革を編んで作ったリュックサックに荷物を詰める。
レンテの涙の拠点は、森林地帯の奥にあるらしい。準備を怠っては、自分の命を散らすことになる。
クアードさんに頼まれた仕事のため、私は旅の支度を進めている。
歴戦の冒険者の二人と旅をするのだ、私が足を引っ張るわけにはいかない。
もう一度荷物を確認する。
大丈夫、忘れ物はない。
私の暮らすテントの布を持ち上げ、ヒューランの男が中を覗き込む。
「ル・メリエッダ。準備はどうだい」
赤い着物を身に纏い、腰に刀を携えた侍、旅の同行者であるキリシロが私を呼びにきた。
「大丈夫です!……たぶん」
「そう、気負わくていい。ちょっとした旅行さぁ。気楽に気楽に、だ」
楽観的な彼がはにかむ。
なんともうさんくさい。
「さぁて、あいつが待ってる。そろそろ行こう」
リュックサックを背負い、表紙の焦げた魔道書を抱える。
深呼吸を3つ。
気持ちを落ち着けて、テントを出る。
キャンプの出口に行くと、サベネア由来の投擲武器を身につけたヴィエラ族の女性。もう一人の同行者で、私の巴術の先生のカトレアが待っている。
「お待たせしました、先生」
「うん。キリシロ、メリエッダ忘れ物はない?」
「はいっ!」
景気よく返事をする。
「それじゃあ、行こうか」
森を目指してキャンプを出る。
少女の想像以上を遥かに越えた冒険が始まった。