喧々諤々とする3人のニンジャの元に一体のショタ型ララフェロイドが近づく。
「マスター。情報収集終わりました」
「チョコたん、おかえり。よくやったわね」
ナビア=サンはララフェロイドの頭をヨシヨシと撫でる。ララフェロイドは2本目のケモビールを煽るオソバトワリの方へ向き直る。
「ドーモ。オソバ=サン。今日も見た目麗しく…」
「あー。ドーモ。チョコ=サン。そういうシャコージレーは結構」
ララフェロイドはペコリと頭を下げる。
「地図が示す場所はこの辺りで間違いないみたいです。予測座標をそれぞれ皆様にLPCで送信しますね」
「さすがチョコたんはかわいい上に使える子だにゃ」
確かに高級ショタ型ララフェロイドをさらに違法カスタマイズしたチョコ=サンは下手なニュービー・シノビニンジャよりも高い能力を発揮する。
「でしょー。やっぱりかわいいって正義よね」
「わかるにゃ」
「幸せだわぁ…チョコたんはかわいい。ウルスラ=サンもかわいい」
恍惚とした表情でナビア=サンは杯を傾ける。
「座標ありがとう。そんなに遠くはないみたいね」
オソバトワリは立ち上がり、空になったケモビール瓶を「瓶」と書かれた穴に投げ入れる。
「オソバ=サンはかわいくない」
「わかるにゃ」
「さっさと行きましょう」
ハイハイ。と仕方なさげにナビア=サンとウルスラ=サンが立ち上がる。チョコ=サンの先導で3人のニンジャは鬱蒼とした森の奥へと進む。
「それにしたってチョコ=サンを連れて来たならキキャ=サンも連れてくればわざわざ私を呼ぶ必要なかったのでは?」
「何言ってんの!?本当はチョコたんだってこんな危ないし汚いところ連れて来たくなかったのに、ブルシットな奴の矢面に立たせる可能性があるなんて冗談じゃないわ!」
「アッハイ」
「この辺りデスネ」
先導のララフェロイドが座標にかさなる場所で立ち止まる。そして指示する辺りをウルスラ=サンが用意したスコップで掘り返していくと、カチリと金属が衝突する乾いた音が鳴り響く。
「あったにゃ」
それを掘り出すと、古代テックの様式を保つ箱が姿を現す。思っていたよりはずっとシンプルな見た目で、見るからに頑丈そうなフォルムは古代のエイギョサラリマンが密輸や税関を撲殺するために使ったといわれるセンリョ・ケースを思わせる。ただそれに鍵が付いている様子はなく、ただ開閉口付近に赤いボタンが付けられているだけであった。
「これ見よがしだけれど、このボタンを押せば開くのかな」
「ちょ、ちょっと待てにゃ!それを押すとすぐガーディアンが出てくるにゃ!」
「ボタンはみだりに押すなって教わらなかったの!?アンタ、バス乗ったことないの!?」
まだ押してない、という言葉を言いかけて飲み込むタンクニンジャだったが、時間と労力を浪費しないように黙って他の3人に下がるように手で指示をした。そしてその手を広げ、一本づつ指を折りたたんでいく。その手が握りこぶしになると同時に
「イヤー!」
おお!素早い連続バク転と共にボタンに向かってスリケン投擲!パワリオアー!という音と共に宝箱は白煙を上げて開く!ワザマエ!そして同時にバク転の終わりには内なるニンジャソウルを開放し、青い帷子風のニンジャ装束に出で立ちを変えている!タツジン!
そして、白煙から姿を現したのは…ブッダ!巨大な一つ目のバイオサイクロプス!ニュービーニンジャや力の蓄えが不十分なバンシン程度なら簡単に爆発四散せしめる事の出来る、古代アラグクランが突然変異によって作り出したテックの悪鬼である!
当然そんな存在だとは知らぬ4人であるが、ニンジャ達はそのニンジャ第六感によってその危険性を認識!タンクニンジャは即座に距離を潰す!
「イヤー!」
愛刀のメンボウで鋭い斬撃を繰り出す!しかしその巨大な体躯には些かの効果もない!
「グオー!」悪鬼の危険な右ショートフック!
「イヤー!」紙一重でのブリッヂ回避!そのまま側面へと転がり態勢を立て直す!
「大当たりにゃ!」
確かに彼女の推測通り宝の内容がガーディアンの強さに比例するとすれば、これは間違いなく大当たりだ!しかしながら、ニンジャをも一撃で爆発四散させるであろうそのカラテと凄まじい耐久力を併せ持つ悪鬼を倒すのは、酔っ払いのモータルを悶絶させる程度のベイビーサブミッションとはワケが違う!
ヒーラーニンジャのマジックミサイル・ジツやバードニンジャのガイデッドシュート、シノビロイドもダガースローでタンクニンジャを援護する!だが、一撃もクリーンヒットを許せない状況でのカラテの鬩ぎあいは、体力と共に精神力も激しく消耗させる。斬撃もかすり傷程度しか残せず打開策も見いだせない状況はジリー・プアー(徐々に不利)だ!
「スキャン完了…ウィークポイントは、後頭部デス」
シノビロイドは冷静に自身に搭載されている高精度のスキャニングシステムを作動させて、悪鬼の行動パターン等を分析。結果後頭部を極度に庇う動きをしていることを突き止める!しかしながら弱点部位を理解したところで、それを庇いながら戦う獣を相手にピンポイントで攻撃をスマッシュさせることは困難!
「オソバ=サン。出来る限り敵の気を引いてください!」
チョコ=サンの声に答えるように、ワンインチ距離にさらに接近するタンクニンジャ!
「イヤー!」「全く…気を引けるのはこんなデカブツの一つ目なんてね」
剣と盾を巧みに使い、悪鬼に纏わりつくように戦う!しかし一歩間違えればネギトロめいた屍骸を晒すのは明白!慎重にかつアグレッシブにカラテを繰り出す!
「イヤー!」
その隙をついて、オンミツ・ジツからのバックスタブを繰り出すシノビロイド!自分の身長の何倍もの跳躍から、悪鬼の後頭部へダガーストライク!
「グオーーー!」
悪鬼の悲鳴とも咆哮ともつかぬハウリングボイスが響く!同時に悪鬼は滅茶苦茶に暴れまわる!そのバックブローが運悪く落下中のララフェロイドにクリーンヒット!吹き飛ばされ、樹木に叩きつけられるチョコ=サン
「チョコたん!」
ナビア=サンは悲痛な叫びと共にララフェロイドに駆け寄る!悪鬼は怒りのアトモスフェアを漂わせ、そちらへ向かおうとする!しかしタンクニンジャがその右足に剣と突き刺し、地面ごと串刺しにする!
「グオー!」「グワー!」剣と押さえつけていたタンクニンジャに悪鬼の強烈な左足インステップキック!必死の形相で突き立てた剣にしがみつくが、悪鬼の執拗なキックの嵐にとうとうタンクニンジャも吹き飛ばされる!悪鬼は突き刺さった剣を抜きにかかる。その巨大な怒りに血走る目はララフェロイドと彼をかばうように覆いかぶさるヒーラーニンジャへ向けられる!コワイ!
「エイムトゥグローリー…にゃ!」
おお!羽根つきのハットと妖艶な胸開きの白いニンジャ装束を纏ったバード・ニンジャは番えた矢に己のオーラをコンセントレートさせていく!標的は…おおブッダ!先ほどシノビロイドがダガーストライクした場所に一筋の切れ目!しかしそれはダガーによる裂傷ではない!なんと後頭部に小さなもう一つの目が開いたのだ!そこからブラッドティアーの様に血が滴る!そして放たれるペネトレイションショット!
ブルズアイ!見事に後頭部の目に突き刺さった矢を受け、悪鬼は前のめりに倒れる。
「チョコたん!チョコたん大丈夫!?」
ところどころ皮膚として使われているオモチ・シリコンが裂け、ヒトとは違うテックのボディが晒されている。
「マスター…中枢へのダメージは軽微…ご心配をかけて申し訳ございません」
ナビア=サンは自らのニンジャ装束の袖をちぎり、オモチ・シリコンが裂けた場所を塞いでいく。
「無茶するにゃ…ララフェロイドじゃヒール・ジツは効かないにゃよ」
「ヒール・ジツが欲しいのはこっちなんですけどね…」
吹き飛ばされたタンクニンジャは首を鳴らしながら、埃を払いながら立ち上がる。
「ともあれ、これで宝箱を開けられるんじゃないです?中身が期待するほどのブツならチョコ=サンにフルメンテナンスしてあげられるでしょうし」