下記は ロールプレイに伴う二次創作になります。
独自設定、解釈、創作が入りますので、ご注意ください。------------------------------------
殆ど伝説、と言ってもいいほど、現存しているか疑わしい”吉光”だったが、意外なところからその情報が入った。
その情報源とはドマ――ヤンサに住むナマズオ達だった。
「あんたがクランセントリオの人が言ってた冒険者さんだっぺな? ユヅカ代官屋敷まではるばる御足労いただき感謝するっぺよ」
ナマズオ達の長であるギョシュがシドゥを迎えた。
クランセントリオの仲介で、シドゥはここのナマズオ達からとある依頼を受けていた。
「雷撃のギョライの噂は聞いたことあるっぺ?」
ギョシュは、苦々し気に、話題を切り出した。
雷撃のギョライ。
――一度は文明を受け入れながらも、野良に墜ちた大悪党……。
Bランクではあるが、ヤンサの人々を無差別に襲うことからクランセントリオから賞金首に指定されている。
ギョライが事を起こした際には、週替わりの掲示板に、手配書が貼られることもしばしばだ。
「あいつにはほとほと困り果ててるっぺ! 文明化されている、おらたちの評判まで悪くなるっぺよ!」
ギョシュは溜息混じりで言った。
「依頼は引き受ける……だが」
と、シドゥはギョシュの話に答えながらも、本題を切り出した。
「報酬に吉光、というのは本当なのか?」
――そう今回の依頼は 「雷撃のギョライの撃退」。
その報酬は「一族伝来の吉光」だった。
「うぺぺぺ、ナマズオに二言はないっぺよ」
ギョシュは頷いた。
「ヒトの冒険者殿は、吉光の短刀が欲しいっペな? ……報酬の吉光は、”短刀ではない”っぺ、だけども、きっと兄さんの望みは叶うっペよ」
と、いうとギョシュは、ナマズオに伝わる伝承を語り始めた。
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その昔、ひんがしの国の刀鍛冶である粟田口吉光藤四郎は、新たな刀の素材を求めて、ここヤンサに来たんだっペ。
そして目的地に向かって無二江を下ってたんだけども……途中、折悪く嵐に巻き込まれたんだっぺな。
その時だっペ! 無二江の近くに住んでいたうぺぺなナマズオ達が、吉光を見かねて助けたんだっペよ!
吉光はそのうぺぺなナマズオ達の助けにいたく感動し、必ず礼はすると述べて、ヤンサの珍しい鉱石をひんがしの国に持って帰ったんだっペ。
そして、後日、ナマズオ達の元に、それはそれは見事なモノがとどいったっぺ。
それは三つ又の銛の形をした薙刀だったっぺ。
ナマズオ達が漁に使っているのを、吉光藤四郎は見てたんだっペな……。
吉光は短刀だけでなく、薙刀づくりの名手でもあったっぺよ……。
そして、おら達ナマズオ族はそれを後生大事に、ご神刀のように扱ったっペ。
吉光もそんなナマズオたちに感じるものがあったのか、おら達のおっぽのような形の短刀をいくつか作ったりして
それらは”鯰尾”と呼ばれるようになったっぺ……。
そして、その三つ又の薙刀もまた、”鯰尾藤四郎”と呼ばれるようになったっぺ……。
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ギョシュは話し終えると、嘆息して、続けた。
「だけれども、その鯰尾藤四郎も、帝国のドマ侵略のドサクサや、ユヅカ家のお取りぶしの際に焼け身になった上行方知れずに……あまつさえ、ギョライのような悪党の手に渡ってしまったことがわかったっペ……」
「よくわかった……だが、その一族の宝を、俺が貰っていいのか?」
「それだっぺが」
ギョシュは言った。
「鯰尾藤四郎は、ドマ侵略の際に”焼け身”になった上、長い事行方知れずになっていた時期もあって、残念なことにすっかり錆びて劣化してしまっていて、とてもじゃないけど実戦には使えないしろものだっぺよ」
「なに……?」
それでは意味がない、シドゥが求めるのは、技を前に進めるための名刀なのだ。
「でも安心してほしいっペ、本当に素晴らしい刀は、何度でも蘇るものだっぺ。 ギョライは価値もわからず、おもちゃにしているけんども……」
ギョシュは続けた。
「三つ又の薙刀、そのままでは使えないっペが、これを研ぎ直し、再刃すれば三振りの短刀になるっぺ! 古来、東方では、使いこんだ薙刀を短刀に直した”薙刀直し”というモノがあるっぺよ! ギョライ手から薙刀を取り戻し、研ぎ直しが終わった暁には、このうちの二振りを兄さんに譲るっペ! ギョライのような悪党に使われ続けるくらいなら、その方がご先祖様や吉光も喜ぶはずっぺよ!」
——”本物”の吉光の短刀、二振り。
シドゥは、迷うことなく、ギョシュの申し出を承諾した。
そして、シドゥは、早速、”雷撃ギョライ”の行方を探ることにした。
ヤンサの何処かにいるはずだった。