こんばんは。
昨日イクシオンワールドで開催されましたエオルゼア大学の講義を聴講しました初級白魔道士です。
聴講した内容と知っている内容と、新たに調べた内容をミックスしていますので、講義そのものではありませんが、レポートを提出します。
エオルゼア大学『媒体と技術から見るエオルゼアの印刷物』講義聴講の記録◆講義名:媒体と技術から見るエオルゼアの印刷物
◆日時:7月19日(月) 21:00~22:30、質疑応答約30分
◆場所:エオルゼア大学イクシオン本校、ゴブレットビュート14区19番 地下講堂
◆講師:Toppan Press先生
◆講義資料:
媒体と技術から見るエオルゼアの印刷物【「記録」の歴史】 情報を記録すること、残すこと。「残すこと」は文明発達以前から重要視されていた。
・壁画、絵画
・文字の発明
・粘土板
凸面をつけた円筒印章を粘土板の上で転がし、押し込んだ圧力で転写する行為が
行われていた(押圧印刷)。
これをもって印刷の端緒とする。
・青銅器の金文
鋳物で文字を制作
・木簡、竹簡、パピルス、羊皮紙
インク、墨の登場。巻物と冊子の登場。
・紙
紙すき技術の登場
・木版印刷
現存する最古の木版印刷は百万塔陀羅尼経
・活版印刷
13世紀南宋、15世紀後半グーテンベルクが発明
中国では活字の発明後、活版印刷は廃れた
(活字にする文字が膨大な量の漢字であるため)。
グーテンベルクは金属活字を製造。
活字の文字型である紙型が金属である必要はなく、丈夫で彫れればよい。
木製の紙型も存在する。
・鉛筆
16世紀頃以降に登場。
【媒体と印刷】・媒体:一方から他方へ何かを伝える際に、その間を取り持ち仲立ちとなるもの。
「媒」そのものがなかだちと読む。伝達手段。
・印刷:情報を記録する際の手法。原稿の版を作成し、版にインクを乗せて媒体に
写し取ること、その技術。
材質、手法別に木版、活版、凸版、凹版などがある。
【印刷の必要性】 1:情報を残す、保存する、バックアップする→写本と同様
2:後から参照する→写本と同様
3:同じ情報を提供する→写本と同様
4:情報提供のタイムラグを減らす
5:大量の情報を伝える
6:正確な情報を伝える
7:情報を拡散する、距離を伸ばす
8:短時間で制作する
【インクについて】「残す」という意味においては「書き付けられ、そして落ちずに定着する」のが重要になる。
記録の際に使用されるインクは煤や炭、藍やタンニンの沈殿物など、とにかく落ちにくい黒い物質から徐々に使いやすく整えられていった。
書くにしても印刷するにしても、インクを印字面に移すにはペンまたは版といった媒体が必要で、羽根ペンや万年筆は毛細管現象、印刷は版にインクを軽く付着させる方法で書き付けたい面にのせている。
つまりインクの出やすさ(フロー)、版への乗せやすさといった面からみて「書くインク」と「印刷用インク」は必然的に材質が異なる。
書き物用のインクを版に乗せると、水っぽすぎてしみこんだり流れてしまう。
そこでニスを利用してある程度粘性を持たせた流れにくいインクをべっとりと版に塗り込め、紙に写した。
【インクとインキ】 もともと外来語は特に子音の発音において日本語では表現できないもので、筆記となるとなおさらである。
印刷業界としては主に「インキ」という言い方をとり、その語源はオランダ語から来ているとのことである。
英語とオランダ語という言語の違い、インクの粘度の違いなど、インクとインキの言い方の別がネット上にはまことしやかになされているが、はっきりしない。
しかし語源がわざわざ違うならば、この言葉の渡来の時期や場所、状況が英語、またはオランダ語それぞれで異なったルートをたどる必要がある。
言葉の渡来において発音や読み癖、書き癖はゆれる。筆記の際、どのように発音を記述するかは特にルールが決まっていないからである。それを聞いた人の記録の中や、その記録を読む人たちの間でだんだんと定着するものであり、「確たる語源はない」とした方が無難とはいえる。
とりあえず合理的に考察してみる。
日本は欧米圏との交流において英語よりポルトガル語やオランダ語のほうが早く触れ、明治に入ってからは学問分野でドイツ語に多く触れており、その影響は現代にもしっかり根付いているから、印刷や筆記のような技術に関する語源がオランダから先に入ったという説には無理がない。
もちろんペリーの黒船来航以来、英語も話者や通訳などの必要性から学ばれる中で「ink」の言葉が入ってきたはずだが、すくなくともインクの粘度に関わるとは到底思われない。
オランダ語での発音が江戸時代以降どのように筆記されたかは調べる必要があるが、「インキ」という記述だったと仮定して妥当な線をたどるなら、次のようになるであろうか。
1:印刷技術などとともにオランダ語「インキ」として日本に定着した。
2:その後だいぶたって英語の学習、習得も日本各地で行われ、「ink(インク)」という発音も増加していく。
3:英語教育がもっぱらとなる現代、「インク」という言い方が世間を占める。
4:業界内ではもともとの「インキ」という言い方が技術とともに残る。
5:民間で販売される文房具では「インク」の言い方が大勢を占める。
6:業界内で印刷機に使用する印刷専用インクは「インキ」の名をなおも引き継ぐ。
7:民生用のカラープリンタ用インクは世間で流布した言葉を用いて「インク」という。
【印刷物1、新聞】 エオルゼア三国にはそれぞれ新聞社があり、木版刷りのカラー印刷を行っている。
エオルゼア独自技術も存在するが、ともかく新聞社は独自の印刷工場を併設し、定期的に刊行できる体制を持っていると考えられる。
また、三国の政治体制をみると、情報の収集やその内容、市民への提供に関する政府の干渉・検閲はあまりないと思われる。
さまざまな情報を大量に、かつ即座に提供できる体制は、一般市民にあらゆる知を提供すると同時に、政治に関する論議なども活発化することになり、市民の政治参加の一端をになうこととなる。
各国の演説を見に来た人々は老若男女様々な人々の群れであったから、新聞が一役買っているのは十分にあり得る。
【印刷物2、ビラ、ポスター】・ビラ
情報を配布し、携帯できる情報媒体。
・ポスター
情報を掲示し、印象づける情報媒体。
三国の中では特にウルダハにおいてビラが多く配られている光景を目にする。
あるまとまった枚数を配ったり貼り付けたりすることから、印刷業が発展していると考えられる。
【紙の色合いなど】 そもそもカラフルな色のついた包装紙を別にして、ビラや新聞、ポスターなどは自然な色合いを持っており、大抵褐色である。
もし白い紙を作るなら、白い素材を用意し、さらにこれをアルカリ性の物質につけ込むなどして漂白する必要がある。
つまり、「白い色を作る」わけで、これは赤や黄色などの色をつけるのとさほど意味が変わらない。
使用する素材を選別するとか、決まった部分のみ集めて使うなどの手間を全くかけない場合、大抵は褐色のザラ紙で、使われた素材の色の違いなどが混ざり合った紙となる。
ちなみにコロセウムの開催告知のビラはルガディンの男性が時折手で叩くのだが、このときかなり薄くて丈夫な音がするので、上等な紙の可能性もある。
【印刷物3、パッケージ】 包装紙となる紙の印刷についてはエオルゼアでは広く浸透している(シーズナルイベントやプレゼントボックスなど)。
紙の箱は組み立てるための展開図が必要なので、デザインを行う職業もあると思われる。
もっとも、こうした設計は、建物やアクセサリなどのデザイナーが兼務している可能性もある。
また、素材には「ワニス」があるほか撥水技術が実在し、紙パックすら存在する。
撥水加工は最も簡単にはろうそくの蝋を塗り込めるだけでよいから、古くからあるにはある。
この技術を食料品と触れる形で実現させるにはそれなりの技術が必要になる、ということである。
【印刷物4、紙幣、金券、チケット】 印刷物がある価値を持ち、商品やサービスを媒介する。
ただし紙は破壊されやすいため、戦争や霊災などに見舞われているいま、硬貨に取って代わることはないと思われる…との講師のご説明だが、これは残念ながら違っている。
・貨幣
貨幣は「商品やサービス」という曖昧な価値を明快な数値に置き換える道具だが、交換可能であるからには貨幣自体に同程度の価値がなければならない。
貨幣の価値の決め方は二通りある。
1:貨幣そのものが価値を持った金や銀などで製造され、これをためるとそのまま財産になる
2:発行主体である国が貨幣の価値を認め、どこで使用しても同じ価値を持ち続けると保証し、安定するようコントロールしている
誰が価値を保証し、認めるのか? という話であり、媒体の頑丈さはあまり関係がない。
だから金銀ではなくある種の貝殻を最も珍重する民族がいたとすると、金銀をその貝殻に替え、その民族とやりとりすると対等な価値となる。
・軍票
軍票は各国のグランドカンパニーで発行され、まとまった枚数と貴重品とが交換可能な金券である。
軍票はそもそも軍部が発行主体となっている。所属する軍人はこれを用いて配給を受けるが、たとえば敵に奪われた場合、配給担当が交換に応じなければそのままただの紙切れとなる。紙幣や金銀などと違ってそのような処理が可能。
また、軍人自身は軍票と必要品との交換になるが、軍部は軍票で交換を受け付けた品物の本来の代金を立て替えているにすぎず、必ず軍に支払い義務が発生する。
つまり必然的に発行主体の元でなければ使用できないため、グランドカンパニーを移籍すると移籍前の軍票は自動的に使用不能となる。
・
蒼天街復興券=地域振興券 ・シーズナルイベントの各種チケット
こうした金券やチケットの類いは、重要度に応じて印刷物の偽造を防ぐ仕組みが必ず組み込まれており、貨幣ほどではないにしろ複雑な意匠を持っている。
多色刷り、極細の線、すかしなどが利用される。
【印刷物5、娯楽用品1】・トランプ
占いに使用されたアルカナのなかでも、数値を書いた小アルカナがプレイングカードとなった説がある(小アルカナに大アルカナが加わった逆の説もある)。
片面を同じ絵柄のデザインに、もう片面を何十種類もの違う印刷物にしたうえで、形を統一してカットする。
かなり大きめの木版によって、一つの版に何枚かのデザインを彫り込めば、後はカットがうまくできれば製造は可能となる。
・ミニくじテンダーなどのスクラッチカード
二つの技術が使われる。
1:ランダムに数字を彫った木版でベースを印刷。
2:その上から孔版を利用して覆いとなるインクをかぶせる
現実世界では1790年にスクラッチ印刷が発明されたとのこと。
【印刷物5、娯楽用品2】・トリプルトライアド
カードにレアリティが存在し、ドロップ率が制御されている。またボスドロップなどがあるうえ、カード盤面はフルカラーの写真になっている。
フルカラー印刷は、限りなく小さな点でカラーを塗り込み、人間の目が様々な色の点の集合をある色の面と認識することで見せている。
つまり写真のようにそもそも反射されてきた光の色の見え方を、決まった色(CMYKの4色など)に分解する必要があり、写真技術が発達していることが条件となる。
まして木版がこの世界の常識となると、かなりのオーバーテクノロジーといわざるを得ない。
しかし例えば、ボスや人物の姿を薄いクリスタルなどに投影し、それがそのままカード台紙に貼り付けてある…などといった加工が施されていれば、印刷技術は台紙の表の絵柄のみとなる。
また、トリプルトライアドは広く遊ばれている娯楽なので、ゴールドソーサーが主体となって発行しており、ボスドロップはボスから拾える何らかの品物と交換している、という仮定を持ち込むならば不可能ではない。
パッケージや表面のエンボス加工など、かなり凝った作りになっている。
【印刷物6、書籍】 本は印刷に関わりなく存在する。
元々粘土板だったものがパピルスや羊皮紙のような薄く丸めやすい、重ねやすい素材となり、巻物からコーデックスのような冊子タイプの写本を経て書籍の形に整っていった。
愛用の紀行録、図鑑、手帳や、家具のブックシェルフなどなど書籍はそこかしこで見られる。
例えば近世の稀覯書などは装丁そのものが美術品のような装飾を持っていたりするが、こうしたものの製本だとか、あるいはバラバラに壊れた本を綴じ直すといった仕事が存在しており、エオルゼアにも相当な冊数の本があるのは間違いないので、職業として成り立っていると思われる。
グリモアはエーテル伝導率を高めたインクで書かれているため、手書きのほか、紙面に対して焼き付けたりする工程があるかもしれない。
占星術師のカードは手で描かれているであろうが、あまりの細密さにリトグラフである可能性も考えたい。
【印刷物7、地図、海図、時刻表】・地図や海図
紙のほか、布でも製造される。
冒険家ロダード・アイアンハートが手がけ、その後、意志を継いだものたちによって「三代州図」を制作した。
こうしたものは大判になりやすいので、地図専門の印刷屋がある可能性もある。
また、宝を拾える古ぼけた地図は多く存在しており、×印だけ後からつけたものとも考えられる。
地図は測量をしつつ制作すると同時に、空を飛べるため上空から確認もできる。したがってかなり正確な地図が手間を減らして制作できる環境にあると思われる。
・時刻表
飛空挺定期便案内に掲示されている。多色刷りであるうえ、時間が正確なので高度な時計技術が存在すると見られる。
・路線図
ガレマール帝国は列車を建築しているため、路線図もあるかもしれない。
【感想】 それなりに予習していったことが、今回の講習では大分生きたと思う。
また、以前調べたギルや軍票などのお金についての話も印刷と密接な関わりがあって興味深かった。
意外だったのは活版印刷がそれほど存在しないのではないか、という講師先生の視点である。
ビラなどを見る限り、私は活版印刷が主体のように思えたが、どうだろう。
というのもやはりエオルゼアの文字は漢字やひらがななどと違って文字数が少なく、組版しやすいように思うからだ。
多色刷りの面にしてもたとえば紙だけを木版で一色刷っておき、組版した活版印刷で文字だけ大量に刷ることもできるから、木版で全部彫り込む労力はいささか想定しづらいと思う。
もっともエンサイクロペディアには木版と書かれているそうなので、活版や平版など発達した印刷技術は遠くない未来に登場するものなのだろうと思う。
紙媒体はそこかしこで見るありふれたものだけれど、今後もいろいろと気づくことが増えるかもしれない。これからの旅がますます楽しみになった。
書き手:雪