娘が嫁ぐ日-----
男手ひとつで手塩にかけて育ててきた娘が、今日、どこぞの小僧とエターナルバンドを結ぶという。
星芒祭中に、自宅で奴を見かけたときから嫌な予感はしていた。
奴を見る娘の目は、今までに私が見たことのないものだった。思わず若かりし頃の妻を思い出してしまったことに、私は軽い焦りを覚えた。
だいたい、相手がナイトというのが気に食わない。
戦死としての誇りを胸にエオルゼアを生き抜いている私の姿は、娘の心に何も残さなかったのだろうか。背中に負ったブラビューラが、その日はずいぶんと重く感じられた。
あの日は奴の得物がコルタナ・ネクサスだったことに難癖を付けて追い払ったものの、
奴は懲りずにエクスカリバーを持って再び私の前に現れた。
不安そうな顔で懇願するように私を見上げる娘の姿に、
私は、娘を悲しませることが本意ではないことを思い出さざるを得なかった。
いつの間にか私の手を離れて大迷宮バハムートに挑むようになっていた娘が、
メテオの陰地でナメクジに苦戦する中で出会った奴だという。
娘はそいつと共に成長し、今やルイゾワ師に挑むまでになった。
そして今日、娘はエターナルバンドを結ぶ。
私も式場まで向かったものの、在りし日の妻を彷彿とさせる娘のドレス姿に、思わず熱いものがこみあげてきた。
奴に無様な姿をさらす訳にはいかない。
「娘にタゲ飛ばしたら許さんからな」
私からの精一杯のはなむけの言葉だ。
私は二人を大聖堂へと送り出し、後のことを姉に任せて、その場を離れた。
数時間後、帰宅した私の姉、つまり娘の伯母から式の様子を聞いた。
なかなか悪くない式だったらしい。
二人の友人たちが大勢集まり、祝福してくれたそうだ。
引き出物でもらったというミニオンを見せてくれた。つつくと中からちょっとしたものが出てくるそうだ。
俺も欲し…いやなんでもない。
その日から、奴をちょくちょく自宅で見かけるようになった。
私も大人だ。いちいち目くじらを立てるようなことはしないが、男なら個人宅のひとつも用意してもらいたいものだ。
まあ、娘が自宅にいるうちは私の目も届くのだから、今のところはよしとしよう。
奴のエタバンテレポを庭先で待つ娘の姿を家の中から眺めながら、私はひとりほくそ笑む。
エタバンテレポで娘の部屋に直行はできない。
娘とハウスで過ごしたければ、私のいるリビングを通って行け。
それがせめてもの私の意地だ。
吉田ぐっじょぶ…!
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