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極ぼっちビスマルク。続2

公開
<<前回までのあらすじ>>
ぼっち侍ビスマルクに跳ぶ。





着地と同時に刀をくるりと回して勢いのままに納刀し、溜めた力と気を一気に開放する。
至った境地にて完璧に制御された抜刀は美しい斬撃を生み出した。

――居合術、天下五剣。
抜刀と同時に四つ、返す刀で一つ、合計五つの斬撃を飛ばす居合術だ。
主に複数の敵を相手取るときに使う居合術だけど今回の目的は別だ。

(……見つけたっ!)

外殻に向けた放たれた五つの斬撃のうち一つが抉った個所から紫色の光が漏れる。
心核の輝き。
僕は光が漏れている個所に狙いを絞ると静かに呼吸を整えた。
身体に巻き付き皮膚を切り裂く風も今は意識の外へと追いやる。

――明鏡止水。
心を凪いだ湖面のように落ち着かせ精神を集中することにより、あらゆる技を最適な状態で繰り出すことができるようになる奥義だ。
通常であれば技を手順通りに繰り出しながら徐々に己の心理状態を整え境地へと至るところだけど、この状態であればすぐにでも閃と呼ばれる境地へと至ることができる。

袈裟斬りから身をひるがえして右薙ぎ、返す刀で逆袈裟に切り上げ跳躍斬りに、さらに踏み込み軌跡をなぞるように跳躍斬りから勢いのままに振り返って背面突き。
矢継ぎ早に繰り出される技はいずれも侍が持つ月、花、雪の名を冠した最高峰の技だ。
その全てが強力な一撃であることは言うまでもなく、さらに閃と呼ばれる境地へ至るための鍵となる技でもある。
侍はこの境地に至ることで初めて居合術を制御し扱うことができる。

明鏡止水により月、花、雪の境地へと至ったのと同時、渾身の突きにより外殻が砕けちった。

(今だ!!)

むき出しになった心核に奥義たる居合術を叩き込むために納刀し構えをとる。

瞬間身の危険を感じたのか、ビスマルクがぶるりとその身を震わせた。
島ほどもあるビスマルクの身震いはその背に立つものにとっては地震にも等しい。
突然足元から突き上げるような衝撃を受けた僕はなすすべもなく空中に投げ出された。

ドサリと、束の間の空中遊泳の後、僕は受け身もとれずに浮島へと叩きつけられた。
乱気流に振り回されて上下どころか左右すらわからない有様だったけど、落ちたところが地面であったのは幸運という他ない。
周囲は真っ白な雲が浮かぶ雲海。
最悪の場合さらに下へと真っ逆さまだった可能性もあったのだ。

改めて現状を確認。
身体は動くし、武器も健在。
大丈夫、まだやれる。

ビスマルクはどうなったのかと視線をさまよわせると浮島とつかず離れずの位置にその巨体を発見した。
先ほどの身震いでアンカーから逃れたようだけど、外殻を壊されて怒り心頭なのか逃げていく様子はない。
だったら好都合。
次にビスマルクの背に乗れれば、今度こそ心核に刃が届く。

(もう一度だ……!)

決意を新たにし、対竜バリスタに向かおうとしたところで不意に浮島に影が走った。
はじかれたように頭上を見上げると、蛇に翼が生えたような魔物――サヌワが二体急降下してくるところだった。

アバラシア雲海に生息し、飛行が可能なサヌワはバヌバヌ族が騎獣として飼育することも多い。
ブンド族の根拠地でも見たことがあるし、恐らくあのサヌワもブンド族が放ったものに違いない。

着地と同時に仕掛けてきた体当たりをすんででかわしながら、お返しに十字斬りで牽制。
刀を構えながら僕は改めて相手を観察した。

色違いで片方は翡翠、片方は蒼玉。
艶やかにきらめくウロコは鮮やかな色彩を見せていて、発光しているようにも見える。
体長はかなり大きく、通常見られる倍以上のサイズはあるかもしれない。
かなり齢を重ねた個体のようだった。

先ほどの攻防により現在の立ち位置は僕、程近くに翡翠色のサヌワ、距離を開けて蒼玉色のサヌワといった状況だ。
奇しくもさっき襲ってきたのブンド族の時と同じような形になったけど、だったら対処法もさっきと同じだ。

速攻。
多対一において重要なのは一度に相手にする数を減らすこと。
囲まれて一度に、あるいは波状に攻撃されると対処しきれずに押しつぶされる危険があるけど、一対一なら何度繰り返しても負けるつもりはない。

目の前の翡翠色のサヌワと相対すると納刀。
腰を落として前傾に、鯉口を切ると柄に手をかけて精神を研ぎ澄ませ、高めた気すべてを刀へと込める。

――居合術、乱れ雪月花。
雪の閃、月の閃、花の閃、その全ての境地に立つことで命脈を見切りこれを断つ居合術の極致。
音もないほどに静かに抜刀、神速の剣閃は弧を描き、くるりと舞うように放つ二の太刀の軌跡は大輪を咲かす。
極限まで高められた気は雪を、月を、花を幻視させる、恐ろしくも美しい技だ。

(まだ……終わらない。!)

――燕返し、返し雪月花。
極限の集中力で放った居合術を瞬時に繰り返す居合術の極意、燕返し。
繰り返される一撃はさらに鋭さを増し、その威力は先の居合術を凌駕する。

(これで最後!)

――照破。
居合術を繰り返すほどに高まる剣圧を一太刀に込めて解き放つ終の一撃。
解き放たれた剣圧は斬撃となって乱れ飛ぶ。

瞬く間に閃く斬撃の嵐は狙い違わず翡翠のサヌワに致命的な傷を負わせたけど、それでもまだ倒すには至らなかった。

(……ちょっと硬すぎやしません?)

信じられないほどの頑強さだけど魔物は往々にして強い生命力を持つ。
これほどまでに大きく育ったサヌワであればそのしぶとさにも納得がいく。
けれど最大威力の連続攻撃をまともに受けているのだ、ダメージは確実に蓄積しているはず。

あと一息。
そう確信した僕は跳躍、体重を乗せた袈裟斬りから勢いのままに振り返って背面突き――精神を研ぎ澄ませ雪の境地へ至る氷雪の剣技を叩き込む。
崩れ込むように地面に倒れ伏す翡翠のサヌワはもう浮かぶこともない。

残る一体、蒼玉のサヌワはと振り返るといまだ距離を開けた位置で機をうかがっているようだった。
挟撃の心配がなくなったのならあとは一対一、確実に仕留めるのみだ。
僕は蒼玉のサヌワへと駆けると刀を振りかぶった。

瞬間、巻き起こった竜巻に無防備だった僕は空中へと投げ出された。



――極ぼっちソロビスマルク  さらに続く
コメント(2)

Nadja Apricotte

Gungnir [Elemental]

謎の吸引力のある日記・・・

Reigh Raindom

Gungnir [Elemental]

>なじゃさん
極ぼっちという響きの妙ですね!
吸引力の変わらない日記でありたい。
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