こんにちは。Biskaです。
メルウィブ提督の言葉は、いつも多くを語らない。
それでも、その場に立てばわかる。
彼女はもう、引き返すつもりがないのだと。
和平交渉のために、敵地へ赴く。
自らを餌にし、命を差し出す覚悟さえ抱いて。
それは勇敢というより、冷静で、そして痛みを引き受ける選択だった。
私は、その決断を前にして、迷いを振り払った。
ガ・ブを救えたからこそ、わかったことがある。
テンパードは、救えない存在なんかじゃない。
たとえ深く歪められていても、人の心は、まだそこにある。
だから私はやる。
怖くても、無防備でも、退かない。
この魔法は、弱き者を想って生まれたものだから。
戦いの最中、提督は何度も前に出た。
私を護るために、仲間を守るために。
その背中は、誰かを導こうとする者のそれだった。
そして――
司祭の魂が解き放たれ、ガ・ブの声が届いたとき、
私ははっきりと感じた。
これは奇跡なんかじゃない。
誰かが信じ、誰かが手を伸ばし、
誰かが責任を背負った結果なのだと。
和解への道は、きっと平坦じゃない。
時間もかかるし、また疑われることもあるだろう。
それでも、提督はもう舵を切った。
私はただ、その背中を見つめていた。
潮の流れが、確かに変わった、その瞬間を。
リムサ・ロミンサは、まだ未来を選べる。
――彼女の背中が、そう示していた。