あの頃は、とにかく迷走していた。
召喚をやっていたが、行き詰まりのようなものを感じて呪術士ギルドのドアを叩いた。
F.A.T.E.で経験値を稼いでいたらトントン拍子にlv.30を超え、無事、黒魔に。
黒魔としていくつかのIDに潜った。結構動けている気がする。
主観のため、基本的に『気がする』だけである。
記憶がかなり曖昧なのだが、タイタンは黒魔で行ったように思う。たぶん……
少しずついろいろなことを覚えていった。
あまり物覚えがいい方ではないから、触りながら覚えるしかない。
そんなことを繰り返しながら、メインをのんびり過ぎるスピードで進めていく。
恐らく、同時期に始めた冒険者は、その頃すでにニーズヘッグ辺りとガチンコしていたのではなかろうか。去年の時点では「『蒼天のイシュガルド』とはいつ辿り着くのかわからない場所」であり、夢物語でしかないほど遠かった。
そして、来たのだ。
14時間生放送の日が。
ようやくPLLを見始めたばかりの頃で、開発の方々がどのような方なのか全然わからないで見ていた。
「いっぱい出てるね」
「みんな偉い人だよ」
「偉い人なのか……」
オハイネちゃんが教えてくれる。
FF14をやりつつ、横目で生放送を見つつ。
「サブ放送面白いね」
「サブ放送はいろいろやるからね」
初めて視る14時間生は盛り沢山で面白かった。
そこで開催が決定した『妖怪ウォッチ』コラボイベ。
数日後に突如始まるらしい。
前年やっていたというのは聞いたことがある。妖怪ウォッチの装備貰えるらしいというのはオハイネちゃんから聞いていたのだが、一体どのような形態のイベントなんだ……?
「妖怪が対応してる地域のF.A.T.E.をひたすら潰してメダル集めるよ」
「そういうの好き!」
周回が苦にならない冒険者。
レベリングも兼ねて頑張ろう!
レベルの低いクラスを底上げ出来るじゃないか!
イベントが始まったばかりの頃は、すごい人だった。
みんながF.A.T.E.のモンスターに群がって、あっという間に駆逐していく。
手が出せない。
「少し時間を置いた方がいいかもね。イベント期間長いから、ゆっくりやったらいいよ」
オハイネちゃんが言う。
なので、人が落ち着いた一週間後くらいからのんびりと始めた。
今日は低地ラノシア。
今日は西ラノシア。
今日は外地ラノシア。
今日は高地ラノシア。
大体ラノシア。
そして、土砂降りに当たる。日頃の行いが悪いのだろうか……
一つ、忘れられない出来事があった。
西ラノシア、スウィフトパーチ周辺でF.A.T.E.待ちをしていたときのことだ。
突然話しかけられる。というか、突然トレードの画面が開く。
慌てる冒険者。
ミニオンをくれるらしい。
可愛い! マンドラゴラだ!
ミニオンと交換出来るほど手元にいいものはなかった。けれど、その時に手持ちにしていた自分なりに大事なHQ素材を提示したら、快くトレードが成立。
ルガディン族の気の良さそうなお兄ちゃんが「いい取引だった!」と言いたげに、肯定エモートしてくれた。
突然のことに慌ててしまい、お名前をちゃんと見ていなかったのが今も悔やまれる。
「ありがとうございました!」
口で言ってもあちらには聞こえないのだからキーボードで打てばいいのに、何回も頭を下げ、別れ際に手を振るので精一杯。
「オハイネちゃん! マンドラゴラのミニオン貰った!」
「同じミニオンは登録出来ないからくれたんだね」
「嬉しい! マンドラゴラ可愛い!」
通りすがりにミニオンをいただいたのはアレが最初で最後である。
──というか、まったくご存じない方とトレードをしたのはあれが初めてだった。
この辺り記憶が曖昧なのだが、当時、まだバディとミニオンが一度に出せずにいた気がする。もらってもバディを出しているとミニオンが出せなかったような。
でも、それから少しして両方一緒に出せるようになって、マンドラゴラとバディと一緒にいるようになった。
そのようなこともあり、楽しかった妖怪ウォッチコラボイベは無事に完走。闇夜に輝くウィスパーをもらって大満足の冒険者であった。
あのときいただいたマンドラゴラのミニオンは、今も大事な宝物の一つだ。
もしかすると、一番の宝物かもしれない。
ラノシアの風景が好きだ。
朝焼け、夕焼けが特に綺麗だ。
今は立ち寄ることも少なくなってしまったが、西ラノシアでドードーの群れを見ると、宝物を手に入れた日のことを思い出す。