るんです。
「まだ起きてる?」
「そやな。これから旅に出る(キリッ)」
「なんやそれwでもいい人に会えてよかったなぁ」
「うん。その人たちとまた冒険いきたいから、頑張ってストーリーすすめな」
「ま、あんまり遅くならんようにね」
妻の就寝。
それはLuunnがエオルゼアに召喚されることを意味している。
【家庭>エオルゼア】の構図を守って、リアル世界のエオルゼア干渉を避けるべく僕は深夜にインする。子供たちがFF14の冒険を楽しみに見て(時にはプレイして)いるため、子供たちがアクティブな時も『遊び』の一環としてエオルゼアに降り立つこともあるが、基本的には深夜が僕の自由時間です。
そのためチャットしながら冒険にいくIDやレベルレは24時~26時が中心。
心躍る出会いや素晴らしい冒険の思い出はこの時間帯に産まれることが多い。僕にとっては至福のゴールデンタイムです。
メインクエストを進めるために各地を転々とし、訪れたクォーリーミル。
集落の外れにいたクエスト出題者の話を聞こうとしていると、緑の頭が画面に映りこむ。
ゾロか!?
いえ、ヴェンさんです。あの日以来の再会。
また会いに来てくれました。
NPCから視線をヴェンさんに移し、挨拶。「こんばんわ」
再会を感謝し、少し話をしていると、突然視界に飛び込んでくる小さなオレンジネーム。
足元に駆け寄って来てくれたのはマナさんだった。
・・・こんなことある??
これは俗に言うダブルブッキングというやつや。
こんな集落に僕に会うためにわざわざ来てくれたというのか?しかも同時に2人が
・・・うそやろ・・・
僕はとても嬉しかった。嬉しいというより、感激したと言ったほうが明確かもしれない。
マナさんは僕が緑の髪の人と話しているのを察して、エーテライトのある広場のほうに走って去っていった。
おそらくsayで会話をしていた僕たちに配慮したのだろう。エオルゼアで生きているマナさんからすれば当然の行動だったのかもしれない。
僕は遠くにいるマナさんにターゲットを合わせ、再会を喜ぶ仕草をした。
画面右に表示されるジャーナル一覧には、久しぶりにソロで行ってみようと申し込んでいたレベルレの順番待ちが3番手になっている。
僕はすぐさまそれをキャンセルし、ヴェンさんに「レベルレ付き合ってくれませんか」と言う。
「おうおうw」
「で、エーテライトの前に友達が居るんですが、誘ってもいいですか?」
「もちろん」
僕は急いでマナさんのもとに駆け寄る。
マナさんが何処かに行ってしまいそうな気がして全力で近づいた。
至近距離で手を振り、挨拶。マナさんの視線が動く。
会いにきたよ~♪といわんばかりの可愛らしいエモートに思わず抱きしめたくなったがギリギリでそれを制止した。僕は「抱きしめる」エモートが超苦手なんです。距離感・・・難しいw
それにここは人が多い。
「レベルレ付き合ってくれませんか?」
「もちろん!」
「後ろにいる緑の髪の方と一緒なんですが、いけますか?」
「w」
「どうも緑の人です」
そして2人は互いに目線を合わせ、挨拶を交わした。
偶然にも程があるほどの偶然で出来上がったこの奇妙な光景。
いま目の前で、僕が経験した2つの邂逅が、僕の世界を広げてくれた大切な2人が、出会い、挨拶してる。
僕はトライアングルになるように2人の間に立ち、この偶然が呼んでくれた奇妙な状況を見ながら湧き出るアドレナリンを押さえ込んでいた。
「フレ誘ってもしいですか?」とマナさん。
「もちろんです」
こうしてごく自然にピースが組みあがり、不自然なパーティが完成する。
僕はちょっと不安だった。
この断れない状況の中で完成したパーティでみんなが冒険を楽しめるのだろうか。と。
「なんか、申し訳ないな・・・」
でも、その思いはすぐに無くなった。
パーティチャットで適度に草を植えながら会話が進む。
行動力とフランクさの塊みたいなヴェンさん、元気いっぱいで優しくて空気を読めるマナさん、そしてそのマナさんのフレンドだ。みんなこの世界の達人、僕が心配すること自体おこがましい考えだった。
「いつでもいけます」
「では」
ルーレットで選ばれたのは『サスタシャ侵食洞』
またか・・・またここか。
サスタシャ侵食洞はこれまでも何度も行ったことがある。
最初のIDなので特に難しいギミックもなく、楽しめる要素はあまり・・・ない。僕ですらそう思ったのだから3人は尚更だろう。
ローディングで暗転する中、僕はこのルーレット結果を悔やんだ。「ま、イフリートよりましか・・・」
「食事!」とマナさん。
そうだ。ジュース、飲んでなかった。
昔マスターから頂いた85個のオレンジジュースも今では70個くらいになっている。
IDに行く前にはジュースを飲む。でも僕はそれを良く忘れる。
実際トトクラでは最後まで忘れていて、気が付いたのはボスを倒してからだった。
「飲むふりしたんだよ」
「全く見て無かったです・・・」
ごくごく。よし、これで準備万端や!!
タンクのヴェンさんに引っ張られ、ダンジョンをずんずん進んでい・・・・かない!
ずんずん進まない!
・・・またや。
トトクラで経験したのと同じや・・・みんな僕にペースを合わせてくれてる。
僕は恵まれていると改めて思った。
ヴェンさんは僕の足取りを完全にトレースして進み、僕が敵を認識するとヴェンさんがターゲットを奪って戦闘が始まる。
ヴェンさんは最初に狙うべき敵に◎のマークを付けてくれる。それを撃破すると次に狙う敵に◎を付けてくれる。どの敵から倒すのかをここで教えてくれているんだ。
しかもヴェンさんはターゲット奪う前に◎を付けてくれる事もある。
おそらく僕がターゲットを上手く取れていないのを理解したんだろう。ターゲットを奪ってからだと混戦になるから上手く出来ないと考えてくれたんだろう。嬉しかった。
戦闘前に◎をつけ、一呼吸したあとターゲットを奪う。
これが王冠メンターなのか・・・。
初めて一緒に戦う王冠メンターの戦闘術、初心者への気遣いに驚かされつつ、僕たちは侵食洞を奥へと進んでいく。
最初の分岐点、色のギミックのヒントが置いてある場所だ。確認に行ったのはマナさん。
・・・でも帰ってこない。何も言わない。(・・・ありがとうマナさん)
「青です」
最初のボス的存在クァールが登場する開けた場所に到着。
僕はクァールが登場するのを待った。
・・・みんなで待った。
(おかしいな・・・いつもは数秒で登場するのに、もう20秒は待ってる・・・)
「?」
「何色が好きかな~?」
<ツンツン>、<○○は○○を探した>
「緑」
「w」
(ありがとうみなさん)
なるほど。ここでさっきのヒントを使うのか。
いつもはクァールが登場する地点ばかり見ていたけど、視野を広げると綺麗な珊瑚が光っていた。
スッと僕の横に立つマナさん。
エモートで僕をサポートしてくれる。
僕が自分でギミックを操作するまで教えない。僕が理解するまで答えは言わない。
扉を開けるのも、宝箱を開けるのも、鍵を拾うのも、全部僕に経験させてくれた。
和やかなムードが僕の申し訳ない気持ちを帳消しにした。
「ここのギミック操作したの初めてです」
「それはよかった!」「できたね!」「おめでとう!」
冒険してるぅーー!!!楽しい。楽しいぞ!?
サスタシャがなんでこんなに楽しいんだろうってくらい楽しい!!
歩みは進み、アジトみたな場所に到着。
「こっち行ったことある?」
「ないです」
「じゃいこっか!」
「ここは俺も最近しったw」
マップを見ると放射状に部屋がくっついている。
酒蔵みたいな部屋、穀物貯蔵庫みたいな部屋、何の部屋かよく分からない部屋、財宝いっぱいの謁見室、そして牢屋。
その場所場所にゆっくり滞在し、そして会話が始まる。
「ラム酒かな」「飲み放題だぞー」
「助けにきたぞー!」「おまたせー」「かわいそうに・・・」
NPCも僕たちの冒険では生きている。
倒れたNPCには祈りを捧げ、「助けに来てくれたのですか」と言うNPCには「おうよ!」と返す。
僕たち4人は冒険者ギルドに寄せられた問題を解決するため、怪しい工作が行われていないかを調査するためにサスタシャ侵食洞を訪れた一介の冒険者だ。
そこで僕たちはサハギン族と怪しい取引をしている一味を発見し、追撃する。その過程でそこに囚われた人を助け、この侵食洞内での問題を次々に解決していくのだった!(内容は曖昧)
という重厚な物語をしっかりと『なりきり』、楽しんだ。
ただ経験値を得るためにボスまで辿り着き、倒して帰るんじゃない。そのダンジョンにある物語を全力で楽しんで、結果として経験値をもらい、ボスを倒す。これぞ冒険!!
FF14の世界にある沢山の物語、そのひとつを精一杯満喫した。
そしてその結果として、僕はマップを踏破した者に贈られるアチーブメントを手にした。
「おめでとう!!」「おめでとう!!」「おめでとう!!」
楽しいぃぃ!!!ただロール(役割)を持って冒険するんじゃない。その物語のロール(役割)に『なりきって』冒険する。
これぞロールプレイング!!
「ナイスLB!」「タイミングばっちりだったね!」
最後の最後まで、ボスを倒して拠点に戻るまで本当に楽しかった。
パーティを組んだとき、こんなに楽しい冒険ができるんなんて想像も出来なかった。
倒し終わってからもボスの間で雑談。終了5分前のアナウンスが鳴らなければ僕たちは帰らなかっただろう。
結果、僕たちは85分かけてサスタシャ侵食洞をクリアした。
85分ですよw
全てを物語る時間の長さ・・・みなさん、本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした!
クォーリーミルに帰ってきた僕たちは、時間も遅いということもあり程無くして解散。
去り際、僕はマナさんを抱きしめた。
今回は制止できなかった・・・ちっちゃくて可愛い♪
またこのメンバーで冒険したい・・・
この気持ちが僕だけのものじゃないと良いな・・・と思いつつ僕はPS4の電源を落とし、妻の待つ寝室へ向かった。
それではまた。