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レオニア王国記 第二期 <本編 九話> 虎の子、獅子の子

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Read more>>『レオニア王国記』とは?(LSマスターLuisSera日記に飛びます)

                    

レオニア王国記 第二期 もくじ

 ←前回 レオニア王国記 第二期 八話『薔薇の来た道』
 次回→ レオニア王国記 第二期 十話 ベルガスの焦り
                     

▷虎の子、獅子の子 
                     

 <<オルゼオン大陸地図




「マテウスよ、立派になったのう」

 タイガルドの王、シルベウスは、眼下に立つ孫───レオニア国王子、マテウスの姿に、アウラ族特有のガラス色の目を細めた。よく見れば片眼がぎこちないのは、レオニアとタイガルド戦争決着時に負った怪我によって、義眼が嵌っているためのものだ。
 半歩後方の左右にルイス、アルベールを従えて、マテウスは居住まいを糺す。

「はい。シルベウス陛下もご健勝で、お目にかかれて光栄です。アムリタ陛下も、お会いできるこの日を幼い頃からずっと心待ちにしておりました。」
「もう十年ですものね。文では様子を聞いていましたが、マテウス王子、あなた、自分のことはあまり書かないから……どんなに想像したことか」

 遠い昔にレオニアへと見送った、愛娘であるローザの面影を強く宿したマテウスの風貌に、アムリタ妃は堪えきれず目元を抑えた。アムリタが亡き母と同じエレゼンであるだけでなく、その柔らかな動きまでが記憶に残るものと同じで、マテウスもハッとする。

 間違いない、ここは母が生まれた地なのだと。

 以前に一同が顔をあわせたのは、マテウスの母ローザ妃が病状急変により逝去した、その葬儀の時だった。当時マテウスは十歳。よからぬ企てが入り込まぬよう、葬儀の場でも直接の対話らしい対話は叶わなかった。戦後和平を結んだあとのこととはいえ、差し出したローザ妃の第二王女への降格に次ぐ死去とあっては、当時の二カ国の不和が沙汰されるのも致し方ないことだっただろう。
 祖父母と孫であった彼らは、検閲の入った文のやりとりが許されるのみで、顔を合わせることはないままにこの場に至ることとなったのだ。

「さて、感激してばかりもおられんな。仕事を進めようではないか。別室へと参ろう」

 自身の目も潤ませながら、腰をあげるシルベウス。横に控えていたルガディン族の男がつづく。恐らく彼が宰相ベルガスであろう。アムリタ王妃は別行動のようで、座についたまま見送っている。アルベールは、案内をうけてマテウス、ルイスと共に密談室へ歩みながら、注意深くタイガルド城内の観察をつづけた。
 と、回廊の突き当たり、曲がり角から、軽やかに駆けてくる女性の姿があった。長い金髪と纏っている深紅のローブがたなびいて、鳥の尾羽を思わせる。そのあとにつづいて従者らしき者も焦って追いかけてくる。
 一同は歩みを止め、頭を抱えるシルベウス王、苦笑いするマテウス王子の様子から、これが初対面となるアルベールも彼女が名乗る前になんとなく察知した。

「マテウス!よくいらっしゃいましたの…!」
「アルティさん、お久しぶりです…大丈夫ですか、その…格好が」

 近くまで来て息を整える姫をみると、魔力を高めるローブを纏っているが、あちこち煤汚れや、焦げ跡がついている。反してその表情は瞳をキラキラと輝かせており、不釣り合いな状況にマテウスは少々面食らう。思わずシルベウス王も狼狽し、たしなめる。

「おお、なんという格好じゃ!アルティよ、そんなに慌てて…マテウスと会う時間はまだ先じゃぞ」
「それが、ちょっとあとの予定がみえない状況ゆえ……と言ってもお父様、今日もプロジェクトは順調ゆえ、ご安心なさいませ!それでちょうどここを通ると皆さんが見えましたので、先にお顔だけでもとエーテリアルステップ、ですの!」
「わかったから、早く着替えてきなさい。まったくお恥ずかしい…」

 父王シルベウスからは呆れ声、ようやく追いついた従者からは上着を着せかけられながらも、アルティは嬉しさを隠しきれない様子はそのままに、「またあとでの」とスカートを摘まんで上品にお辞儀をし、踵を返した。鳥のように軽やかな足取りで戻る先には、同じように灰やすすにまみれながらも、情熱に燃える瞳を輝かせた多様な種族の子どもたちが、「おうさまー!ひめさまー!」とちいさな手を振って、アルティ姫を待っている。
 シルベウス王は歓声に答えながら、その賑やかな集団が角を曲がると、やれやれと肩をすくめる。

「この後に話すが、あやつのお蔭で資源改善が見込めておってな。長年の研究が実ったことで、同時に、才能豊かなタイガルドの子らにもさらなる教育が進められる。先行き明るきは何よりじゃが…それはそれとして、あの通り、年頃の娘としては問題が多くてのう……光差すこの未来を盤石とするためには、我が血筋の通った子こそが必要なのじゃ。この幸運に乗じて、よい縁談も流れ込んでくれれば、万事が順調なんじゃが」

 さすが、好好爺然とした中にも抜け目のなさを覗かせる視線で、マテウスとアルベールが返しに困って苦笑する中、冷静な顔で聞いていた宰相ベルガスが、続く予定を促した。

「シルベウス陛下、重要なお話を山ほど進めねば。ここではなんですので、参りましょう」
「おっと、そうじゃな。失敬失敬」

 そうして一行は、二国間会議の場へと向かうのだった。


***


 ところ変わって、レオニアの城下町。

 急な夕立が上がり、露店は一度仕舞った品々を広げ、家に入っていた子供はふたたび通りに出て、もとの遊びを再開する。
 通り裏手の柵の上を飛び跳ねていた子どもが一人、不意にバランスを崩して落下し、足の怪我に泣き声をあげた。それを囲んで他の友人たちがオロオロする中、通りからヒューランの青年が素早く駆け寄る。

「ああ、かわいそうに。足の骨が折れてしまっています。でも適切に治療すれば元通りになりますよ。この場はとりあえず、痛みを鎮める魔法をかけましょう」

 澄んだ癒しの光とともに、子どもも泣き止み、見守っていた友だちも滅多に見られない魔法治療に感激して湧きたった。

「お兄ちゃん、ありがとう!」
「応急処置はこれでよし。あとはお医者さんのお仕事ですね。この辺に診療所はありますか?」
「うん!ノット先生のとこが近い!ついてきて」


 この辺では見ない顔の青年に道具屋の息子が抱きかかえられてきて、ノット医師は急ぎ治療をする。ついてきた子に道具屋へ知らせに行くよう伝え、青年には礼を言って別れようとすると、レオニアへ人を探しに来ていたところで相談があるというので待合室で待たせることにした。

「これで固定できていますから、杖に慣れるまでは手伝ってあげてください。経過を診ますので、一週間後にまた来てくださいね」迎えに来た母親に説明を終える。

「ありがとうございます、あの…連れて来てくださった貴方も、本当に」

 謝り通しの母親が待合室の青年に会釈すると、青年はうふふ、とにこやかに笑って返す。ノットは診療所を出ていく親子を見送ると、本日の診察時間終了のプレートに下げ変えて、扉を閉めた。

「お待たせしました。素晴らしい応急処置でしたね。あの子も落ち着いて頑張れたようです」

 ノット医師は茶を淹れたカップを青年の前に置き、自らも向かいに腰掛けて一息ついた。治療中は患者以外を見ている余裕がなかったが、改めて確信する。ノットと年も近く、同じミッドランダーの青年。二人は他人の空似とは言い切れないほどには、似た顔をしている。

「それで、お話というのは」
「はい。私、オークレアから来たのですが」

 物腰は柔らかながら、じっと瞳の奥を観察するような目つきの青年からオークレアの単語が出て、ノットは動揺で生じた心の揺らぎを押さえようと、続く言葉に注意をはらった。

「このレオニアに母違いの兄が住んでいるらしいと聞き、ひと目会ってみたいと」

 ドアをくぐってきた姿を見た瞬間に呼び起こされた古い記憶は、彼が一言一言を発するたびに鮮明なものになる。まるで、澱んだ血を拭って明らかになる病巣のように。
 オークレアで起こした治療団全滅のもみ消しのため、父から軟禁状態にされた過去、家を探って得た父親の過去。権威ある家系との決別を覚悟した理由のひとつ。  

「間違いない、あなたが兄さんですね」

 ノットの父親は、教育機関の長として人道を説く立場にありながら、円満な家庭の演出と地位のため、裏ではノットの母親の妹との間に出来ていた子ごと、その関係を一方的に清算していたのだ。

「私、テオドールと申します」

 そう言った彼は、ノットの父、母、どちらにも重なる顔で、にっこりと微笑んでみせるのだった。





  ーレオニア王国記 第二期 十話につづくー  





(20221207初掲)


                    

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■レオニア王国記本編 第一期もくじ■
ここから全てが始まった。Bramaleさん作の本編を軸に広がる、レオニア国をめぐる群像劇!



完結済みのレオニダス著 レオニアサイドストーリー:
■レオニア王国記 前日譚■
タイガルドから、元敵国へ輿入れとなったローザ姫に付き従う、宰相の若き日──ルイスの物語。

■レオニア王国記 よみびとしらず■
本編より遡ること20年前。レオニアは未だ戦争の渦中にあった。王子であったレオニダスの
ある出会いの話。


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