◆犠牲になったのは誰か◆
クエスト「心の在処」をクリアすると表示される「[E]nd」の文字。
その意味を巡って様々な考察がなされています。
ヨコオ作品でのEエンドは真エンド的な意味合いが強いです。
特にニーアシリーズでは、プレイヤー自身の「だいじなもの(セーブデータ)」を犠牲にして、ゲーム内のキャラクターを救うというのが伝統になっています。
(レプリカント/ゲシュタルトではDエンドがそれに当たり、レプリカントver1.22ではEエンドでセーブデータを取り戻す話になっている)
そんなゲームであるから、ヨルハDAコラボが始まる前からプレイヤーの間では「セーブデータが消されるんじゃないか」と話題になり、
公式番組などでヨコオさんが「データセンターを消す」ことを冗談交じりで話したりしていました。
しかし本当にオンラインゲームのセーブデータを消すような選択肢が出れば大問題であり(ある意味伝説にはなりますが)
実際に何も起きませんでした。
この〝何も起きない〟というのがクセモノで、説明の無さで多くの人が混乱しています。
曰く〝犠牲になったのはプレイヤーの記憶で、助かったのはアノッグコノッグ。プレイヤーは何も覚えていないから何が起こったのか分からない〟
曰く〝犠牲になったのはゲームに登場していないキャラクターで、消滅してしまった謎のキャラクターのおかげでみんな助かった〟
などの考察がされています。
これらは実際に筋が通っています。ゲームに表示されていなかった情報を根拠にしているから当然です。
しかし私はミステリ小説が好きなので、書かれていないことを根拠に導きだされた推理に納得できません。
私はあくまでゲーム中に登場した情報から「犠牲になった者」と「救われた者」を考察してみました。
犠牲になったのは「アノッグ・コノッグ」です。
救われたのは「全てのプレイヤー」です。
ここではコノッグが毎週送ってくれたデータが重要です。
コノッグは白い球を調べるうちに別の世界を覗き見てしまいます。
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■コノッグからのメッセージ4
旅の人へ
「白い球」は2Bや9S達のいた世界と繋がっていた。
その世界は文明が発達していて、データは神々の名を持つ機械に保存
されていた事がわかりました。データの断片を覗くと、沢山の人々の
記憶が保存されていて……。これが何を意味するかは、わかりません。
ですが、もう少し調べてみようと思います。
コノッグ
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この「沢山の人々の記憶が保存され」ている「神々の名を持つ機械」とはつまり、FF14のサーバーの事だと思われます。
つまりコノッグが白い球を使って行った別の世界とは「プレイヤーのいる現実世界」です。
ノルヴラントの「塔」に顕現した「神」は「すべてを知っている」と言っていました。
これは文字通り「すべて」で、ゲーム中のキャラクターが知り得ないことも含めた「すべて」についてです。
「神」は、DOD世界(※)およびニーア世界より上位(メタ)な世界に在る、あるいはそれらを知覚していると思われます。
実際、「バンカー」「エイリアンシップ」「塔」など『オートマタ』に登場する重要な構造物のみならず
オートマタ世界ではすでに絶滅しているはずの人類「ジャック」や「ヘンゼル&グレーテル」を復元していました。
(※DOD=ドラッグ・オン・ドラグーン)
「塔」の最後のイベントで「破壊衝動の止まらない神」を止めるためにアノッグは「向こうの世界」に行ってしまいます。
そして、コノッグもまた向こうの世界を垣間見てしまいます。
「心の在処」のラストで旅立った描写については議論の余地がありますが、私は以下の様な時系列ではないかと予想します。
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●「塔」攻略前
コノッグは熱を出して倒れている。アノッグを探したがっている。その後、失踪。
●「塔」終盤
アノッグは「神」を止めるために向こうの世界に旅立つ。
●「塔」攻略後
白い球が作り出したもの(2B達とポッド、塔)が消える。
●「塔」攻略後?
コノッグは白い球を探し、別世界について知る。
この時点ではまだ白い球は残っている? ポッドが存在しているのは別世界だからか?
参考:DODにおける白い球「再生の卵」は「神」の持っているエネルギー次第で複数現れることがある。
●「心の在処」
アノッグがコノッグを迎えに来る。
アノッグによって「神」のノルヴラントへの破壊衝動は完全に抑えられた?
あるいはそのためにコノッグの協力が必要なので誘いにきた?
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「神」は白い球を介してノルヴラントを破壊しに来ましたが、本質的には現実世界のような、ゲーム作品を俯瞰的に見れる場所に存在していると思われます。
コノッグは白い球の向こうにFF14のデータサーバーを見ていて、さらにその同じ世界には「神」もいる。
となれば「神」はプレイヤー達のセーブデータにも破壊衝動を向かわせることは必至です。
そう、ヨコオさんは「データセンターを潰す」と言っていました。(たぶん)
それを阻止したのがアノッグあるいはコノッグです。データセンターは彼女らのおかげで護られました。
それまでのニーアでは〝プレイヤーが犠牲になって、キャラクターを救う〟だったのが、
〝キャラクターが犠牲になって、プレイヤーを救う〟に逆転しているのです。
──以上が私の考察です。
それなりに辻褄はあっているはずですが、細かいところはおかしいかもしれません。
今後、新事実が発表されるなどして、この考察もあっさり瓦解してしまうかもしれませんが
その時は笑ってやってください。
私は〝こうだ〟と思いましたし、考察好きな人の中にはそれぞれの答えがあると思いますが、
結局、確定情報がないので、自信を持って言えない不安がつきまといます。
「心の在処」の評判が芳しくないのも仕方ないと思えます。
起こったことすべてを記述してしまうのは興ざめですが、さすがにあの終わり方では、
推理小説の解決篇がないまま終わってしまった感があります。
〝それがヨコオ作品だ〟と言ってしまえばそれまでなのですが、他のニーアシリーズは分からないなりに
エンディングを迎えた時に〝心を揺さぶられる何か〟があったはずです。
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◆残された謎◆
以下は、諸々の謎について気の赴くまま書き連ねています。
●コメラ村の村長の件
└→謎。
●白い球の創造物は消えるはずが、まだ工場などは残っている。
└→消滅するのは1次的に作られたものだけ?
複製された工場などは、機械生命体たちに2次的に作られたものか。
予想:白い球の生産スピードには限界があるので生産性に優れる機械生命体を生産。自己増殖させる。
機械生命体、生産スピードを上げるために工場廃墟を複製。
より攻撃力の高いヨルハ部隊を生産するためにバンカーを複製。
バンカーのデータは神が用意したか、あるいは機械生命体ネットワークが保有しているはず。
●2Pたち白いアンドロイドとはなんだったのか
└→「機械生命体に造られたアンドロイド」
オートマタ世界でも似たようなものが造られる可能性はあったのだろうか。
機械生命体が人間に興味を持ち、アダムとイヴを創り出したのと同じように、
ヨルハ部隊に興味を持てば十分にありうる。
●「開花した神」は神と2Pの融合体?
└→2Pの意思は〝機械生命体寄り〟なのか〝神寄り〟なのか。あるいは両者は似通っている。
キーワード「あこがれ」は、機械生命体の願望に見えるし、
神もそういった潜在的願望を抱えているかもしれない。
「P」の意味は、個人的には[妊娠 pregnancy]か[生産 production]だと思っている。
●「開花した神」戦でカイネの曲が流れていた理由
└→謎。
●「塔」にいたマモノ
└→「神」がメタ視点から作り出した物と思われるが、
オートマタ世界の塔にデータがある可能性もゼロではない。
機械生命体ネットワークは月面人類サーバーにアクセスしているため。
人類サーバーにマモノのデータが記録されていれば、本編の2Bたちが
人類の本当の姿を見る機会があったかもしれない。
●複製サレタアノッグ
└→白い球に複製されたものは神の破壊衝動を有していることが多いが、アノッグはそうではなさそう。
(2Bたちは恐らく裏口的方法で複製させたと思われる)
複製された時の状況、あるいはコピー元の精神性によって異なるのだろうか。
アノッグが死んだのは、コノッグを救おうとした場面だった。
自己犠牲の精神を持ったまま複製された者は善性を保っていられる?
自己犠牲はニーアのテーマとも言える。
最後、アノッグが神を抑えに行ったのは、DODの女神の封印、
またはEエンドのカイムたちを彷彿とさせる。