「吟遊詩人」と言えば、旅に生き、各地の酒場や宴の席で歌う者を連想するだろう。しかし、かつては弓の使い手を指して、そう呼んでいた。

古の弓兵は、戦場で弓の弦をつまはじき、詩歌を吟じたと伝えられている。恐怖心を払うため、勝利を祝すため、そして、死した戦友を弔うため……。かくして命せめぎ合う戦場で吟じられる詩歌には、人の魂を震わせる力が宿るようになったという。