情報は開かれているべし、というのは十四人委員会も含めた全ての組織が順守すべき基本原則だとエメトセルクが話した。
古代世界、めっちゃ開かれてる世界じゃん。すごいな。進んでる。ちょっと現代見習って欲しい。
「だからと言ってお前のような正体不明にまで仕事を見せる必要は無いと思うがな。くれぐれも邪魔をするんじゃないぞ」
はーい、邪魔はしないよ。
ヒュトロダエウスは毎日のように創造魔法で生み出されたものを視ているけど、エルピスで行われている観察はまた主旨が違うからどんな体験が出来るか楽しみだと言った。
創造物管理局所長だから創造魔法で創られたものは頻繁に見てるのよね、彼は。
メーティオンにはお散歩ありがとうと言われた。
私も美少女と楽しく過ごせて良かったです。
今度はヘルメス達も連れて皆で出発、だって。可愛いな。
ヘルメスの仕事は色んな創造生物の観察。
まずは天測園の東へ。
さっきウーパールーパーを保護した辺りだって。
敷地の外に出るから気性の荒い創造生物には気をつけてくれと言われたが、私はさっきサブクエでいっぱい戦ったから大丈夫です。
蝶々がいっぱいいた。
メーティオンがペタルダが綺麗だと言ってる。
他にも観察中の仲間がいるけど皆地上に行けたらいいねって。
……ヘルメスの観察対象ペタルダなん?さっきめっちゃ倒したぞ?
ヒュトロダエウスがイアンティネ・ペタルダかと言った。
蝶は沢山の種類が創られている人気生物の1つらしい。
さっき少し捕まえて私のローブに変えたけど観察に支障をきたすような数じゃないって。
そう。良かった。失敗したから2体じゃ済まなかったけど。
エメトセルクはヘルメスが話し合いの時は意気消沈してたのに観察の仕事になると急に積極的だと話した。
そりゃ自分の好きな仕事の時には積極的にもなるでしょう。
ヘルメスが調べてた蝶はしばらく前から放ってる新種のペタルダだった。
異常ないらしい。
生物として存在も安定しているから、この調子で観察期間を終えたら地上の適切な場所に送られるって。
生物と魔法生物を分けるのは何か知ってるか聞かれた。
知らんがな。エネルギー源の問題?
魂の有無だって。魂は宿すか否かを決められるものではない。
自身のみで生存が可能な形に創られた時にうちに魂が生じて生物となる。
じゃあ獣とか偽神獣はもう生物ではなく魔法生物なのかな。
単独では生存が不可能な形で創られた時、例えば術によって構築されたり、自然現象に伴って発生するものには魂が生じない。
外見が動植物に似ていても魂が無いものは魔法生物になる。
魂を持つ事、生命になるという事は人が手出し出来ない領域の現象だから自分達が管理すべきだなんておこがましい妄想だとヘルメスは考えてる。
この話はここで終わりなのね。北の灯台に魔法生物が集まってると言われた。
もっと魂と魔法生物の話を聞きたかった。何か終末の解決法のヒントになりそうだったもの。
灯台に着いた。
メーティオンがエメトセルクとヒュトロダエウスの2人について知りたいと言ってた。
アンビストマが何故外にいるか分かったのかって。
エーテル追えるからだよね。
エメトセルクはヘルメスの仕事を見ているのにメーティオンに絡まれてたまらんと言ってる。
美少女に絡まれるのならいいじゃない。
彼女を視るだけでも創造主のヘルメスが特異な研究者な事は十分過ぎるほど分かるんだって。
そうなの?あまり特異だと思わないけど。
果実の砂糖漬けが主食なのは偏食過ぎるけど。
ヒュトロダエウスはメーティオンにも興味あるんだって。
飛行生物創造の第一人者の天を識るものであるヘルメスが申請前の創造生物を視る機会なんてそうそうないから。
では仲良くしてもらおうか。
ヘルメスの前にライトニングスプライトがいた。
名前が違った。雷のプネブマらしい。
灯台と呼ばれてるここは、島を浮遊させたり、周囲の気温を調整したりする為に属性のバランスを操作したりする巨大な魔具らしい。
その為に周囲より特定の属性が強くなる事がある。
アジス・ラーで雷属性が強くなりがちだったっていう話を思い出すな。
説明あったかどうか忘れたし、ずっと気になってたけど、エルピスって空に浮かぶ島なのね。
地上に放すとか、島とか、飛んでいけばいいとか色々出て来たけど、要するにここは浮島なのね。
ドラヴァニア雲海とかアバラシア雲海みたいな。
雷のプネブマが集まってるのは彼らの極端に雷属性に寄ったエーテルを補充する為。
「生物でいうところの「おなかすいた」状態だからだろう」
ヘルメスの言い方が可愛いぞ。
メーティオンはエメトセルク達と話し中だから、代わりに私が雷のプネブマ達に餌をやるらしい。
倒すんじゃないの!?餌をあげるの??めっちゃ戦闘準備してたよ?
集雷魔法のイデアを使えば使い手の素質に寄らずに場の雷属性を集められるから、彼らの側に雷球を作る。それが彼らの最高のごちそうになる。
ヘルメス、彼らの事も好きなんだな。彼らはとても愛嬌があるとも言ってた。
普段敵としか見てないんだけど、スプライト。
雷球を作ってヘルメスに話しかけた。
見てごらんって言われたらスプライトめっちゃ雷食べてる。
「気に入ってもらえたようだ。彼らは言葉を持たないが、だから素直に行動で示してくれる」
ヘルメスにとってはスプライトも犬猫みたいなものなんだな。
「言わないからといって何も感じてないわけじゃない。人から見て知能が低いからといって何も分かっていないわけじゃない……」
そう言われるといつも遠慮なく殺してるこちらが悪いみたいになるな。
それは人に対しても同じだよね。言わないからと言って何も感じてない訳じゃない。
言葉にしないだけで色々考えてる。
理解してない訳ではない。理解してる事もちゃんとある。
「彼らのように魂のない魔法生物だって、ペタルダのように儚い生物だって、みんな、思い思いに生きているんだ」
そうですね。
地上の生きとし生けるものはそうやって生きてるのよね。
選択肢が出た。
「メーティオンは魔法生物?」
「メーティオンは生物?」←
ヘルメスが創ったのなら魔法生物なのかな。でも魂あるなら生物か。
理論上の仮定なら話せるけど最終的にそれを視るのは創造物管理局の仕事らしい。
ヒュトロダエウスはそういう仕事もしてるのか。だからエーテルを視る才能が必要なのかも。
ヒュトロダエウス、メーティオンの目の前にしゃがみ込んでめっちゃ話し込んでるな。
彼のような視る力のある者には正解が見えているだろうけど、ヘルメスにとってはどちらでもいい。メーティオンはメーティオンだから。
エメトセルクがこちらを見た。メーティオンはそれに気付いて仕事が終わってる事を知って自分が邪魔したかと心配する。
ヘルメスは突筆すべき事はしてないし仕事はまだあるから次へ行こうと言った。
次はここから東にある汐沫(せきまつ)の庭で観察中の職員達にいくつか確認する事がある。
グゥーブーがいる。メーティオンが可愛いけど気をつけないと大きい口だからくしゃみもすごくてヘルメスは最初に吹っ飛んだと教えてくれた。
グゥーブーこの時代からいたんだな。
エメトセルクは初めて見たらしい。
何を意図して創造されたんだ?って言ってる。
ヒュトロダエウスはグゥーブー知ってた。
創造物管理局でも話題になった生物で彼もすごく気に入ってるんだって。
気の抜けた顔に反して牙がすごい所とかが好きらしい。
ヒュトロダエウスの好みちょっと変わってるかもしれない。
ヘルメスに話しかけたら名前はやっぱり違ってた。アンペロス。
最近観察を始めたばかりらしい。
経過観察の様子は聞かせてくれないんだな。
辺りを見渡した。
あっ。あの花がある。ハイデリンから貰ったエルピスと呼ばれる花。
エルピスは実際は場所の名前だったけど。
花を見てたらメーティオンが来た。
「それ、エルピス、エルピスの花!」
やっぱり名前はエルピスでいいの?
「わたしと、一緒の、エンテレケイア!」
日本語で話してくれ。何だそれ。エンテレケイア?
メーティオンとエルピスの花が同じ性質を持ってる事は分かってるけど。
ヘルメス達も来た。彼が説明を引き継いでくれる。
この花はこの施設で創られたからエルピスの名を冠している。やっぱりエルピスでいいんじゃん。
昔ここに美しい花を創る事を愛してる職員がいて、彼女が試行錯誤するうちに偶然生み出した。
それハイデリンじゃないの?ヴェーネスだっけ、ハイデリンじゃない頃の名前は。
周囲の心を映して纏う色を変える花。それがここにあるという事が分かってしまった。
ここでも地上でも陰りなき純白を纏ってる事が大半らしい。
へー。私は灰色も黒もオレンジも色んな色を見たわ。勝ったわね。
この時代だとどこにでも生えているのね。
人の心を映すのはどういう仕組みなのかヒュトロダエウスが尋ねた。
ヘルメスは世界にはエーテルとは異なる「想いが動かす力」というものがあると説明した。
アーカーシャ!それこんな古代からある考え方なのか!
人がエーテルを自在に操るように、この花はその力を受けたり作用させる事が出来る。
花自身には明確な意思が無いから周囲の感情によって動いた力を受けて、色や輝きに変換している。
察しの悪いヒカセンの為にもニッダーナの説明を回想として挟んでくれるのね。
アーカーシャという名前をヘルメスは知らなかった。そりゃ色んな物の名前が違うもの、ここ。
現象は同じだから多分同じ事を示してるだろうって。
彼らはそれをデュナミスと呼んでいる。
……うん?まって?あの、私めっちゃ使ってる素材あるんだけど。
デュナミスシャード。
これ、割と高いし戦闘素材だからリテが偶然探索依頼で持ち帰ってくるのを待ってるんだけど、想いが形になったものだったりするの??
誰かの想いを食い物にしてるのか、私。
エルピスの花のようにデュナミスを操る事の出来る存在、想いを自在に現象へ換えられる存在をエンテレケイアと呼ぶ。
メーティオンもこのエンテレケイアなのね。
しかも世界で最初の意思を持つエンテレケイア。
……破滅への序曲が聞こえる。
何かこれ、ダメな気がする……。
エメトセルクはデュナミスの事を知らないみたい。
エーテルとは異なる力、デュナミスをエメトセルクは初めて聞いたらしい。
勝ったな。私は知ってた。
デュナミスは人に見えないし感じ取れない。
理論上は長らくあるに違いないとされていたけど、エルピスの花が偶然創造されるまでは存在を実証出来なかった。
デュナミスはエーテルと比べてずっと弱い力で、普通の状態ではエーテルに押し負けてかき消されてしまう。
だから人のように多量のエーテルを有し、エーテルを活用する生物はデュナミスを使う必要が無い。
在って無い存在だからごく一部の研究者にしか知られていない。
それは現代でもそうだったな。ニッダーナ達は知ってたけどシュトラ達は知らなかった。
エメトセルクはだとしたら何故ヘルメスはエンテレケイアであるメーティオンを生み出したのかと尋ねる。
ヘルメスは空を見上げた。
アーテリスは名前の由来になるほどにエーテルが特別に濃い星だ。
でも宇宙全体でみれば計算上、全ての質量とエネルギーの68.3%をデュナミスが占めると考えられている。
そうなの!?それ初めて知った!新事実じゃん。アーテリス以外はデュナミスの方が主流なのか。
じゃあ星の危機にデュナミスの力が高まってるのは宇宙からの干渉なのかな?
エーテルとは比べ物にならないほど大きい力を自在に操れたら。
世界征服も夢じゃないって事?
デュナミスがエーテルに勝る力になるかもしれない。
ヘルメスはそう話すけど、終末の災厄のきっかけが何となく分かった気がする。
これじゃないか?デュナミスがエーテルに勝ったから、デュナミスの暴走じゃないのか、もしかして。
他の2人も厳しい顔してる。
これ聞こえようによってはエーテルより強い力を持って世界を滅ぼせるって事だもの。
ヘルメス自身はそんな大それた目的は持ってないと話す。
おそらくただの研究者としての夢みたいなものよね。
今世界でメジャーなエネルギーよりも、小さいとされてるエネルギーが宇宙には沢山ある。
それを自在に操れるようになったら……っていうただの夢。
「天を、宇宙を翔ぶものを創りたかった」
キッカケはきっとそんな単純な事。
その為には星外では補給しにくくなるエーテルではなく別の力を利用出来るようにした。
だからメーティオンは存在が希薄なのかな。エーテルではなくアーカーシャを、デュナミスを利用するから。
ヒュトロダエウスも同じ結論に辿り着いた。
だからその子は極端にエーテルが薄かったのか、って。
メーティオンは私もエーテルが薄いからエンテレケイアの仲間だと思ったらしい。
私のエーテルが薄いのは現代人だからです。
古代人よりは薄いのよ。
選択肢が出た。
「きっと仲間だ!」
「意志の力で限界を超えた事はある」
「エメトセルクの勉強不足では……?」←
仲間ではないから嘘はつきたくないし、エメトセルクに喧嘩売っとこうか。
「ほほーう、やってもらった身で言うじゃないか。今すぐに戻してやってもいいんだぞ、素性不明のうっすら使い魔もどきに……」
素材採れなくなるのでやめてください。
エーテルが薄ければエンテレケイアになる訳ではないけど、デュナミスには干渉しやすくなる。
だから現代の終末では創造魔法の暴発ではなく人自身が獣に変わるのか。
「それが思いもよらぬ勝利や逆転に繋がるかもしれない。君の特性として大切にするといい」
ヘルメスにそう言われた。
グゥーブーがあくびをした。ヘルメスがそれを見ていくつか確認したい事があるから済ませてくると言った。
ヘルメスはこちらの用件も間も無く終わると言った。
メーティオンにエンテレケイアでなくても薄い仲間に初めて会うから嬉しいと言われた。
この世界の人達皆エーテル濃いからな。
私が薄いのは時代を超えてるせいでもあるけど。
デュナミスやエンテレケイアについてはヒュトロダエウスも初耳だったらしい。
エルピスの花が創造物管理局に申請されたのも彼が職に就く前だっただろうって。
自分が就く前の物は分からないのね。逆に職に就いてからのものは全部分かるのか。そっちのがすごいな。
エメトセルクはデュナミスという認知してない上に星外ではそちらの方が多い力がある事に驚いてるみたい。
確かに私も宇宙ではデュナミスの方が多い事は初めて知ったわ。
エメトセルク達は星と共に星の為に生きる存在だから、エーテルが満ちているのにデュナミスを利用するのは不条理であり得ない話だと言った。
ヘルメスの知識には目を見張るものがあり、現在の十四人委員会に天文の専門家がいないし、彼が次期ファダニエルになるのは悪くないって。
ヘルメス自身は気が進まないみたい。本人の中では筋が通ってる理由もエメトセルクには理解出来ない。
選択肢が出た。
「エメトセルク自身は何故十四人委員会に?」←
「エメトセルクの専門は何だ?」
えーこれどっちも聞きたい!
専門は多分創造魔法じゃないのか?
これ何故委員会に入ったか聞いたら専門も分かるかな?
尋ねたら彼自身よりヒュトロダエウスの方が食いついた。
「おおっと、その話を聞きたいかい!?エメトセルクが何を見込まれ、どうして十四人委員会に入ったのか!
いいとも、このワタシが説明しよう。始まりは、そう……」
「やめろ、黙れ、お呼びじゃない」
エメトセルクがヒュトロダエウスに指を突きつける。
何でよ聞かせてよ。後ろでヒュトロダエウスもいじけて石蹴ってるぞ。何それ可愛い。
知るべきはエメトセルクではなくヘルメスだから仕事ぶりを引き続き視察していこうって。
「恥ずかしがるような話じゃないんだけどなぁ。後で機会があったらコッソリ教えてあげるよ」
ヒュトロダエウス、是非お願いします。後でと言わず今こっそり教えてくれてもいいよ!
エメトセルクに話しかけたら相変わらずヘルメスについて知れと言う。
「十四人委員会について勉強したい」←
「話したいことはない」
このパターンは話してくれるパターンだ!
「どうした唐突に……だがまあ無知なまま同行されるよりはいいか……」
話してくれるパターンだった!
十四人委員会は世界が正常に営まれ、星がより善い未来へ進んでいくように諸々の大方針を決定する機関。
名前の通り14の座があり、抜きん出た実力を持つ者がそれぞれ推薦によって就任する。
つまりエメトセルクも抜きん出た実力があるのね。それは何?
座によって特定の分野に長じている者が就くものと、特定の使命に対し適した実力を持つ者が就くものがある。
前者は水棲生物創造の専門家が就くミトロンの座、陸棲生物の創造と畜産の専門家が就くアログリフの座、菌類や植物創造の専門家が就くハルマルトの座、医療を牽引する者が就くエメロロアルスの座、創造魔法の基礎理論を追求し最高難度を誇る幻想生物創造を果たした者が就けるラバブレアの座。
ミトロンとアログリフがガイアとそのパートナーの元の座だったんだっけ?
ラバブレア、めっちゃ優秀だったんだな。だから私が殺した時にアシエンに動揺が走ったのか。
下等生物だと侮ってた現代人に殺されたから。
うわーやっぱ新生からのやり直し必要だな。今なら深く物語を楽しめる。サブクエも終えてないけど。
後者は芸術振興の役のウルテマの座、弁論と知識を充実させる役のイゲオルムの座、規律の制定と秩序の維持を行うパシャタロットの座、冥界、すなわちエーテル界を見守るエメトセルクの座、物質界、既に存在する物事の理を解明するファダニエルの座、お悩み受付係のアゼムの座。
エメトセルク、冥界の王ハーデスって言ってた……。そういう意味だったのか。
アゼムは何でも屋みたいな印象だけどお悩み相談係だからなのね。
「……そんなサラリと大事な話をしていいのか、だと?寝ぼけた事を言うな、子供ですら知っている基礎知識だぞ。しっかり頭に叩き込んでおくんだな」
はーい。つまり座の名前が役割を示してるから、エメトセルクといえば冥界に長けてるってすぐ分かるのね。
2023年6月11日