

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