*こちらはRP(ロールプレイ)に関するイベントの補足です。
(→
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/14505549/blog/3797031/)
RPに抵抗がある方はそっと閉じて何も見なかったことにすれば皆幸せ。
一から十まで蛇足ではありますが、ご興味のある方はごゆるりとどうぞ。
「ゆすらさ~ん、おなかへった。ゆすらさ~ん!」
ラベンダーベッドの一角、匂いを辿っていった先にある家の扉をとんとん叩く。
折角他の地域からのお使いをして来たのに、いなかったらひどいと思う。
「おなかぺこぺこだよ~!マーモットの丸焼きはやだよ~!ゆすらさ~ん!ごはん~!」
どんどんどんと扉を叩いていると、かちゃりと鍵が開く音がした。
扉が開き、中から以前と同じ……いや、何だか少し暗い感じのゆすらさんが顔を出す。
「……らここ?久しぶりね。どうしたの?ご飯を食べに来たの?」
「どうしたのじゃないよ!当然お腹も空いてるけど、それだけじゃないよ!この前ファストさんの様子を見てきてって言ったじゃん!ちゃんと絵も描いたんだよ!ほら!」
冷凍食品の自動販売機とかいうすごいのや、何か変な服を着て踊っているファストさんその他諸々、お店『Bar Dust』の様子なんかを描いた絵を見せる。
「何だか面白い見た目の家具ね。何に使うのかしら。……えぇっと……ファストさんは随分と服装の趣味が変わられたようだけれど、何だか大変そうね?」
微妙な顔をするゆすらさんの側をするりと通り、お部屋の中に入り込む。
「あ、勝手に……」
その瞬間、眠気に襲われ、ぱたりとその場に突っ伏した。
……はっ!ご飯!
いい匂いがしてぱちりと目が覚めると、ぐぅ~っとお腹がなった。ぺこぺこで死ぬ。
がばっと起き上がると、ソファの上だった。私いつの間に移動したんだろ。
何か緑のぬいぐるみの目が光った気がしたけど、気のせいだよね。
「ゆすらさん!ごはん!」
「ええ。今用意しているから、少し待ってね」
ゆすらさんが湯気の立つ鍋からスープをよそい、葉っぱを炒めたのとパンと一緒に持ってきてくれる。
いただきます!と言い、早速スープをすくって一口……熱い。
涙目になっていると、溜息をつきながら冷たいカモミールティーを出してくれたので、慌てて飲む。
「……ご飯はどこにも逃げないのだし、ゆっくりと食べましょうか」
「ふぁ~ぃ……」
尻尾と耳をぺしょんとしながら葉っぱから食べる。美味しかったのでパンをぱかっとして、挟んでもぐもぐする。スープも今度はちゃんとふーふーする。ちゃんと学習する私、超えらい。
しばらく一生懸命食べて、お腹がいっぱいになってからお話しする。
仕組みはよく分からないけどすごかった冷凍食品の自動販売機の事、あれがあればいつお腹が減ってもへっちゃらだって事、何かラジオとか色々やってて、とっても楽しかったこと。
ファストさんは最初は前と同じ感じの格好だったのに、お祭り?か何かでお着替えさせられてた事。
お仕事って大変だなって思ったこと。
ゆすらさんは頷きながら聞いてたけど、冷凍庫が気になったみたい。
何だか「アイスシャードを……」とか「いえ、それだと……」とか呟いていた。
お家に置けば?って言ったけど、そんなに食べないから必要ないし、設置も難しそうだから無理だって。
ファストさんのおしゃべりが楽しかったよと伝えると、それは良かったわねって言ってくれた。
「何かね、楽しそうだったよ。私もああいうのやってみたいな~」
「そう、それならお行儀を身に付けてから、どこかで働くと良いかもしれないわね。貴女もそろそろ大きいのだし、きちんと生活する術を身に付けないとね」
「え?今も色んなとこ行って、色んなとこ見て、楽しいよ?ダメなの?」
きょとんとしながらゆすらさんを見ると、少し困ったような顔をしてこちらを見ている。
「……そう、ね。それなら、色々なところに行ける冒険者が向いているかもしれないけれど。それでも今はいいけれど、もう少し色々な意味で身を守る術を得ていかないとそのうち立ち行かなくなるわ。普段はご飯はどうしているの?」
「えっとね、マーモットをぽこぽこして、冒険者さん達のキャンプとか行って、焚き火に放り込むの。後ね、そのままで他のと交換してもらったり」
「なるほど、物々交換なのね……寝るところはどうしているの?」
「危ないのが来ない木の上登ったり、建物の隅っこで寝たりしてるよ」
「そう……」
しばらく黙って考え込むゆすらさんを放っておいて、デザートのケーキをもぐもぐする。これ超美味しい。いっぱい食べたいからお替りしよう、そう思って口を開く。
「ゆすらさん、これおかわr」
「あのね、お仕事をしましょうか」
「そんなことより、ケーキもういっこ欲しいの」
「……あげるから、お話を聞きましょうか」
「うん!」
「……という訳でね、空いているアパルトを貸してあげるから、そちらで寝泊りをしましょう?定住しなさいとは言わないけれど、しばらく留まって一人立ちできるための知識を身に付けましょう。今までは運と勘が良かったようだけれど、きちんと考えて生き抜く力も必要よ」
「え~、何かめんどくさいからやだ」
「ご飯のお店もするわよ」
「する!」
5個のケーキを食べ終わるまでの間にゆすらさんが話した事を纏めると。ようは一度にご飯を作りすぎちゃうから、その余った分を人にあげようか、って話だった。
駆け出しの冒険者さんはお金が無いから、ご飯がちゃんと食べられない事も多いんだって。
ゆすらさんもご飯はともかく、あんまり甘いものとか食べる余裕は無かったみたい。
だから何か、駆け出し冒険者さんへのじぜんじぎょー?支援?とかそういうのらしい。
そう言ってたゆすらさんの目が、何だか少し遠いところを見てる気がした。
あと、色んな人と話すうちに私の群れの事も分かるかもしれないし、将来どんな事をするにしろ、人の話を聞く事で参考になるだろうって。
人との接し方が何とか、とも言ってた気がするけど、ふんふん、なるほど~ってお話を聞いてたらお腹がいっぱいになって眠くなってきた。
取り合えず、と同じラベンダーベッドにあるリリーヒルズに移動して、空き部屋になっていたところにリテイナーさんを呼んで寝床を作ってくれた。
お休みなさいってしてベッドに潜り込むと、そのまま朝までぐっすりした。
朝ごはんを食べにゆすらさんの所にいくと、お店をするのに必要だからとリンクパールを渡された。
前に貰ったリンクパールは落としてなくしちゃったんだよね。
「……それでね、風花というのよ」
「かざはな?何それ」
「今から開く場所の名前。支援の場所のイメージに、丁度良いかなと思って」
「ふぅん?」
何かお友達?と話して考えたんだって。意味も話してた気がするけど、空きっ腹にはそんな事よりご飯が美味しい。
あぁ、出すご飯の事も何か言ってた。でもそんな事よりおやつも美味しい。
「ごちそうさまでした!」
「はい、お粗末さまでした」
苦笑しながら頷くゆすらさん。
取り合えずそれからゆすらさんが開所の準備をする間、私もお金の種類や数え方、文字の読み方なんかを教えてもらって一生懸命勉強した。
動き回れないのって超疲れたけど、余ったご飯やおやつは食べていいって言われたから頑張った。
星三月十日(5月10日)のお昼、ゆすらさんが何かふらふらした感じでやって来た。
「どしたの?疲れちゃった?」
「……ええ。これ以上眠れないのは耐え切れないわ……取り合えずこれで一度やってみましょう」
憧れの店員さんになれる!ときらきらした目の私と対照的に、何だかゆすらさんが沈んだ目で超ちっさな声で夢がどうとか呟いてた気がするけど気にしない。
ゆすらさんはぐっすり寝てて!ばっちりやるから大丈夫!私えらい子だし!と自信満々で迎えたプレオープンの結果はというと。
冷蔵庫の開け方が分からなくて、初っ端からゆすらさんを呼び出したりもしたんだけど、まぁ最初だししょうがないよね、うん。開かない冷蔵庫が悪いと思うの。
人は結構いっぱい来てくれて、一生懸命頑張った、つもり。
ゆすらさんの知り合いだっていう人も、そうじゃない人も来て、楽しかった。
お話もちゃんと、までは言えないかもしれないけど、私なりに皆と話せたかな。
1回目でこれなら上出来だね!私超いい子!
お名前もある程度覚えたし、多分次はもうちょっと上手になるね!
みんなにバイバイってご挨拶してお店が終わった後、リンクパールを鳴らしてゆすらさんを呼び出す。
今日来てくれた人の名前や様子、気がついた事なんかを報告して、残ったご飯とおやつを確認してお仕事終了!
お休みなさいってご挨拶して、お店の片隅に作ってくれた私の居場所に潜り込む。
鍵は……余分を渡してってくれたけど、無くさないように気をつけないとね。
今日は疲れたからぐっすり寝るの。また今度、みんな来てくれますように!