え…君の写真…
ああ…酔っぱらって変な写真付けた手紙なんか送ってる場合じゃなかったんだ…。
ごめん。
君はずいぶん悲しい思いをしたみたいだね。なにがあったの?まあ冒険者は人間の嫌な面ばかり見る仕事だけどさ。ク・リヒャさんがどうしたんだろうか。
写真の船も気になるなー。
…グリダニアの夜景、どうだった?綺麗だろ?俺の大好きな風景さ。
森には行ったかい?君には弱すぎかもしれないけど、奥行けば強いのもいるし。
ちゃんと俺のお気に入りの作業場所、覚えててくれたんだね。うん、俺いつもあそこで皮細工作ってる。
…泣いても、いいんだよ?グリダニアの雨で冷たくなった手を、温めてあげることもできないけど…。その涙をぬぐうこともできないけど…。
頑張ってるじゃないか、Relena…。俺よりずっと優秀な冒険者だ。
やーめた!俺世界一立派な冒険者になるのやめた!
それは君に任せるよ。
俺は、
これからも、
君を笑わせるだけの存在でいたいな。
覚えてるか?すっごい子供のころ。
子どもたちのキャンプで、やっぱり雨が降って、川に落ちた男の子を、同い年のはずの君は泳いで助けたんだ。そのころ君は親に深窓の令嬢としてのきつい躾を受けている真っ最中だった。ドレスを汚すなんて論外だった。ましてや、命の危険を冒す行為だ。
でも君はあっさり助けた。
その少年は、本当は君の執事を監視する役目にあったんだよ。ちゃんと仕事をしているかどうか。君の父親の抜き打ち検査。
少年の割には冷めてて、彼は大事な姉が自殺したばかりで、心を閉ざしていた。その仕事も、くだらないが金と組織の名誉の足しになるくらいにしか思ってなかったのさ。
でもうっかり足を滑らせて濁流に堕ちた。それを君が助けたんだ。
執事はお嬢様を甘やかして守ってないってことで、減給されたね。
君はあのあと怒られたのかな?
…泳ぎ上手だよな。Relena、今も、昔も。
勇気と根性、人情、合理性、忍耐、識眼。君はすべて兼ね備えてる。冒険者向きだよ。
あの頃は執事を首にするネタだけ探してたけど、今だったらもっといい評価を送ったよ。そしたら君の大好きだったローマン・アシュレイは今も君の傍にいたかな。
おっと、余談が過ぎた。
言いたいのは、俺が君の光のクリスタルの王子なら、
君は俺の永遠の闘うお姫様さ。絶対に手の届かない世界の。
…言ってなかったね、君へのお礼。
お菓子も料理もたくさん送ってくれて、感謝してる。大事に食べてるよ。つか、森の中ではそれが唯一の楽しみだ。作業中も、癒しだね。
泣いていいんだよ?ほんとに。
…俺は感動した。Relenaが俺と同じ景色の中にいることに。
たったそれだけのことだよ、でも、俺たちにとっては大事なこと。
君が俺の街に来てる。
君が俺の場所に立ってる。
君が俺と同じ宿に泊まる。
それって素敵なことなんだよ。
どんなに走ったって君に追いつけやしないし、助けられない。
君が倒れた時、腕に抱えて運ぶことができたら、
一緒に、歩けたら…。
行きたいよ、君の今いるところに。
俺の気持ちは、出会ったころから何一つ変わってないってことに、君は気付いてる?
助けられたからじゃない。
俺が好きな君のいいところは、困難に立ち向かう勇気さ。
…これ以上言うと愛の告白みたいなので言うのやめ!!!!
君は覚えてるかわからないことがもう一つ。
15の時、君は邸宅に父親によって軟禁されてたね。レディの訓練とか言う名目で。
そのとき、俺は清掃員としてもぐりこんだ。
鳥かごの君を、開放したくてさ。正義感気取りだった。黒歴史。
でも君は、忍び込んできた俺に、正体も分からないのに、「外の人に会えてうれしい」って、とびきりおいしいミルクティー入れてくれたっけ。
今、俺の願いが叶ってるんだなあ…。君が、自由に走り回るって夢が。
なんだかんだいって、俺は君中心に動いてますからね。stkでもなんとでも言ってくれよ。
エオルゼアで本当の人生を歩んでいるRelenaへ。
そのまま自由に生きてくれ。たとえ会えなくても、俺たちは親友だ。
君が知略を必要とするときは、俺は遠慮なく手紙で指南する。
悲しい気持ちを聴いてほしいときもね。
さあ、明日からは笑って旅立てるよな?Relena。
二人手を取って同じ街を歩く未来がなくても、寒い日に抱きしめあうことが出来なくても、
俺の命の友、Relena。俺の心は、ずっと昔から、君だけのものだから。
意味が分からなくてもいいよ。言いたかっただけ。
…永遠に君に言えない言の葉は、グリダニアの紅茶川に流すことにするよ。
じゃあ、今から俺は戦いに行ってくる。
はは、死にはしないさ。俺も「超える力」の持ち主だからな。
マザークリスタルの導きでたどり着く先に、俺たちの未来があるよ、きっと。
おやすみ、Relena…。
無理はするなよ。つらいときは俺に言え。絶対にだ。
~グリダニアで君とすれ違って泣きそうだったAkitoより~