エファ「んっ・・・ここは・・・ここはクイックサンドの宿屋の寝室・・・?っつ!・・・確かジャイアントトータスに吹き飛ばされて・・・」
エファは全身の痛みと共に目覚めたが、ジャイアントトータスに吹き飛ばされた後に気絶していたために、何があったのか気になっていた。
エファ「モモディさんに聞いてみるかな・・・。」
エファは着替えを済ませ、寝室を出てすぐにモモディが立つカウンターに歩み寄る。
モモディ「あら!目を覚ましたのね!心配したんだから!全身打撲で済んだから良かったものの、クック君が近くにいなかったら貴方死んでいたわよ?」
エファ「(そっか、やっぱり誰かが自分を助けてくれたのか・・・)」
エファ「はい・・・迷惑かけてごめんなさい。」
モモディ「次はこんな無茶しちゃダメよ!でも、難民の方達からは感謝の言葉が沢山きていたわよ!あの子が時間稼ぎをしてくれたおかげで助かった家族がいるって。」
エファ「良かった!助かったんだ!」
今回の件は運良く助かったものの、命を失っていたかもしれない事についてエファは反省していたが、自分のした事で人の命を救えたのは素直に嬉しかった。
エファ「私を助けてくだった方はどこに?お礼とお詫びをしたいのだけど・・・。」
それを聞いたモモディは複雑な表情をした。
モモディ「う~ん・・・傷つくかもしれないわよ?結構痛いところついてくる子だから・・・。」
エファ「???でも挨拶ぐらいはしないと・・・。」
モモディ「まぁ、そうね!実はすぐ後ろのあそこのテーブルに座っているローブを着た少年よ。」
エファ「ありがとう!では行ってくるね!」
モモディ「えぇ、またね。」
ローブを着た少年クックが座っているクックの傍に歩みよるエファ。
エファ「(助けてくれたのは大人じゃなくて、僕と同年代の人だなんて凄いな・・・。)」
エファ「初めましてエファと言います。先日は気絶していたところを助けてもらったみたいで、ありがとう。」
クック「あぁ、あの命知らずのバカか・・・黒魔術の修行をしようと通りがかったところを助けただけだ。礼も詫びもいらない。放っておいても良かったが、寝覚めが悪くなるからな。」
エファは第一声から辛辣な発言を浴びせられ呆然とした。
エファ「ごめん・・・助けてくれてありがとう。」
クック「言ったはずだ。礼も詫びもいらない。しいて言うなら俺の傍で面倒な事はしないでくれるとありがたいね。」
エファ「でも、あの時はあのままだと難民の皆が死んでしまうと思って・・・。」
クック「その考えがバカだと言っているんだ。それでお前が死んでどうする。」
エファ「そうだけど・・・。」
クック「あそこで俺がいたからあの亀は倒せたが、他には誰もあいつを討伐できるような奴はいなかった。これがどういう事かわかるか?」
エファ「ん・・・と・・。」
クック「はぁ・・・これだから何も考えずに行動する奴は・・・もし俺がいなければお前はそのまま踏み潰され、あの亀は難民のキャンプをもう一度襲撃していた可能性だってあるわけだ。つまりお前は犬死だ。」
エファ「っつ・・・・。」
エファは今回はなんとか助かったから良いものの、自分のした事が無意味になっていた可能性を知らされて、自分の非力さに打ちのめされた。
クック「わかったら身の程をわきまえて行動するんだな。お前がしたことは英雄の行為じゃない。只の自殺志願者と一緒だ。」
エファ「それでも・・・僕は!死ぬかもしれない人を放っておく事なんてできないよ!」
クック「物分かりの悪いバカは達が悪いな。勝手にするが良い。俺のいないところで死んでくれ。」
だが拘りとは言え、このままでは父と会う前に自分がいつか死ぬかもしれないともエファは思い始めていた。
クック「それじゃあ、俺はここで失礼するよ。じゃあな。」
エファ「待って。」
クック「?なんだ?」
エファ「確かに今の自分じゃまた死に目に合うかもしれないと思う。」
クック「やっとわかったか。それじゃあ・・・」
エファ「僕の修行に付き合って欲しい。」
クック「・・・・何を言っているんだお前は・・・どうして俺がそんなものに付き合わなければ・・・。」
エファ「クック君は魔術師の修行をしていると言っていたよね。魔術師は近接されるのは危険なはず、だから頼りないかもしれないけど、僕がその囮役になるから、クック君も魔法を実戦で使う修行がしやすいんじゃないかな。」
クック「くだらんな・・・そんな足手まといと一緒に修行をしないといけない。」
エファ「付き合ってもらわなかったとしても、僕はこのウルダハ周辺で修行をする事になるから、もしかしたらクック君にまた迷惑かけちゃうかも。」
エファ「あの時修行に付き合っていれば死ななかったかもしれないって寝覚めが悪くなるかもしれない。」
クック「クッ・・・なんて面倒な奴だ・・・。」
エファ「エヘヘ」
クック「褒めてないのに喜ぶんじゃない。バカの癖に人を巻き込むのは得意なのか。」
クック「わかった。しばらくの間、付き合ってやろう。」
エファ「やった!」
クック「俺もまだ覚えたての魔法を詠唱するのに時間がかかるからな。」
エファ「うん!自分が囮になるよ!」
クック「あぁ、邪魔なとこにいてもそのまま焼き殺すから覚悟しろ。」
エファ「ヒィエエ!!」
クック「では明日の早朝に始めるとしよう。」
エファ「早速だなんて、クック君もやる気出てきたね!」
クック「さっさと終わらせたいだけだ。」
エファ「・・・。」
クック「それじゃあ明日な。」
エファ「うん!待ってるよ!」
翌日早朝・・・
クック「来たな。覚悟はできているな。」
エファ「おぉ!頑張るぞ!」
クック「せいぜい俺に焼き殺されないように頑張るんだな。」
エファ「えぇ・・・。」
クック「俺が魔法を撃とうとしている位置を読み取れ。でなければお前巻き込んで魔法を放つ事になるからな。」
エファ「うん。(きついようで意外と優しいよなクック君・・・)」
クック「あとお前はモンスターを引っ張ってくるのが役目だが、自分の力量を見極めて処理できる数を連れてこい。それができなければいつか死ぬ事になる。」
エファ「わかった。」
クック「お前に足りないのは状況の分析と自分の力量を見極めて行動する事だ。それをよく考えて戦え。」
エファ「っつ・・・わかったよ。」
クック「さぁ西ザナラーンに行くぞ。ついてこい。」
エファ「おぉお!」
「西ザナラーン」
ウルダハ:ナル回廊からナナモ新門を抜けた先となる西ザナラーン。杭打塔が並ぶ金槌台地は岩石砂漠となっている。ホライズンとベスパーベイを結ぶ足跡の谷は謎めいた遺跡のあるオアシスで、瑞々しい雰囲気。いつも旅人が行き交っている。北のウエストウインド岬は帝国軍の支配下にある。
エファ「ここが西ザナラーンかぁ・・・遠くにうっすら海が見えるね。」
クック「おい、観光に来たわけじゃないぞ。」
エファ「あ、ごめん。」
クック「まったく・・・さぁ始めるぞ。雑魚共を引っ張ってこい。」
エファ「わかった!」
エファは早速近くにいたマーモットを相手にすることにした。
エファ「かかってこい!マーモット!」
クック「そいつ程度は一人で相手をしろ。魔法を使う手間が勿体ない。」
エファ「う、うん。」
エファはマーモットを仕留めて思った。
エファ「(沈着冷静なクック君を困らせてやりたい・・・。)」
そしてエファは・・・。
エファ「ごめ~ん!クック君!モンスターを引き付け過ぎちゃったよぉお!!」
クック「お、お前は本当のバカか!!??そこで止まってろ!モンスターごと全て焼き払ってやる!俺が殺してやる!」
エファ「うわぁああ!!嫌だぁああ!」
そう言いながらエファは危険な状況でありながら、クックが慌ててる状況を楽しんでいた。
クックはファイアで1体ずつ処理しているが、あまりにもモンスターの数が多すぎるようだ。
クック「離れろ!ファイラで焼き尽くす!」
エファ「わかった!(ファイラって確か中位火炎魔法じゃ・・・僕と同じぐらいの年齢で使えるって凄いな・・・。)」
クック「消し炭になれ!ファイラ!」
魔法が発動直後に目の前にいたモンスター達は焼き尽くされ消滅した。
エファ「凄い!クック君はファイラまで使えるんだね!」
クック「ふん、俺をそこらへんの雑魚魔術師と一緒にするな。俺はいずれ最強の魔術師になる男だ。」
エファ「凄いな!自分も負けないようにしなくちゃ!」
クック「お前には無理だ。無名のままそこらへんで白骨化するに決まっている。」
エファ「ひどい・・・。」
クック「次は気をつけろよ!しっかり対処しきれる数を引き付けろ!」
エファ「わかった!」
クック「(こいつ・・・絶対わかってないな・・・。)」
クック「さぁ夕方まで続けるぞ、ついてこい!」
エファ「おぉおお!」
中or後編に続く。