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戦戦戦戦でワンダいってきましたーw <だいおばぱわ>

公開
『あとは頼んだ』
これほどまでに魂を痺れさせる台詞を生涯において口にすることがあるだろうか。
もっとも、生涯を終えるときに絞り出してこそ、その価値があるというものだろう。
託す仲間がいる喜びに、死する彼はむしろ悔いのない生涯を終える。
そして託された仲間は、受け取った言霊に奮起し、"信頼"の感動によって傷ついたその身に巡る血潮をたぎらせるのだ。

 <<第088話:ワンダラーパレスは戦士の香り>>


圧倒的な体力、巨大な武器、迫力のある美技は、私を憧れさせるには十分だった。彼らをどこから倒そうかとやっきになるモンスターの敵視と呼ばれる赤い視線がめまぐるしく飛び交う光景に目を奪われた。
あの中に自分も入ってみたい……そんな欲求を誰に咎められようか!
行動へ移すことに時間はかからなかった。
そして今夜、開かれる。
"戦戦戦戦"でダンジョンを攻略するという宴が。

場所は青くみずみずしい記憶を残したあのワンダラーパレス。
通い尽くした神殿。けれど、今の私は白魔導士ではないのだ。
ふっと、胸元に不安という風が吹きすさむ。
回復魔法が、ない。
そんなこと今宵集まった四人は分かっている。
しかし、『勇敢』と書いて『おろかもの』と読む我々の心の声が言っているのだ。
「斧術士でストンスキン混ぜるのは甘え」
だと。

死地への渡し船を降り、神殿に戦士だけが集合した。
兜をぱかぱかと開閉しながらの笑みはほがらかだが、彼らの瞳は新しい挑戦にギラついている。戦いに餓えた、脳筋のそれだ。
重量のある大斧を抱え、私たちは駆け出した。
まっすぐな廊下の先に待つ最初の戦いに備え、私はディフェンダーを構える。二体のトンベリを目視したところで、ウォークライを発動させた。ドンッと心臓を打つような音と共にラースが体に満ちていくのを感じる。ディフェンダーは防御のためではない。
「やられる前にやれ!!!」
それは出撃前に放ったミコッテ戦士の言葉だった。彼は恰好をつけた台詞をいう癖がある。緩みそうな口元を引き締め、私は二体のトンベリめがけてスチールサイクロンを放った。
ぐるんっと斧が円を描き、遠心力をのせた斬撃がトンベリを巻き込む。
"斬る"というより"砕く"という表現が似合う攻撃がトンベリの肉体を一気に削った。私だけではこうはいかない。仲間の力だ。同じく開幕スチールサイクロンを打つ者、メイムからのコンボを狙う者。みんな、好き勝手だ。細かい打ち合わせなどない。これは宴なのだから。
己の欲求のままに斧を振りかざすことの爽快感。私はこれを味わってみたかったのだ!
ものの数秒でトンベリを倒し、次へと急ぐ。トンベリストーカーに追いつかれるという焦燥感からではなく、ただラースを切らしたくないためだけに。
かつて戦戦戦白で挑んだ時と比較にならない圧倒的な火力は、徐々に私の気分を高揚させていった。
ゴージー兄弟も真っ青の狂乱。だが、理性はなくしてはいけない。ヒールがない分、慎重にアビリティーを駆使するべきだ。今日ほどブラッドバスのリキャストが待ち遠しかった夜があっただろうか。STRアクセの低HP戦士をあざ笑うようなブロンズハザードの羽ばたきに私は顔をしかめる。
そんな時、ピコンと不釣り合いな電子音と共に、仲間の声が届いた。
「挑発しました!<se.9>」
タゲ、とってくれたぁぁ!?
神が悪戯に用意した強制スイッチなどではなく、自発的な敵視交換。これぞ仲間。パーティプレイ。
私はマーシーストロークでの体力補給に成功すると、仲間の様子を確かめた。目に映る三つの赤い鎧は私の新品のそれと違う。
なんど修理を重ねたのだろう。なんど返り血を浴び、なんど泥にまみれて、なんど崖から落ちたのだろうか。
練成度のまるで違う彼らの技は一昼夜のものではない。三人とも自分のスタイルを確立したずぶずぶの戦士だ。頼れるメインタンクだ。
回復がない? なにを恐れることがあろうか。
斧をふるう腕が軽い。グゥーブーを四方から戦士が囲めば、その巨体も可愛らしく見えてしまう。吸い込みからの毒攻撃も問題ない。ある仲間は「避けるのもしゃらくせぇ」と言わんばかりに攻撃を続けていた。
ジャイアントババロアの雑魚はスチールサイクロンで一掃する。誰がボスに狙われても逃げる必要などない。
「いけるぞ」
確信を仲間が口にし、私は頷きで応えた。

そうして、私たちは王の間に立っている。
『みんなの恨み』という四ケタのダメージを数回たたき出すこのボスは、どんなタンクでも回復なしでは凌げない恐ろしい敵だ。そう、どんなタンクでも、"一人"では。

一番手は恰好つけ台詞のミコッテ戦士が引き受けた。迫ってくる小さなトンベリは中央で仕留める手筈だ。ラースを溜め、スチールサイクロンで薙ぎ払う。
そして、みんなの恨みをミコッテ戦士が受けたところで、私が二番手を引き受けた。
愛くるしくも不気味さを醸し出すトンベリキングの顔が私の正面を向く。どこか物悲しさをたずさえた琥珀の瞳。
ゴクリ。私が息を飲んだとき、トンベリキングの慟哭が王の間に反響した。
「怨みが、怨みが、怨みが増すぞォォォ! この怨みを力に変えるゥゥゥ!」
白魔道士で対峙した時はストンスキンの合図でしかなかったこの叫びが今、私をぞくぞくと奮い立たせる。大ダメージの予感に血が騒ぐ。
「オオオォォォォ……同胞たちの怨みを知れェ!」
包丁を構えた右腕がぐっと腰に引き付けられたすぐ後、禍々しいオーラと共に渾身の一撃が私を刺す。急激に奪われる私の体力。しかし、恐れることはない。
タイミングを見計らってルガディン戦士が私から敵視を奪った。
一瞬でトンベリキングを夢中にさせる実に鮮やかな仲間の技巧。私は感嘆の息を漏らしながら、役目を終えたディフェンダーを解いた。
そう、解いてしまったのだ。
それが場数を踏んだタンクと私の差だったのだろう。私は失態を犯したのだ。
まだ雑魚トンベリが中央に迫っているのに!
私は慌ててディフェンダーを発動しなおした。もっと大きな失態はウォークライのリキャストを考えていなかったということだ。反省しても遅い。
ラースが貯まらない!
ぎりぎりと歯を食いしばり、私は祈るように斧を振り下ろした。
しかし、トンベリたちは無慈悲に中央に群がりはじめる。瀕死になったトンベリキングを助けるかのように。
――恰好つけのミコッテ戦士は、私が未熟だということは承知していたのだろう。
集まった雑魚に、彼はバーサクを乗せたスチールサイクロンをお見舞いした。
トンベリたちがミコッテ戦士に襲い掛かる。奴らの攻撃が強力だと知った上で彼はすべてを引き受けたのだ。即時に発動させたホルムギャングがなによりの証拠だった。
トンベリキングをあと数秒で倒せることも、彼には分っていたのだろう。そして、ホルムギャングの残り秒数がそれに少し足りないということも。
だからこそ、恰好つけのミコッテ戦士は笑って、こんな台詞を残したのだ。

「あとは頼んだ……」




勝ちました。楽しかったです(・ω・)
コメント(6)

Ken Umbra

Ultima [Gaia]

すげえええ!巧みな文章にひきこまれ、夢中で読んでしまいました!
めちゃくちゃ楽しそうですね~。自分も機会があったらやってみたいなあ。

Jiro Harukaze

Ultima [Gaia]

泣いた

Orion Omu

Durandal [Gaia]

kenさん
わぁぁ!コメントありがとうございますっ!
戦士に限らず偏ったパーティーって盛り上がりますね!kenさんの冒険談、楽しみにしてます!

Orion Omu

Durandal [Gaia]

jiroさん
原初の魂がこぼれてるゼ……(スッと涙を拭う

Hio Toraji

Kujata [Elemental]

カッコいい!!!

Orion Omu

Durandal [Gaia]

hiroさん
悪ノリがすぎた文章でお恥ずかしい……wコメント嬉しいです!ありがとうございます!
戦士の技、どれも派手でかっこいいですよね!
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