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White Knight

Juliette Blancheneige

Alexander (Gaia)

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『Light My Fire/ignited 5』(後)

公開
5-4

 戦いは終わった。
 各地の被害は最小限で抑えられ、わずかに逃亡したドラゴンたちもクルザスへと去った。

 角尊リ・ジン・キナはかなりの重傷を負った。
 加えて限界以上の魔力を消費したこと、その身に抱えている呪いのこともあり、彼――いや、彼女は長期の休養を余儀なくされた。
「しばらく黒衣森にもいられんしの、ア・トワ・カント様の真似でもするかのう」
「嘘つけ絶対物見遊山じゃねえか」
「てへ!」

 シャルロット・ラトゥールは双蛇党を辞した。
 『本当のやりたいこと』をするためだという。戦いのあった翌日にはもう実行に移しており、遺留の言葉をかける暇も無かった。
 その後、南部森林にて、“吟遊詩人”ジュアンテル・フワントームに師事しているところを目撃されている。

 メイナードは南部森林へと赴くが、リリと角尊ラヤ・オ・センナはちょうど帰還したところであった。
 互いの無事を確認し、二人は“家”へ戻った。

 アーシュラ・ギブソンは、戦闘後の慰労会で酒乱っぷりを遺憾なく発揮した。
 唖然とするエールを捕らえると散々に構い倒し、かつ酒席に参加した全員の杯の中身を『シルフ製のおしゃけ』なる謎の液体とすり替え、居並ぶ参加者のうちカヌ・エ・センナ以外の全員を昏倒させるなどの暴虐を働いた。
「スアーラ討伐の勲一等が無ければ国外追放ものでした」
 と、のちにロジェが語っている。

 ロジェ・セナンクールは大牙士へ昇進した。同時に小隊長の任を解かれ、アーシュラともども再構築されつつある『エオルゼア同盟軍』及び『暁の血盟』との連絡調整役として抜擢された。
 内実が『揉め事解決の何でも屋』であると知るのは、もう少し先の話だ。

 そして。
 エール・レッドグレイヴは。

 二週間後。
 東部森林、花蜜桟橋。
「で、謹慎一か月か」 
 朝霧に煙る湖のほとりで朝釣りをしながら、メイナードはエールから正式に処分が通達されたことを聞いた。
 戦いの後、双蛇党党首カヌ・エ・センナから、正式に神殿騎士団へと文書が送られた。
 黒衣森を襲った邪竜スアーラとその眷属の討伐に際し、エールに多大なる功があったことへの謝辞と、並びに彼の処分の軽減を嘆願する文書であった。
 それにより下された裁定が、謹慎一か月。
 その間、竜騎士エール・レッドグレイヴは双蛇党預かりとし、傷の治療に専念すること。それが、神殿騎士団総長アイメリクからの通達であった。
「ああ。総長にゃあ頭が上んねえな」
「おう、グリダニア土産でも持ってってやんな」
 魚に餌を取られ肩をすくめるエールに、メイナードが笑って餌籠を手渡す。
「……メイナード」
 しばらく湖面を見つめた後、エールがぽつりと言った。
「あん?」
「あんた、竜騎士の技を覚えてみないか」
「興味は大有りだが……できんのか?」
 片方の眉を跳ね上げたメイナードのほうへ、エールが向き直る。椅子から立ち上がると、懐からソウルクリスタルを取り出した。自分のものと、アロイスのそれだ。
 目を細めて見つめた後、エールはアロイスのソウルクリスタルをメイナードに示してみせた。
「アロイスが……弟が継いでたクリスタルだ」
「いいのか」
 メイナードも立ち上がり、真剣な顔で問いかけてくる。それに、エールはしっかりと頷き答えた。最後の戦い以降、ずっと考えていたことだ。
「俺が持っててもしょうがねえし、いずれ誰かに渡さなきゃなんねえ。だったら、俺はお前に託したい」
「俺は冒険者だぜ?」
「前例ならあるさ」
 ニヤリと笑ったエールは言う。
「なにせ先々代の蒼の竜騎士が、自分のソウルクリスタルを冒険者に託しちまったからな!」
「オマエそれ“光の戦士”のことじゃねえかよ!」
「前例は前例さ。――それに」
 表情を引き締める。
「たった二回目で、ジャンプを実戦で成功させた奴を俺は初めて見た。あんたを竜騎士にしないのは惜しい」
「重ねて言うが、俺は冒険者だ。イシュガルドのためにドラゴンを倒すわけじゃねえ」
「無論、竜騎士はそのために生み出された存在だ。だがその一方で、始祖である征竜将ハルドラスはこうも言ってる。『これは己の正義を貫き通す力』だと」
「……貫き通す力、か」
 エールをじっと見つめたメイナードは、そうしたまま手を伸ばした。エールの手から、ソウルクリスタルを受け取る。
「わかった。もとより異論はない。お前の期待と――継がれる魂に敬意を表そう」
「……ああ!」
 ソウルクリスタルを握った拳を突き出す。メイナードの拳も同じく突き出され、ぶつかり合う。
 二つのソウルクリスタルが輝いた。新たな竜騎士の誕生を祝うかのようだった。
 笑いあう二人の耳に、それぞれを呼ぶ声が聴こえる。
 桟橋へ向かってくる小舟に、リリとアーシュラが乗っていた。手を振る女たちに応えながら、男たちも桟橋へ向かった。
 時間は早朝。一日はまだこれからだ。
 朝日が森を照らしていく。
 若者たちの前途を、祝福するかのように。

『Light My Fire/ignited』(完)

『Light My Fire』へ続く
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