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⭐️読み物⭐️流れ星

公開
空にすっと消える流れ星。
消える前に三回願い事が言えたら願いが叶うなんて、誰が言い始めたんだろう。
絶対できるわけないのに。

ラノシアの空を見上げて、目の前を光が横切る。
くだらない。
流れ星なんて所詮は空に漂う石ころ。
光るのはたどり着けるわけもないところへ引っ張られて燃え尽きてしまうから。

求めてしまえば、そこにたどり着けなくても引っ張られてしまう。
それを美しいというのだろうか。
叶いもしないことを望んで消えていくことを。

故郷の姿すら知らない私は、故郷を取り戻すために散っていった家族、仲間を美しいと思わなければいけないのだろうか。
それは流れ星と一緒だ。
ありもしないものに惹かれて。

「リリィ、こんなところにいたのか」
背後からの声に、大げさに驚いてしまった。
それは、きっと、心を見透かされたくないからだ。
「なに」
短く切った言葉は、心の裏返しだ。
八つ当たりみたいになってしまってごめん、と思うと同時に、それが許される相手であることに甘えている。
「俺、明日出るよ」
気づいているのか、それともいないふりをしているのか、私の言葉のトゲには触れずにそう呟く。
「そう」
「元気でな、次会う時はアラミゴの空の下で、だ」
それだけを言って足音が遠ざかる。
顔も見ずに別れた。
これが最後の別れになると、わかっていたのに。

体にまとわりつく湿度が鬱陶しい。
黒衣森はこんなに暑かっただろうか。
流れる汗に苛立ちを感じながら、その理由にはわざとみないふりをする。
もう少し。
ギラバニアとの国境は近い。
果てなく続くバエサルの長城。
幾人もの同郷の憧れの地。
そんなバエサルが解放されたと聞いて、ここまでやってきた。
今さら、と思いながらも、どうしてもじっとしてはいられなかった。
鬱蒼と生い茂る木々の隙間を抜けて、モンスターの目を盗んで。
たどり着いたそこは一面が茶色の世界。そして、駐屯する同盟軍の活気にあふれていた。
20年。
その姿を見ぬまま話だけを聞かされていた。
「ここが・・・」
初めて見る故郷の一端。
「お!お前も同胞か!ついに、この地に辿りつけたんだ!本当に英雄様には足を向けて寝られねぇ!」
解放の、故郷の地を踏んだ興奮のまま話し続けるウルダハの鎧に身を包んだ兵士。
「英雄様?」
「おおともよ!英雄様がここを解放してくださったんだ。胡散臭い鉄仮面から、帝国から!」
「どんな人なの?」
「向こうに今ちょうどいるって話だ。一目見ようと思って出てきたんだけどよぉ、人だかりで見えたもんじゃねぇや。よほど屈強な御仁なんだろうなぁ!」
そう言って、諦めたのか、兵士は近くにいたウルダハの兵士の元へと歩いて行った。
「英雄・・・。」
何とは無しに人だかりに近づいた。
そこからチラッと見えたのは、ミコッテの少女の姿。そして、噂に名高いラウバーン将軍の姿。
「あれが・・?」
ただの猫だ。
どこからみても。
でも、その姿を見た途端、何かが弾けた。
「うわぁぁぁぁ!!!」
腰に下げた短刀を握り、駆け寄る。
「賊か!!!」
兵士に阻まれ、短刀を落とされる。
「どうして!どうして、今なの!どうして、もっと早く!」
言葉が、涙が、私の意思とは関係なく溢れ出た。
兵士に組み伏せられながらも、涙と「どうして」の言葉だけが延々と溢れ出た。それは嗚咽に変わり、言葉にもならない言葉が辺りに響いた。
ミコッテの英雄は、顔についた泥を落とし、手を差し伸べながら、苦痛の表情で「ごめんね。」と告げた。
その手を掴みながら、私は。
その後の記憶は無い。

気がついた時、テントの中にいた。
何があったのか思い出せない。
ただ、手は縄で縛られていた。
「良かった、気がついたね。」
横には、安堵した表情のミコッテの少女。私より小さな体、小さな手でタオルを絞ってくれる。
「あなたは・・。」
「ごめんね、一応、私襲われたことになってて、そのまま寝かせてあげることはできなかったの。お話を聞かせてもらってから、外させてね。」
そう言われて、記憶が蘇る。
目の前に居たミコッテの英雄。
そして、その後の自分。
「ごめんなさい!私、なんで・・。」
目の前の少女に恨みも何もない。
「どうしてって言ってた。どうして今なのかって。」
そう言われて、口を噤んだ。
「私からも聞かせてもらっていいかな。」
顔を向けられずに、シーツに隠しながら、頷いて返した。
「どうして、あなたはここへ来たの?見たところ、兵士でもないみたい。」
その質問には答えられなかった。答えを私自身でも持ち合わせていなかったから。
「じゃあ、名前を教えてくれるかな?私はレイン。」
「リリィ、です・・・。」
「リリィね。リリィはどこで育ったの?」
「グリダニアの・・・黒衣森で。アラミゴから逃げてきた人たちが作った集落があったんです。多くはないけど。母さんと、兄と妹と。アルクと・・・。」
最後の方は声がしぼんでいった。
「父さんと兄は、アラミゴを解放するんだ、故郷へ帰るんだって、このバエサルを渡って行きました。みんなは、頑張って、期待してるよって笑顔で見送って。でも、帰って、来なかった。」
まるで、願いを込めるような、それでいて、叶わぬことを知っているような笑顔、思い出すと、想いが溢れた。
「アルクも・・。お前にアラミゴを見せてやりたいって・・。自分だってみたこともないのに・・。」
1年前の事だ。
別れ際に交わした言葉は二言。帰ってこないとわかっていた。
それなのに、声をかけれなかった。
一緒にアラミゴで暮らそう、俺たちの子には、アラミゴを故郷を見せてやりたい。
そう言うようになったアルクを見る度に、父や兄の姿を重ねていた。
夢を追いかけて、掴もうとすると、必ず消えてしまう。掴めたはずの幸せを投げ捨てて、さらなる夢を追いかけようとする者には、言葉は届かない。
同じ夢を持つ者は、その者に夢を託す。
無責任に、待っているからと呪詛の言葉をかけて。

「だから、リリィは来たのね。」
長い沈黙を破って、レインがそう呟いた。
「ごめんね。今で、ごめん。」
目を伏せ紡がれた言葉に、また想いが溢れた。
今度は縋るように泣いた。
ひとしきり泣き終わった頃、レインが手の縄を解いてくれた。
そして、
「任せて。私が必ず。必ず、アラミゴを取り戻してみせる。」
と笑って言った。
声色は明るく、でも強い。
同時に、その瞳は悲しみの色を帯びていた。
だから、ふと聞いてみたくなった。
「レインは大事な人を亡くしたことはある?」
優しく微笑みながら、解いた縄を手でクルクルと回している。
ああ、そうなんだ。
だから、ごめんねって言ってくれたんだ。
失くした辛さを、もう戻らない深さを知っているから。

いつの間に眠っていたのだろう。
目覚めると、カストルム・オリエンスの中は昨日とは打って変わって静けさに満ちていた。
同盟軍が帝国軍からアラミゴを解放する作戦へと向かったのだと、町の人に聞いた。
私も。
私には何もできないかもしれないけれど、レインを、アラミゴを解放する手助けがしたい。
流れ星のように消えてしまうとしても。
そこで輝く1つの星を追いかけたい。
「英雄様が心優しい人で良かったな、不問に処すとラウバーン局長からのお達しだ。もう自由に出歩いていいぞ。」
同盟軍の兵士さんにそう言われた時、
「私、私にも出来ることはないですか。料理と洗濯、けが人の手当てくらいならできます!何かさせてください!!」
そう言っていた。
「ラールズガーズリーチが最前線だ。そこに行けば、役に立てるだろうさ、来るか?」
強い頷きで返し、行軍に加わった。
アルク。私、分かったよ。
守りたいものがあるから人は輝けるんだね。
あなたが私を守ろうとしてくれたように、私も、アルクの代わりに出来ることをする。
そして、いつか、アラミゴの空の下で。


一瞬の出来事だった。
人とは思えない殺意に満ちた空気。
立ち向かうことすら出来ない寒気。
ゼノス・イェー・ガルヴァス。
あれは人間じゃない。
一瞬で何人もの仲間が切られ、動かなくなった。
飛び散る血飛沫。
断末魔の声すら聞こえない空間で、
「・・・アルク、逃げろ・・。」
「た、隊長・・・・」
「アラミゴを解放するなんて、無理だったんだ。あいつがいる限り。」
「・・・・。」
「無駄死にすることはない、逃げろ。」
「・・・・。」
体が動かない。
恐怖。
それ以外の言葉が頭から出てこない。
足が地面に凍りついたように、一歩も足が出せない。
「うぇぁぁぁぁぁ!!!」
隊長が、雄叫びとともにゼノスへと突っ込む。
一瞥と共に、隊長の姿が消えた。
同時に、自分の体が傾ぐ。
足を切られた。
そう気づくのに時間がかかった。
そのまま、倒れこむ。
痛みと恐怖で、意識が遠のいた。
《つづく》
コメント(2)

Syo Guren

Durandal [Gaia]

コメントありがとうございました!
日記拝見しました^^
とっても楽しそうなFCですね!
よかったら入ってみたいです^^

Rain Hartret

Durandal [Gaia]

れんれんへ!

ウェルカムとぅーるしふぁー!

これからよろしくですー(๑>◡<๑)
でもでも、本当にふぃりちゃんのお友達でびっくり!
運命的ー♪
いっぱい遊ぼうねー❤️
楽しいのは保証付の自慢のFCです!
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